院内の医療機器を一元管理 タブレット端末で情報確認 九州テン開発システム

システムのタブレット端末を操作する臨床工学技士=長崎市葉山1丁目、光晴会病院(九州テン提供)

 無線通信機器製造の九州テン(本社福岡市、本店長崎県佐世保市)は、病院内の医療機器を一元管理するシステム「エース・メディステーション」の導入を全国に広げている。人手や手間がかかっていた業務を省人化、効率化できる。九州・沖縄の国立大学病院でのシェアは50%。2023年には現在の2倍となる全国50施設への拡大を目指す。
 人工呼吸器や体外循環装置といった医療機器類は、高度化・複雑化している。その数も、病院によっては2千~4千に上る。管理は臨床工学技士(ME)が担うが、人員は限られ、負担は増える一方だった。
 これまでは手書きの台帳で管理し、使用する際には電話での連絡を必要とするなど、手間がかかっていた。さらに定期的な点検も必要。持ち出しや返却を繰り返すうちに、所在不明になることもあるという。
 エース・メディステーションは、こうした課題を解決する目的で、15年に販売を開始。各種機器に2次元バーコードラベルを貼り付け、管理を一元化。タブレット端末で、現在の貸出先や返却状況、点検、修理などの情報を確認できる。アイコンが大きく、誰でも使いやすい設計を採用した。
 インストールできる台数に制限がないため、MEだけでなく放射線や検査などの部門も同じシステムでの運用が可能。電子カルテ端末にも導入でき、機器の在庫数確認や修理依頼など、看護師からMEへの問い合わせを減らせるという。
 点検が済んでいない医療機器を持ち出そうとすると、警告する仕組みがあり、医療事故の防止にも貢献。消耗品の持ち出しを記録することで、在庫管理にも役立てる。
 導入した病院からは「作業時間を大幅に削減できた」「一元化による情報共有が可能になった」といった声が上がっている。
 現在、慶応大学病院(東京)や光晴会病院(長崎市)など全国25施設が取り入れている。特に、九州・沖縄にある国公立大学病院8カ所のうち、九州大学病院や鹿児島大学病院など4カ所で導入実績がある。
 システムを開発したソリューション営業部の豊田哲也シニアマネジャーは「省人化が実現でき、人手不足の中、働き方改革にもつながる。医療現場の安全にも貢献できるシステムだ」と語った。

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