読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、20代でマンションを購入したという独身女性。購入後、思うようにお金を貯められないといいます。何を見直したらいのでしょうか。FPのたけやきみこ氏がお答えします。
マンションを購入してから思うように貯められません。月々の貯蓄額を増やすために食費を削りたいと思っていますが、付き合いなどもあり、なかなか上手くいきません。臨時支出も多く、月によっては貯蓄できないこともあります。どうしたらいいのでしょうか。アドバイスよろしくお願いします。
<相談者プロフィール>
・女性、29歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(マンション)
・毎月の手取り金額:27万円
・年間の手取りボーナス額:50万円
・毎月の世帯の支出目安:25万円
【支出の内訳】
・住居費:12万円(管理費等含む)
・食費:4万円
・水道光熱費:1万円
・教育費:なし
・保険料:2.8万円
・通信費:0.4万円
・車両費:なし
・お小遣い:3万円
・その他:2万円
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:2万円
・年間ボーナスからの貯蓄:50万円
・現在の貯蓄総額:120万円
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:2900万円(住宅ローン:借入額3000万円、金利1.75%、返済期間35年)
たけや:20代でマンションの購入。ご自身の城を持たれたわけですね。ただ、マンションを購入されてから、思っていた以上にその返済の負担が大きかったようですね。
年間の手取り収入に対して、約38%もローン返済をしているのですから、そのはずです。わずかでも貯蓄ができていること、そして、貯蓄を増やそうという意識を持つことは大切です。
しかし、今後、収入が減収したり、途絶えてしまうことがあると、一大事です。
節約すべきは食費ではない? 付き合いのルールを決める
食費が月額で4万円。手取り額からみると約15%です。私は多すぎるという印象は持ちませんでした。なので、貯蓄額を増やすために食費を削りたいという相談者様の相談内容を拝見し、仮に、節約ができたとしても、4万円を2万円にできるのかというと、それは現実的ではないと考えました。つまり、節約すべきは食費ではないのでは? ということです。
それでも、食費を削りたいと考えるのでしたら、付き合いにはルールを決めておくことです。
例えば、「付き合い費」として予算を決めておき、その範囲で使う方法もあります。または、いつもかかる費用がわかっているのでしたら、月に何回までとするとか、付き合う人の優先順位を決めておくことも有効です。すべての付き合いに応じてしまうとお金はいくらあっても足りません。今、必要な付き合いはどこまでなのか、自分ルールをつくっておきましょう。
食費以外に、「その他」2万円の使用用途も気になるところです。食費の半分も占めているので、ここも見直す必要があるのではないでしょうか。
必要な保障は2つ! 加入保険の保障を確認
月々の保険料が随分と多いようです。独身でいらっしゃるのに、月額保険料2.8万円も支払うような保険に入る必要性はないはず。保障の優先順位は、次のように考えてみてください。
(1)就業不能になったときの保障
(2)がんなどの特定疾病に備える保障
就業不能のリスクは誰にでもあります。亡くなりはしなくても、就業ができなくなれば、生きていくための生活費が必要になります。そこで、長期に働けなくなってしまうときのリスク管理を考えておくと安心です。最近は、うつなどの精神疾患までカバーする就業不能保険が登場しています。まだまだ若い相談者様の将来に何が起こるかわかりません。ご自分のために、もしもの保障として優先順位を高くしました。
医療保険は、長期の治療期間が考えられる疾病に備えると安心です。特定疾病になった場合に、一時金がもらえる保険もあるので、入院準備や当面の生活費として使うこともできます。そして、死亡保障は、配偶者や子どもができてからの検討で十分でしょう。
保険料は、(1)と(2)だけなら、2.8万円にはならないのではないかと思います。もし、貯蓄性の保険に入っているのでしたら、その分は貯蓄のための支出として認識してもよいでしょう。
余談になりますが、低金利の今、貯蓄性の保険はそうそうありません。外貨建てや、仕組みが複雑な保険でしたら、リスクについてきちんと理解しているか、もう一度見直しをしてみましょう。もし、わからないことがあれば、販売した金融機関の担当者に聞いてみることです。
「貯蓄の先取り」を5年継続して500万円を目指す
毎月2万円の貯蓄は生活費よりも先取りしてください。できれば給与天引きをおすすめします。財形貯蓄制度があれば、ぜひ活用してください。毎月の2万円にボーナス50万円も合わせれば、年間に74万円が貯まっていきます。年間の手取りからみれば、貯蓄は約20%キープできます。
住宅ローンの返済が多いにもかかわらず、頑張っていらっしゃると感じます。とはいえ、現在の貯蓄総額は、120万円なので、焦ってしまう気持ちもわからなくはありません。ただ、「貯蓄を増やしたい!」「では、どうすればいいのか?」と、課題として考えたことにじつは意味があると思います。
まずは、現状の貯蓄の先取りを心がけて、まとまった額まで貯められるように継続してください。5年継続すれば、500万円というまとまった額に到達します。これを励みに、次の目標額に向けて、さらに継続してください。ある程度のまとまった貯蓄は、いつか役立つときがきます。また、貯蓄額が100万円の場合と、500万円とでは日々の生活のなかでの安心感が違ってきます。
ローン返済は60歳を過ぎても続きそうです。ローンの団体信用生命保険には特約を付けられることがあります。特定疾病になったときに、ローンの残債がなくなる特約があると安心です。借り換えのタイミングがあれば検討してみましょう。
せっかく手に入れたあなたのお城です。貯蓄を増やすことはもちろん大切ですが、今を楽しむことにも気持ちを向けてみてください。それでは、思いっきりマンションライフを楽しんでください。