ベンチャー企業の成長期待 2020年版九州経済白書 地域活性化に役割 10、20日に長崎県内で説明会

従業者数の推移(2012.2016年)と開業5年以内企業による従業者の雇用、割合

 九州経済調査協会(九経調、福岡市)は30日、「ベンチャー企業の成長による地域活性化」と題する2020年版の九州経済白書を発表した。ベンチャー企業は、雇用の創出や新しいビジネスの担い手として地域活性化に果たす役割があると指摘。起業を促す取り組みを進めると同時に、成長が見込まれる企業への集中支援や海外を含めたビジネスマッチングの充実、研究開発段階での資金支援などが必要と提言した。
 ベンチャー企業とは、新技術などを使って独創的なビジネスを展開する創業まもない企業を指す。
 白書では、雇用面で12~16年の九州地域(九州7県、沖縄県、山口県)の従業員数を比較すると、この5年間で計約13万3200人(うち長崎県は約1万6千人)が減った。これに対し、ベンチャーなど5年以内に開業した企業の従業員は約18万7千人(同約1万1900人)に上り、雇用に一定の効果があることを示した。
 九経調がベンチャーと定義した企業に実施したアンケート(回答数274社、うち本県18社)では、売上高10億円以上の企業が4.6%ある一方、約6割が1億円未満だった。背景として、特定企業や行政を対象とした請け負いなど、市場を拡大しにくいビジネスを重視している傾向が判明。成長を目指すには、多くの人が利用できるサービスの基盤(プラットフォーム)を提供するビジネスへの転換や海外進出が必要とした。
 プラットフォームビジネスの事例として、国内外のゲストハウスなどに定額で居住しながら働けるネットワークサービスを展開する長崎市の「KabuK Style(カブクスタイル)」を取り上げた。
 九州地域の「強み」は、大学の先端研究の事業化を目指す動きの活発化や、行政、金融、公的機関などによる支援策の拡充にあると指摘。これに加えて、各県で独自に展開する支援策も活用することで、急成長するベンチャー企業が生まれるモデルができれば、多様なニーズに応えられる地域として、外から人材や資金を呼び込める可能性もあるとした。

 ■2月10、20日に長崎県内で説明会

 九州経済調査協会は、2020年版九州経済白書の説明会を開く。県内は2月10日に長崎市の十八銀行本店10階会議室、同20日に佐世保市のFFG佐世保ビル4階セミナールーム。ともに午後1時半~3時。聴講無料。会場では希望者に白書を特別価格2500円で販売する。問い合わせは、長崎会場は長崎経済研究所(電095.828.8281)、佐世保会場は九経調(電092.721.4909)。

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