バット30グラム増量も「重く感じない、力が付いた」 中日根尾が語る2年目の手応え

CBCテレビ「サンデードラゴンズ」に出演した中日・根尾昂、平田良介、高橋周平(中央左から)

根尾は26日に平田、高橋とともにCBCテレビ「サンデードラゴンズ」に出演した

 1月26日、CBCテレビ「サンデードラゴンズ」に中日平田良介外野手、高橋周平内野手、根尾昂内野手が出演した。7年連続Bクラスからの脱却へ期待がかかるドラフト1位トリオ。ゲストの赤星憲広氏は彼らへの要求を語った。本番後の話も含めて、3人の意気込みを紹介する。

 95試合出場で打率.278、8本塁打、32打点。昨年の成績について平田は「寂しいですね。全ての数字が少ない」と反省。赤星氏からは「今年は打率3割、出塁率3割8分は欲しい」とリクエストがあった。本番後、「彼が1番に入った時にチームは機能しました。得点力アップのためには平田選手の出塁が重要です」と説明した。

 平田は「僕も出塁率はこだわっていきたい。あとはOPS(出塁率+長打率)ですね。最低でも8割5分、できれば9割。出塁率が4割、長打率5割が目標」と設定した。長打と四死球を増やすためにはフルスイングと選球眼が必要。そのためには相手投手、点差、イニング、ランナーの有無、カウントなど場面に応じて打席で考え方を変えなければならない。

 その具体策については「すみません、内緒です」と口をつぐんだ。ただ、「僕が1球ごとに意識を変えていることはもうばれています。ここ2年のデータを見ると、明らかに配球や攻め方がおかしい。今年も読み合いですね」と不敵な笑みを浮かべた。

 さらに平田は「僕と周平と大島(洋平)さんは全部出ないとダメ。ここ最近、周りから『全力でやりすぎ。練習も試合も抜くことが必要』と言われています。確かに僕は平凡な内野ゴロでも全力疾走する。でも、これを辞めるのは無理なんです。だから、壊れない体を作るしかありません」と全試合出場を誓った。チームトップクラスの「野球偏差値」を持つ背番号6が143試合を戦い抜けば、結果は自ずと付いてくるだろう。

 昨年ベストナインとゴールデングラブ賞に輝いた高橋は「個人としては良いこともありましたが、チームとしては悔しいです」と唇を噛んだ。赤星氏は「打率は3割2分。打点も最低80点は欲しい。もし、100打点を稼げれば、優勝しますよ」とエールを送った。

 打点と関係する得点圏打率が.262と物足りなかったことについて高橋は「チャンスで打つには頭の整理が大切。データ上、僕に対しては『困ったらインコース』という結果が出ています。ただ、それが先に来るのか、後に来るのかはケースバイケース。いずれにせよ、僕は内角をさばけないと話になりません」と自己分析した。「打率は上がったり下がったりするので追いかけません。それより増えるもの。ホームランは最低でも2桁。打点は1点でも多く」と力を込めた。

 勝利に貪欲な高橋は「とにかく勝つ。勝たないとチームが変わったとも思われないし、意味がない。僕がキャプテンをしている間に絶対に優勝したい」と本番後も熱かった。新選手会長の京田陽太が「ビールかけの音頭は周平さんではなく、僕がします」と宣言していることについては「どうぞ、どうぞ。ただ、僕が一番はしゃぎますよ」と笑った。

根尾は今オフ台湾WLに出場、年明けはロサンゼルスと鳥取で自主トレに励んだ

 1月12日に同番組に出演した与田剛監督は根尾について「外野をさせているのは出場機会を増やすため。ただ、開幕から1軍に置くのか、2軍で経験を積ませるのか、それは打撃次第です。内野でも外野でも、彼を守備固めや代走要因で起用するつもりはありません。魅力は打撃。今後、伸ばすべきものも打撃。現実的に1軍野手の登録枠を考えると、大島や平田ではなく、まずは藤井、井領、渡辺など控え外野手、しかも打撃を期待される選手との勝負になる。ファンの期待が大きいことは分かっていますが、そこが彼の今の位置」と明言した。

 赤星氏は「2軍で3割。その後、1軍定着」と示した。「まずは2軍で結果を出して、シーズンの中盤、できればもっと早く上に来て戦力として定着して欲しい」と期待を寄せた。とにかくバットが鍵を握る。

 それは根尾も自覚していた。「とにかく僕は打つことです」ときっぱり。今年はバットを改良した。「去年は880グラムでしたが、この軽さだと小手先で振れてしまう。もっと下半身を使って力強くスイングするために重くしようと。バランスを整えるうちに今の910グラムのバットになりました。最初から30グラム重くしようとしたのではなく、これに落ち着いたという感じです。実は周平さんのバットを工場に持って行きました。グリップはかなり近い形です。今はこのバットが重く感じません。力が付いたんだと思います」と手応えを口にした。

 昨シーズン終了後、根尾はすさまじい日程で野球を続けた。10月は宮崎フェニックスリーグ、11月は沖縄秋季キャンプ、12月に台湾ウインターリーグ、1月はロサンゼルスと鳥取で自主トレ、今はナゴヤ球場で練習している。このオフについて根尾は「最も重点を置いたのは全身のトレーニングです。筋力アップはもちろん、可動域を広げ、柔軟性を高めることに取り組みました」と振り返る。

 全ては完璧な準備のため。「去年は怪我でキャンプもできず、振り込みもできないままでした。正直、春から夏まではずっと足がフワフワしていました。やはり大切なのは準備。打席ではもう打つしかないし、打つことに集中したい。いかに打席に入るまでに準備をするか。ここまでは順調です」と笑顔をのぞかせた。

 まもなく2月1日。平田は読谷で強靭な体を作り、高橋は北谷で大声を出しながら、チームを引っ張り、地道に内角を克服する。そして、根尾は打つ。開幕は3月20日。稽古不足を幕は待たない。いよいよ勝負が始まる。(CBCアナウンサー 若狭敬一/ Keiichi Wakasa)
<プロフィール>
1975年9月1日岡山県倉敷市生まれ。1998年3月、名古屋
大学経済学部卒業。同年4月、中部日本放送株式会社(現・株式会
社CBCテレビ)にアナウンサーとして入社。
<現在の担当番組>
テレビ「サンデードラゴンズ」毎週日曜12時54分~
「High FIVE!!」毎週土曜17時~
ラジオ「若狭敬一のスポ音」毎週土曜12時20分~
「ドラ魂キング」毎週金曜16時~

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