「潮受け堤防建設は間違い」 諫干開門派団体が講演会

専門家らが潮受け堤防の開門調査の必要性について語った講演会=荒尾市総合文化センター 【字解】

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査を求める開門派団体が26日、熊本県荒尾市で「『いのち輝く有明海』をめざす講演会」を開いた。同県立大副学長で環境共生学部教授の堤裕昭氏らが講演し、「潮受け堤防の建設で有明海の環境と生態系を保つ仕組みが破壊された」などと主張した。
 堤氏は、潮受け堤防閉め切り後に赤潮が頻発しているとして、「閉め切り後の潮流の変化で、栄養塩の運搬・拡散が有明海奥部で滞っている」と指摘。「反時計回りの恒流が有明海の生命線。堤防の建設は完全な間違いだ」と述べた。
 熊本保健科学大保健科学部共通教育センターの高橋徹教授は調整池の水質が改善していないと強調し、「農業にほとんど使われていない調整池は汚染源としてしか機能していない」と語った。開門派の堀良一弁護団事務局長は「差し戻し審は新しい前進のスタートライン。成功させるために大きな運動を起こしていただきたい」と呼び掛けた。
 開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟で、最高裁は開門確定判決を事実上「無効」とした福岡高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。2月に差し戻し審の第1回口頭弁論がある。講演会は「よみがえれ!有明訴訟を支援する会」が主催。約180人が参加した。

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