スバル インプレッサ/XV試乗│アイサイト・ツーリングアシストを標準装備し、総合安全性能が向上した大幅改良モデル

昨年は国産ミドルサイズカーが好調

スバル インプレッサ(2019年大幅改良モデル)
スバル XV(2019年大幅改良モデル)

2019年はクルマ好きにとって、ちょっと楽しい年だったと思う。生粋のスポーツカーとなるトヨタ スープラが復活して、日産 スカイラインもプロパイロット2.0を搭載するなど大幅なマイナーチェンジを実施した。トヨタ RAV4は、SUVの原点回帰を思わせる野性的なクルマになって蘇り、好調に売れている。

この中で特に話題になったのがMAZDA3だ。アクセラの後継となるミドルサイズカーで、ボディは5ドアハッチバック(名称はファストバック)とセダンをそろえる。エンジンは、火花点火制御圧縮着火方式のスカイアクティブXが搭載され、メカニズムに関心の高いユーザーからも注目されている。

また2018年には、トヨタ カローラスポーツも発売された。2019年にはカローラのセダンとワゴン(新型の名称はツーリング)がフルモデルチェンジを行い、ミドルサイズの3ナンバー車になった。

これらのミドルサイズカーは、全幅が1740~1800mmと少しワイドだから走行安定性が優れ、全長は大半が4500mm以下に収まるから狭い道での取りまわし性も悪くない。欧州など海外で売ることを考えた車種が多く、外観はカッコ良くて内装も上質だ。

日本で登録台数が多いカテゴリーは、ホンダ フィットやトヨタ ヤリス(ヴィッツの後継)など5ナンバーサイズに収まるコンパクトカーだが、カッコイイ外観や運転の楽しさも欲しいとなれば、ミドルサイズのハッチバックやセダンが適する。

そしてMAZDA3やカローラシリーズの登場に応えるかのように、スバルのインプレッサとXVもマイナーチェンジを受けた。そこで変更点を実際に試乗しながら確認してみたい。

インプレッサ、XV共にツーリングアシストが加わりアイサイトの性能が向上

スバル インプレッサ(2019年大幅改良モデル)

まずインプレッサとXVの両方に当てはまる特徴として、アイサイトにツーリングアシストの機能が加わった。アイサイトは路上の白線を読み取って操舵も支援するが、渋滞で速度が下がったり発進と停止を繰り返すと、白線を読み取れず操舵支援も困難になる。そこで白線に沿うだけではなく、先行車を捉えて操舵支援を続けられるようにしたのがアイサイトツーリングアシストだ。

アイサイトを作動させると、設定速度の範囲内で、車間距離を自動調節しながら先行車に追従走行する。速度が高い状態では、路上の白線に沿って操舵も支援され、ステアリングとペダル操作の両方が軽減される。

速度が下がると以前は操舵支援が難しくなったが、改良後はアイサイトツーリングアシストが装着されたので、操舵支援を続ける。この時にはメーターパネルの中央に表示された先行車のイラストが枠で囲まれ、速度に加えて操舵も追従制御していることを示す。低速でも操舵とペダルの支援を続ける。

操舵支援の制御はおおむね満足できる。高速で巡航中に、路上の白線を探るように左右に細かく動くことはあるが、違和感と受け取られるほどではない。低速域を含めて正確性を高める余地はあるが、相応の実用性を伴う。

アイサイトツーリングアシストのカスタマイズ機能には、車間距離を自動調節できるクルーズコントロールの加速レベルを、ダイナミック・スタンダード・コンフォート・エコに調節できる。一般的にはスタンダードの加速感が自然な印象とされるが、ユーザーによっては、先行車が加速した時などの追従性が緩慢に感じることもある。そのような時はダイナミックを選ぶと反応が機敏になる。

走行安定性と乗り心地が向上したインプレッサ

スバル インプレッサ(2019年大幅改良モデル)

装備については、アダプティブドライビングビームを採用した。ハイビームで走行中に対向車や先行車を検知すると、ハイビームの良好な視界を保ちながら、シェードを作動させて相手車両の眩惑を抑える。

マイナーチェンジでは、サスペンションにも手を加えた。インプレッサスポーツの18インチタイヤ装着車は、以前は乗り心地が少し硬く感じたが、改良後は適度に柔軟になっている。今でも時速40km以下では少し硬いが、粗さは抑えられ、ライバル車のミドルサイズハッチバックと比べても快適だ。

操舵に対する反応も変わり、以前に比べると正確になった。インプレッサらしいリラックス感覚を残しながら、曖昧さを払拭して操舵感は上質だ。峠道を走る時には、外側に位置する前輪のグリップ力が増して、従来以上に車両をしっかりと内側へ向ける。後輪の接地性も高まり、違和感なく安心して運転できる。マイナーチェンジでは、クロスメンバー(ボディ底面に前後方向に配置された基本骨格)の前側と後ろ側を補強して、ショックアブソーバーの減衰力も見直した。細かな改良を施して、走行安定性と乗り心地を向上させている。

XVでは2リッターのノーマルエンジンを廃止

スバル XV(2019年大幅改良モデル)

XVは最低地上高が200mmでインプレッサスポーツを70mm上まわる。全高は立体駐車場を使いやすい1550mmに収まるものの、カーブを曲がる時にはボディの傾き方が少し大きい。それでも走行安定性に不満はなく、乗り心地も角が丸く快適だ。

なおXVは今回のマイナーチェンジで、水平対向2リッターのノーマルエンジンを廃止して、1.6リッターノーマルエンジンとe-BOXER(2リッターハイブリッド)のみになる。注目すべきはe-BOXERの価格で、2.0e-Lアイサイトは265万1000円と安い。変更前のノーマルエンジンを搭載する2.0i-Lアイサイトは、消費税が10%だとすれば255万2000円だから、ノーマルエンジンをe-BOXERに変更しながら価格上昇を10万円弱に抑えた。

将来的にはe-BOXERがスバルのベースエンジンになる

高速道路や市街地を一定速度で走っている時には、エンジン回転数が2000回転以下に下がる。この時にe-BOXERでアクセルペダルを緩く踏み増すと、モーターの駆動力が効果的に支援して滑らかに加速する。エンジンは低回転域で駆動力を下げるが、モーターは機敏に反応するからだ。この滑らかな加速感は、XVのリラックスできる運転感覚に合っている。

XVの2リッターノーマルエンジンを廃止してe-BOXERに置き換えた理由を開発者に尋ねると「将来は二酸化炭素の排出量を抑える目的もあり、厳しい燃費規制が実施される。そこでXVはe-BOXERのみにした。インプレッサは今のところe-BOXERを搭載していないが、積むことも可能だ」という。将来的にはe-BOXERがスバルのベースエンジンになるようだ。

インプレッサをライバル車のMAZDA3やカローラスポーツと徹底比較

スバル インプレッサ(2019年大幅改良モデル)

インテリアの居住性・質感比較

さてマイナーチェンジを受けたインプレッサをライバル車のMAZDA3やカローラシリーズと比べたらどうなるか。

インパネの質感や前席の座り心地は3車とも互角だが、後席の居住性と荷室の使い勝手はインプレッサが最も優れている。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間はインプレッサが握りコブシ2つ半だが、MAZDA3とカローラシリーズは1つ半だ。MAZDA3とカローラシリーズの後席は、長身の同乗者が座ると少し窮屈に感じる。

視界は前方は良いが、後方は3車種とも良好とはいえない。この中でインプレッサスポーツは優れた部類に入り、次はカローラスポーツだ。MAZDA3ファストバックは後方がかなり見にくい。

動力性能比較

スバル インプレッサ(2019年大幅改良モデル)

動力性能はインプレッサとMAZDA3が2リッターのガソリン、カローラスポーツが1.2リッターターボで比べると、各車種ともに十分なパワーとはいえない。それでもMAZDA3は、高回転域の吹き上がりが良く、6速ATの採用と相まって少しスポーティな印象だ。

操舵感もMAZDA3は小さな舵角から比較的機敏に反応して、良く曲がる印象だ。インプレッサの操舵感は穏やかで、良し悪しではなく、持ち味の違いがある。乗り心地もインプレッサは柔軟で、MAZDA3は引き締まった印象だ。カローラスポーツは少し硬いが、重厚感が伴う。

装備・価格比較

スバル インプレッサ(2019年大幅改良モデル)
スバル インプレッサ(2019年大幅改良モデル)

条件を合わせ2WDの価格で比べてみよう。インプレッサスポーツ2.0i-Sアイサイトが248万6000円、MAZDA3ファストバック20Sプロアクティブは251万5741円、カローラスポーツに1.2リッターターボを搭載するG・Zは250万4700円になる。同じカテゴリーに属することもあり、価格はほぼ横並びだ。

3車種の選び方としては、乗員が後席にも座るファミリーカーとして使ったり、運転のしやすさを大切に考えるならインプレッサスポーツがベストだ。運転の楽しさなどスポーツ性を重視するユーザーにはMAZDA3ファストバックを推奨する。カローラスポーツは、後席はあまり広くないが1.2リッターターボエンジンが扱いやすく、2名以内の乗車で使うパーソナルなニーズに適する。使用目的に応じて選び分けたい。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:SUBARU]

インプレッサ試乗・解説動画

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