「セミナーにも行っていないので、自信がない」「志望業界が全滅、どうやってエントリーシートを書こう」など、その書き方に悩む就活生は多くいるはずです。ある程度の企業研究はもちろん、いくつかのポイントを押さえると、エントリーシートはぐっと書きやすくなります。今回は、特に気をつけたいポイントをまとめました。
エントリーシートで欠かしたくない3つの要素とは
エントリーシートは、自分の言葉で自分を売り込むためのツールです。会社員として働くのに必要な能力はたくさんありますが、なかでも「主体性」「協調性」「論理性」が重視される傾向にあります。この3つの要素を感じられる文章を書くことで、企業側に関心を持ってもらえる可能性が高まるでしょう。
主体性
エントリーシートに限った話ではありませんが、自己PRをしなさいと言われると、何か立派な実績が必要ではないかと考えてしまう人は少なくありません。しかし、世の中のすべての人が輝かしい業績を持っているわけではありません。
それでは、特に目立った業績のない人は何もアピールできることがないのでしょうか。そうではありません。一部の立派な業績は、うまくいかなかったたくさんの挑戦の果てにようやく得られるものです。成功の陰には、たくさんの失敗があるはずです。
実際に仕事をするときも同様で、新しいことに取り組んですぐに結果が出ることは稀でしょう。壁に行き当たったとき、どう工夫するか、どんな打開策を見つけられるかが大切で、それには本人の主体性が欠かせなくなってくるのです。
立派な実績がない人でも、これまでなんにもチャレンジしてこなかったというわけではありません。自分では意識していないだけで、過去を思い返せば、自ら始めた物事が何かしらあるはずです。勉強・スポーツ・その他習い事など、自身の記憶を振り返ってみましょう。
- ○○を続けています
- こういう所がうまくいかず、苦戦しました
- 自分なりにどうやって乗り越えるか試行錯誤しました
こういったエピソードは、主体性のアピールとして十分使えます。材料としてメモしておきましょう。
協調性
協調性は、ある意味主体性と両立するのが難しい要素です。主体性の強い人は自分でどんどん物事を進めていきますので、仲間と連携するチームワークを苦手とすることもあります。
そういう意味では、主体性の弱さを自覚している人ほど協調性についてはアピールできる可能性があります。気をつけておきたいのは、協調性とは周りの言いなりになってしまうことではないということです。チーム一人一人の違いを理解しつつ、それぞれの良さや得意なことを生かして目標を達成するのに必要な能力です。
例えば、ゼミやサークル、友達同士などのトラブルを仲裁した経験などはないでしょうか。協調性のある人は意識せずにその能力を発揮できることもあるので、自分自身ではあまり自覚していないかもしれません。親しい友人などに尋ねてみるのも良いでしょう。
論理性
論理性は、最もアピールが難しいポイントかもしれません。なぜなら、エントリーシートが論理的に構成されていなければ、いくら言葉を尽くして説明しても、「この人は論理性があるな」と納得させることができないからです。面接で説得力を上げるために、まずはエントリーシートの文章を論理的に書くことが求められます。
それでは、論理的な文章というのはどういうものなのでしょうか。グロービス経営大学院教員の岩越氏は以下のように言っています。
論理的に考えるとは、
「問い」と「答え(=主張と根拠のセット)」を考えること
です。
つまり、今ここで答えを出すべき「問い」を明確に設定し、その「問い」に「答え」を出す。その「答え」は自分の言いたいこと、つまり主張だけではなく、なぜそう考えたのかという理由(=根拠)もセットで明示するということです。
(引用元:「論理的に考える」ってどういうこと?ロジカルシンキングの基本を学ぶ<DAY2> | GLOBIS 知見録)
「問い」と「答え」と言うとやや分かりにくいですが、「問い」を「テーマ」「自分の意見」、「答え」を「理由」「根拠」と置き換えるとイメージが沸きやすくなるのではないでしょうか。エントリーシートに書く自分の意見・主張には、必ず根拠が必要になります。
印象に残ることが大切!
これまで、エントリーシートを書くときに意識しておきたい3つの要素を解説してきました。心構えや前提に続いて気をつけたいのは、読む人の印象に残るエントリーシート作りについてです。
人事は数千枚のESを読むことも
企業の採用専用ウェブサイトや、就活サイトの企業ページを見てみましょう。多くの企業は、担当部署とそのメンバーを記載しています。
今からエントリーシートを出そうとしている企業の担当部署のメンバーは、何人でしょうか。多い所でも10人以下、2・3人という企業もあります。これが採用担当者です。採用担当者はほんの数人で、学生から大量に送られてくるエントリーシートを読まなければなりません。
自分が数千枚の書類を読むことを想像してみましょう。どうしても読みやすいもの、分かりやすいものに目が行ってしまうのではないでしょうか。手書きの書類であれば、なおさらです。読みにくい書類は印象に残らないばかりか、疲れているときなどに見ると悪いイメージを持ってしまうかもしれません。
「人事担当者は数人で大量の書類を読む」ということを前提にすると、エントリーシートの書き方が変わってきます。しかし、「どういう書類が目に付きやすく、読みやすく、印象に残るのか分からない」という方もいるかもしれません。
そのようなときは、白黒で印刷されたチラシや教科書などを並べて見てみましょう。内容にかかわらず、ぱっと目に付きやすいものがあるはずです。それらのフォントサイズや字の間隔、余白は、目に優しく読みやすいものになっていると考えられます。一般的に、書類はぎっしり文字が詰まっているよりも適度な余白があった方が読みやすくなります。自分が「これは読みやすいな」と思ったものを参考にしましょう。
エピソードは絞って、具体的に
熱心に準備するあまり、書きたいことがたくさん出てきてしまう人もいるでしょう。しかし、エントリーシートのスペースや文字数には限りがあります。そのため、たくさんの要素を詰め込むと、全体として何を伝えたいのかがぼやけてしまう恐れがあります。自分が伝えたいことを最も良く表してくれるエピソードや主張に絞って書くようにしましょう。
また、エントリーシートは会話やSNSの書き込みと異なることに留意しましょう。日常のコミュニケーションでは、お互いのことをある程度知っている間柄で話をします。そのため、「この間サークルで誰々が○○したんだよ」「ああ、いつも××って言っているもんね」という最低限の言葉で会話が成立します。
しかし、エントリーシートを読む担当者にはそのような前提がありません。同様の内容を伝えるのでも、以下のような具体的な説明が必要になります。
- サークルはどのような活動をしているのか
- 誰々とはどのような人か
- 自分との関係性は何か
- ○○のインパクトはどのようなものなのか
- ××という普段からの主張とはどのような関係があるのか
具体的に、論理的に分かりやすく書くことで、伝えたい内容を正確に表現できます。
結論から先に書こう
「入社してからやりたいことは、なんですか」「学生時代に頑張ったことは、なんですか」など、エントリーシートの質問は具体的な答えを求めるものが大半を占めます。このような項目では、「私のやりたいことは〜です」「学生時代は〜を頑張りました」というように、結論から書く癖を付けましょう。
エピソードや自分の考えから書き始め、「〜という理由で、私は〜をやりたいと考えています」と結論づけることもできますが、結論を最後に書くようにすると、結論にたどり着くまでに話題が広がりすぎたり、違う主張が入ってきたりしてしまいがちです。先に結論を書いておくことで、必要なこと以外を書かないように自分自身を抑制することができます。
こんなときどう書く?頻出項目の書き方
大学新卒者の就職活動は、複数社を並行して受ける短期決戦になる傾向にあります。第一〜第三志望くらいまでは熱意を持ってエントリーシートに取り組める人も、片手の数を超える枚数を書いていると、だんだん「何を書いたらいいのか分からない」という状態になってきます。そんな「特に書くことがない」とき、頻出項目には何を書くと良いのでしょうか。
「志望動機」の書き方
多くのエントリーシートで、志望動機が尋ねられます。企業によって表現を変えなければならないことが多いので、毎回悩む人も少なくないでしょう。
給与面や転勤のあるなし、福利厚生などの待遇を重視して企業を選んでいる人も多いですが、「待遇が良いから志望しました」とは書けません。志望動機は自分のものでありつつ、企業の求める人材とマッチしているかどうかを測るための材料でもあります。
「書くことがないな」と悩むときは、企業の採用情報をもう一度見てみましょう。事業・商材・職務内容から、入社したらどのような業務があるのかがある程度分かります。その中から1つ興味のあるものを選び、どうして興味があるのか説明しましょう。
そうすることで、実際に入社した後のイメージができますし、関心を持ってしっかり企業研究してきたことをアピールすることもできます。その際、企業のウェブサイトだけでなく、SNSなどの口コミやニュースなども検索してみると、さまざまな角度から企業について知ることができるでしょう。
「学生時代について」の書き方
学生時代についての質問も頻出しています。サークルの代表であったり、海外ボランティアの経験であったり、立派な実績が必要そうな気がしてしまうかもしれませんが、学生の本分は学業です。
学業以外にどうしてもアピールしたい経験がある人は別として、「特に書くことがないな」と思う人は、自分が学んだことについて説明することをおすすめします。どうしてその専門を選んだのか? 専門の中でもどのようなことに興味があるのか? などは、志望者の人となりを知るのにとても良い材料になります。勉強に対する姿勢から仕事に対する姿勢を推測する人事担当者もいるでしょう。
本人にとっても、就職活動の時点で大学の勉強について振り返っておくことにはメリットがあります。新卒者の場合、就職活動終了後、本格的に卒業論文・卒業研究に取り組むというスケジュールが一般的です。就職活動の時点で大学で学んだことをまとめてみることで、これからどのような卒論・卒研をしたいのかを考えることができ、一石二鳥となります。
「自己PR」の書き方
「自己PRでは、つかみを大切にしましょう」という話を聞いたことがあるかもしれません。実際に例文を読んでみると、「私は糊のような人間です」といった、少々奇をてらったような書き出しの自己PRに出会うことがあります。
もちろん、このような特徴的な文章が悪いわけではありません。しかし、このような自己PRを読んだ担当者は、「この人は一風変わったユーモアの持ち主なのかな」ということを期待する可能性があります。書類選考後の面接のときにも、ユーモアや機転の利いた発言などを期待されるかもしれません。
「おもしろいことを言って面接担当者を笑わせてやろう!」と意気込んでいる人には良い戦略ですが、そうでない人はあまり文章の技巧に走らず自己PR文を書いた方が良いかもしれません。
しかし、キャッチーなことを書かず、かつ印象に残る自己PR文を書くのは難しいと思うかもしれません。そのようなときも、企業の採用情報をもう一度読んでみましょう。特に「求める人物像」が文章として提示されているときは、良い参考になります。
企業が求める人物像と一致するものは何か。一致しない部分はどうやって改善していけるか。そのようなことを考えてまとめれば、採用する側の目線に立った自己PR文を書くことができるでしょう。
エントリーシートの仕上げのときに気をつけたいことは?
エントリーシートに書くことがだいたいまとまったら、最後に清書して提出します。仕上げとして、以下のことに留意しておきましょう。
ウェブエントリーの場合
ウェブエントリーは、さまざまな方式があります。入力フォームに記入するシステムの場合は、長文であっても改行なしに送信されることがあります。手書きと違い、体裁を整えることが難しいので、文章としての読みやすさにより注意しましょう。具体的には、可能な限り一文を短くすること、結論と理由は離さずに続けて書くことなどを心がけましょう。
手書きの場合
手書きの場合に気をつけたいのは、文章の読みやすさです。字をきれいに書く自信がない人は少なくありませんが、上手でなくても読みやすい字を書くことを心がけましょう。また、前述したように字を詰めすぎない、小さすぎず大きすぎない字を書くことなども読みやすさにつながりますので、注意して書きましょう。
まとめ
エントリーシートは、どの企業も似ているようで少しずつ異なるため、何社分も書くことに負担を覚える人は少なくありません。「書くことがなくなってきたな」と思ったら、まずは企業の採用情報を再読して、どのような人材が求められているのかを再確認してみてください。ていねいにまとめて、企業から好印象を持ってもらえるようなエントリーシートを作りましょう。
参考
「論理的に考える」ってどういうこと?ロジカルシンキングの基本を学ぶ<DAY2> | GLOBIS 知見録
協調性をアピールする自己PR例文・ポイント |エン転職
【ES見本あり】通る!!エントリーシートの良い例と悪い例を公開 |Point of Job hunting Success!
エントリーシートの正しい書き方『人事の見方』編|OpenES
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