「鎌倉文華館」6月開館 公開に先立ち20日から展示会

平家池越しに望む同ミュージアム=鎌倉市雪ノ下

 鶴岡八幡宮(鎌倉市雪ノ下)は神奈川県から譲渡された旧県立近代美術館鎌倉の本館棟を利用した「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」を、6月8日に開館すると発表した。既に耐震・改修工事が終了しており、17日に報道陣に建物を公開した。

 本館棟は戦後日本のモダニズム建築を多数手掛けた建築家、故坂倉準三が設計し、1951年に県立近代美術館として開館。カマキンの愛称で親しまれてきたが、2016年3月31日で県と同八幡宮の間で借地契約が終了し、閉館した。

 同年11月には、建物の文化的価値が高いとして、戦後の建造物で初めて県指定重要文化財に指定され、保存活用するための耐震・改修工事を同八幡宮が進めていた。

 参道側に新しく正面玄関を設け、平家池を回遊して建物が眺められる小道を整備。建物内はエレベーターを新設し、外壁の大谷石を新しくした。度重なる改修で坂倉が意図する設計と変わってしまった箇所が多かったといい、1966年時点の設計図を元に、問題点を改善しながら原点に戻る改修を行った。

 取り壊された学芸員棟跡地には付属棟としてカフェとショップを新築。2010年3月に強風で倒れた大銀杏(おおいちょう)の幹を展示しており、今夏のオープンを目指している。

 吉田茂穂宮司は「神社という厳密には宗教活動の場だが、文化度の高い活動に向かっていくのは当然のこと。鎌倉の文学や仏教、禅など幅広く紹介する場にしたい。カマキンを引き継ぐという思いで、65年の歴史の重みと携わってきた熱情あふれる人々の意を酌んでいきたい」と話した。

 開館に先立ち、4月20日から5月6日まで、建物を公開する「新しい時代のはじまり」展を行い、設計図や改修工事中の記録などの資料を展示する。中学生以上500円、小学生以下無料。問い合わせは同ミュージアム電話0467(55)9030。

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