【動画】佐世保・早岐瀬戸 今も昔も変わらぬ流れ

急流の川のように潮が流れる早岐瀬戸=佐世保市

 急流の川のように、潮が流れていく。佐世保湾と大村湾を結ぶ早岐瀬戸。狭いところは幅が約10メートルしかない。平戸藩主が江戸時代末期に命名した景勝地「平戸領地方八竒(ひらどりょうぢかたはっき)勝(しょう)」(通称・平戸八景)の一つ「潮之目」。国の名勝に選ばれている。
 佐世保市教委文化財課などによると、江戸時代初期は幅35メートル、八景に選ばれた江戸末期は20メートルあったが、護岸工事に伴い、狭くなった。1936年に開閉橋が架かり、早岐と針尾島の有福が結ばれた。開閉しない現在の鉄橋「観潮橋」は54年に整備。海岸沿いでは毎年、400年以上続く「早岐茶市」が開かれ、初夏を告げる。
 近くで暮らす西町自治会長の須藤功さん(78)=早岐2丁目=は、その歴史を見てきた。現在は遊泳禁止だが、子どものころは潜ったり、橋から飛び込んだりしていた。精霊船を流したこともあるという。
 速い潮流は、良質なワカメを育む。ワカメ漁は毎年2月に解禁される。須藤さんは今も、自前の道具を使って巻き取る。「早岐瀬戸は、親戚のような存在。瀬戸の流れはこれからも変わらないでしょうね」と話した。

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