浮桟橋設置遅れも 二町谷リゾート整備

二町谷埋め立て地の一部で計画されるリゾート施設整備計画で、浮桟橋が設置される北公園側の海域、2019年9月12日撮影

 三崎漁港(三浦市)の二町谷埋め立て地の一部で進められているリゾート施設整備計画で、プレジャーボートなどを係留できる浮桟橋の設置が当初予定より、遅れる可能性が生じている。市と地元漁業協同組合との海面利用に関する協議が難航したことが原因。市は神奈川新聞社の取材に「協議の時間をもっと多めに見るべきで、見込みが甘かった」と釈明している。

◆「漁業の障害」 協議が難航三崎

 計画では、約8.6ヘクタールの埋め立て地のうち「多目的活用事業用地」(約7ヘクタール)を、安田造船所(東京都大田区)が購入。同社が出資を募った上で、2020年以降にホテルやビラ、コンドミニアム、商業施設などを建設する。市は昨年6月、同社と基本協定を結んだ。

 ビラの利用者らが船を留められるよう、浮桟橋を西側岸壁と北公園側の海面に複数設置する。同社が出資し、市が今年12月末までに整備する計画で、市は昨年4月からみうら漁業協同組合との協議を始めた。

 だが北公園側の海域は、白石地区の港を拠点とする漁業者にとって伊勢エビやカマスの漁場、航路になっているため、多くの漁業者から「桟橋が障害になる」との声が上がり、協議が難航。今年8月下旬にようやく、漁協の役員会で同意された。

 9月6、9の両日、市議会第3回定例会本会議の一般質問で、小林直樹(共産)、出口眞琴(自民)の2氏が、この問題について取り上げた。市は浮桟橋について「12月を目途に設置できるよう取り組んでいる」とする一方、「タイトなスケジュールなので遅れる可能性はある」と説明した。

 市は今後、浮桟橋の大きさや設置する位置、本数などについて同社や漁協と協議する。

 埋め立て地は水産業振興のために造成され、市土地開発公社が07年から分譲。当初は水産関連施設に限っていたが、16年から多目的活用事業用地と水産関連施設事業用地(約1.6ヘクタール)の二つの用地に分けて募集していた。水産関連施設事業用地には現在、6事業者が7区画(約0.7ヘクタール)に進出。1社が進出予定で、2社と協議をしているという。

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