『男と女 人生最良の日々』 幾つになっても男と女、大人のための恋愛映画

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 ダバダバダ、ダバダバダーという主題歌で有名なフランスの恋愛映画「男と女」。映画からなんと53年ぶりに、主演の二人も監督もオリジナルと変わらないまま作られた続編です。

 失っていく記憶の中で、忘れられない女性、アンヌの面影を追いかけながら、現在は老人ホームで暮らす元レーシングドライバーのジャン・ルイ。ジャンの息子は父のため、アンヌを探し出すことを決意します。オリジナル映画の美しい映像が、まるで二人の思い出のように挟み込まれていきますが、本当に美しいのは現在の二人の姿。歳を重ねる美しさを私たちは、この映画から学ぶことができるでしょう。愛する人にかけられなかった言葉、別れへの後悔、忘れられない人。幾つになっても誰かを思う恋心が人を美しくさせることも。

 ヒロインのアンヌを演じるアヌーク・エーメは87歳。ジャン・ルイ役のジャン=ルイ・トランティニャンは89歳。監督のクロード・ルルーシュは82歳。名匠が映し出す二人の名優は「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばれる年齢ですが、スクリーンに映るのは、おじいちゃんでもおばあちゃんでもない、男と女。この映画を観ていると、歳を重ねていくにつれて日本人が忘れていってしまいがちな<恋愛>の素晴らしさをつくづく感じてしまいます。最近の日本映画は、若い人たちのキラキラ青春恋愛映画ばかりですが、この映画は究極の大人の恋愛映画と言えます。★★★★☆(森田真帆)

監督:クロード・ルルーシュ

出演:アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン

1月31日(金)から全国公開

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