“野球離れ”に歯止めを… 「ぐんま野球フェス」に120人の高校球児が参加

健大高崎・青柳博文監督【写真:広尾晃】

桐生第一、前橋育英、健大高崎など8校から各15人、合計120人の高校球児が参加

 1月19日開催された「ぐんま野球フェスタ2020」の2日目では、群馬県内の高校球児が、小学生に野球を指導した。昨年の秋季群馬大会のベスト4以上になった桐生第一、前橋育英、健大高崎、樹徳など8校から各15人、合計120人の高校球児が参加した。

 健大高崎は、昨年に続いての参加。約70人の部員のうち、県内から通う選手を中心に15人を選抜。2年生の主力選手も含まれている。青柳博文監督は高校生が小学生に行う“野球教室”の意義をこう語る。

「野球人口減少という問題がある中、純粋に野球を楽しむ小学生に触れることで、高校生も子どものころの野球を好きだった時代のことを思い出します。もちろん小学生には高校のお兄さんの野球に触れて刺激になりますし、小学生にも高校生にも両方いい面があると思います。昨年から、小学生は指導してもいいということになったので、本当はこれ以外にも普及活動をやりたいんだけども、日程が合わなくて。でも、今後はうち単独でもやるかもしれません」

「選手には、『小学生はみんな憧れてくるわけだから、楽しく指導しなさい』と言っています。子どもたちを指導することで、『教えること』の難しさを体験するのは有意義だと思います。それにうちはもともと『野球を楽しむ』という方針なので、原点に返る意味でも重要です」

トスバッティングを行う小学生と高校球児【写真:広尾晃】

指導者の多くは「高校生にも得るところが大きい」

 集まった子どもは、ほとんどがユニフォーム姿だったが、中に私服の子どもたちも混ざっていた。前橋中央ボーイズの小学部の子どもたちだ。

 代表理事の春原太一さんは「小学生は20人くらいです。土日の午前中に、野球の楽しさを味わってもらっています。今日は希望者を連れてきました。今は、身近なヒーローになるお兄さんがいない時代なので、普段の練習でも中学生選手と一緒にやらせているんですが、今日は高校のユニフォームを着た選手と野球ができて、大きな刺激になると思います」と語った。

 キャッチボール、ゴロの捕球、バッティングなどが広場いっぱいを使って行われた。朝から晴天で気温も上がり、高校生も小学生も、のびのびと体を動かしていた。トスバッティングでは、高校生が少しアドバイスをしただけで、大きな当たりを飛ばす子どももいて、お兄さんたちは驚きの声を上げていた。

 日本高野連の「200年構想」で始まった高校生による野球教室だが、指導者の多くは「高校生にも得るところが大きい」と話す。こうした地道な普及活動の広がりが「野球離れ」を食い止め、野球少年を増やすことにつながっていく。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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