マツダ、デイトナ24時間最高位となる総合2位表彰台獲得。ダブル完走に「クルマを鍛え上げた甲斐があった」

 北米最大級のスポーツカーレースイベントであるデイトナ24時間レースが1月25~26日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われ、最高峰カテゴリーのDPiクラスに参戦するマツダチーム・ヨーストは、77号車マツダRT24ーP(オリバー・ジャービス/トリスタン・ヌネス/オリビエ・プラ組)がトップと65秒差の総合2位表彰台を獲得。僚友55号車マツダRT24ーP(ジョナサン・ボマリート/ハリー・ティンクネル/ライアン・ハンター-レイ組)は総合6位でチェッカーフラッグを受けた。

 2020年シーズンのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦として行われた今レースに必勝体制で臨んだマツダ。チームが走らせる2台のDPiマシン『マツダRT24ーP』は事前のテスト段階から速さをみせ、今レースウイーク初日に行われた予選でも77号車がポールポジション、55号車も3番手グリッドを獲得した。
 
 迎えた決勝ではポールスタートの77号車が序盤戦をリードしていくが、スタートから3時間を前にして後方から追い上げてきた前年大会覇者の10号車キャデラックDPi-V.R.に先行を許す。また、レース折返しの直前には黄旗区間で追い抜きをしたとして、ドライブスルーペナルティが課せられ順位を下げてしまった。
 
 スタートから16時間を過ぎた段階では、夜間に速さをみせた10号車キャデラックが勢いをそのままに頭ひとつ抜き出る状況となり、好ペースで周回を重ねる77号車マツダもラップダウンに。しかし、その後に出されたフルコースコーションによってラップバックに成功。5号車キャデラックDPi-V.R.を交えた計3台による首位争いを展開していく。
 
 この争いは一時は3台が数秒以内で争うものだったが、レース最終盤になると小林可夢偉が乗り込んだ10号車キャデラックがふたたびスピードを発揮。2番手につける77号車マツダもジャービスが逆転を目指して必死の追い上げをみせるが、その差は縮まらず。最後はトップと65秒差の総合2位でチェッカーを受けた。
 
 マツダにとってDPiプログラムによる24時間レースでの完走は挑戦4年目となった今回が初めて。総合2位という結果は1989年のマツダ767Bによる総合5位を塗り替える最高位記録となっている。また、首位と同一ラップの833周を走破した77号車はこの週末、計190周に渡ってレースをリードした。

デイトナ24時間のポディウムに上った77号車マツダの(左から)オリビエ・プラ、トリスタン・ヌネス、オリバー・ジャービス。

■「シリーズチャンピオンを狙える」とジャービス

 一方、予選3番手からスタートした55号車マツダはレース序盤、総合3番手を争うなかでアキュラ・チーム・ペンスキーの7号車アキュラARX-05と接触してしまう。このアクシデントで7号車アキュラはクラッシュ、55号車にはドライブスルーペナルティが課せられることになった。
 
 順位を下げた55号車だったが幸いにも接触によるダメージは小さく、その後は追い上げをみせ上位争いに食い込んでいく。しかし、レース終盤になると排気系トラブルに見舞われペースダウンを余儀なくされてしまう。最後はトップグループから完全に置いていかれてしまったものの、24時間で824周をラップし総合6位でフィニッシュを迎えている。

「今日という日は、マツダにとって素晴らしい1日となった。この伝統のデイトナ24時間レースで2台とも入賞し、1台はポディウムフィニッシュだったからね」と語るのは、55号車に乗り込むベテランドライバーのボマリートだ。

 マツダUSAモータースポーツを率いるネルソン・コスグローブも「77号車の2位表彰台および55号車との2台入賞の結果は、とても素晴らしい成果だ」とチームの戦いを評価する。
 
「今季の我々の目標のひとつがIMSA耐久レースのひとつで優勝することなので、今回はあと少しだったがオフシーズンの間に我々のレースカーを鍛え上げた甲斐があったと考えている」

「このレースは、どのチームも完全無欠というわけには行かなかった。しかし、少なくとも私たちのチームは逆境に耐え、戦い続けた。とても素晴らしいことであり、私は心からこのチームを誇らしく思う」

 惜しくも準優勝という結果になった77号車のジャービスは、今回の2位は勝利と同等のものに思えると述べた。

「この結果は、大きな進歩だ。マツダにとっても、エンジニアやクルーたちにとっても報われる日になったと思うよ」とジャービス。

「あとわずかのところで勝利には届かなかったけれど、この2年間の進化スピードを考えれば、この結果は勝利と同等のように感じる」

「また、これだけは言える。僕たちのクルマは最後まで最高のパフォーマンスを発揮してくれた、と。この耐久性と信頼性をもってすれば、シリーズチャンピオンを狙える資格があると言えるだろう」

 2台が揃って24時間レースで完走を果たし、確実に信頼性が向上したことを示したマツダチーム・ヨースト。彼らが次に逢えるISMAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第2戦は3月18~21日に、セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われるセブリング12時間レースだ。

軽微なトラブルを抱えながら総合6位入賞を果たしたマツダチーム・ヨーストの55号車マツダRT24ーP
2020年のデイトナ24時間レースでは優勝車の周回数記録が従来の808周から833周に大幅更新された。総合2位となった77号車マツダも同一周回数をラップしている。

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