【愛川・受刑予定者逃走】自治体に検事正謝罪 首長「強い憤り」

謝罪のため愛川町の小野澤町長を訪ねた中原検事正(右端)=24日午後3時50分ごろ、同町役場

 横浜地検の中原亮一検事正が24日、逃走を続けていた無職の男の自宅がある愛川町や厚木市を訪れ、一連の不手際を謝罪した。「こうした事案を発生させ、痛恨の極み。二度と起きないよう再発防止に努める。誠に申し訳ない」と頭を下げる地検トップに対し、首長からは「言い訳はつかない」「強い憤りを感じる」と猛省を促す苦言が相次いだ。

 面会で愛川町の小野澤豊町長は「地検から連絡があったのは発生から3時間半後。幸いにも二次被害はなかったが、児童の下校時間と重なった。もし遭遇していたらどうだったか。町民の安全を守る町長として強い憤りを感じる」と抗議。同容疑者が判決確定後4カ月余り収容されなかったことに「すごく疑問が残る」とただした。

 同容疑者が車を乗り捨てた厚木市の小林常良市長は「情報が早ければ対策も早く打てる。検証し具体的な行動をとってほしい」と要請。面会後は「説明に来てもらったことは受け止めるが、伝えるべきことは(要望書で)伝えていく」と述べた。2市町は25日にも、法務省と横浜地検に対し情報共有を求める要望書を提出するとしている。

 中原検事正が2市町に先立って訪れた県庁では、黒岩祐治知事が「あってはならないこと。情報に対する感度の鈍さは言い訳がつかず、大いに反省しなければいけない」と指摘。「県警の対応にも問題があった」とし、県としても検証する意向を示した。

 中原検事正は面会後「当面は検証や再発防止をきちんとする」と辞任を否定し、早急に再発防止策をまとめる考えを示した。 

© 株式会社神奈川新聞社