多くが巣立った幼稚園、相次ぎ閉園 「お別れ開放日」も

65年の歴史に幕を閉じる平塚市立さくら幼稚園=平塚市東真土

 平塚市立のさくら幼稚園(東真土)と金目幼稚園(南金目)が3月末で閉園する。身近な施設としてこれまで多くの園児が巣立ったが、共働き家庭の増加や国の政策転換の影響で入園児が減少、役割を終えることになった。両園とも「お別れ開放日」を設け、卒園生や保護者らの来園を呼び掛けている。

 さくら幼稚園(園児数11人)は1955年、大野町立さくら幼稚園として開園。これまで4760人余りが卒園した。金目幼稚園(園児数12人)は66年の開園以来、2500人余りが巣立った。

 市内には2園のほか、ひばり(御殿)、土屋(土屋)の計4園の市立幼稚園がある。近年は共働き家庭の増加で時間的制約が少ない保育園のニーズが高まっているのに加え、2017年度からは送迎バスなどサービスが充実している私立幼稚園の保育料が市立と同額になり、入園児がさらに減少。19年度は4園合わせた園児数が年中、年長の計66人にとどまり、5年前の3分の1に落ち込んだ。

 市教育委員会教育総務課は「市立幼稚園の役割が少なくなっている」として、立地条件や周辺の状況などを総合的に判断し、2園の閉園を決めた。両園は年長しか在籍していない。

 また、ひばり幼稚園は今年9月までに閉園を含めた今後の方向性を決定する。土屋幼稚園は市立吉沢保育園と統合し、民間運営による認定こども園として整備する予定だ。

 ただ、公立幼稚園の廃止には「発達の差で受け入れ先のない子が出かねない」と反対する意見があり、同課は「公立ならではの良さも考慮し、今後の在り方を検討したい」と話す。

 「お別れ開放日」は金目幼稚園が1月25日午前9時半~午後4時、さくら幼稚園が3月20日午前10時~午後3時。懐かしい写真やアルバムを展示する。

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