「球数制限」の“先駆者”が訴える学童野球改革案 イニング、試合数、リーグ制へ…

全日本軟式野球連盟の宗像豊巳専務理事【写真:広尾晃】

全日本軟式野球連盟の宗像豊巳専務理事がルールの改定を提案、球数制限は高校野球に先駆けて導入

 全日本軟式野球連盟の宗像豊巳専務理事は、1月19日に行われた「ぐんま野球フェスタ」の指導者講習会で、学童野球など小中学校の軟式野球のルールを大きく変える大胆な改革案を提案した。

 昨年の同じ大会で、宗像専務理事は「70球」という「球数制限」を打ち出した。全日本軟式野球連盟は、宗像専務理事の提案を2月の理事会に諮り、この年から正式に導入が決まった。高校野球に先駆けての「球数制限」導入は、野球界全体に大きな影響を与えた。

 これに続いての大胆な改革案の提案だ。今回の提案は以下の通り

○野球肘障害を減らすため、さらなるルールの改定(案)

1.試合回 6回制
2.試合数規制 年間80試合以内
3.投捕間距離の改正 (16メートル→15メートルへ)
4.盗塁数規制 (1試合3~5回)、パスボールでの進塁なし
5.ホームベースの拡大化 (大人用と同じサイズ)
6.大会においてトーナメント制からリーグ制へ移行
7.カウント ワンストライクから始める
など

競技人口の減少が止まらない軟式野球「誰もが楽しく野球ができる」改革へ

 1試合のイニングを7回から6回に短縮することで、球数も減って子供たちの負担が軽くなる。今の学童野球では、強豪チームの中には年間に350試合も行うチームがある。1日3試合、4試合とこなすチームもあり選手の負担軽減のために、これにも上限を設けたいとのこと。

 また投捕間距離を縮め、ホームベースを大きくすることでストライクを入りやすくし、投手の負担を減らし、試合進行もスピーディに。盗塁に関する規制は、学童野球では盗塁を阻止するのは難しく、延々と攻撃が続くことも多い、これを是正するのが目的。カウントの問題も試合の時間短縮と投手の負担軽減を目的としている。1-1からのスタートも考えられる。

 宗像専務理事は「これらの提案は主として学童野球を対象に考えていますが、『トーナメント制からリーグ制へ移行』は、中学生の大会でも導入できればいいと思います。この提案については、これから全軟連で話し合います。『球数制限』のように一気にすべて導入するのは難しいと思いますが、今年はオリンピックの関係でマクドナルド杯(高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント)が新潟県で開催されます。このときまでに、何らかの方向性を示せたらと考えています」と語った。

 軟式野球、特に学童野球では競技人口の減少が止まらない。それだけに「誰もが楽しく野球ができる」方向での改革は喫緊の課題だといえる。今後の展開が注目される。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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