エントリーシートの自己PRには何を書けばいいの?ほかの欄との違いは

「自慢できるような実績もないし、大学の成績が良いわけでもないし、自己PRって本当に憂鬱」と思っている就活生もいるのではないでしょうか。自己PRという名称から、しっかりと自己主張しなければならないように感じるかもしれませんが、エントリーシートは就活生と企業が最初にマッチングを行うツールです。採用する側の気持ちに立てば、自己PRに書くべきことが見えてくるでしょう。

当記事では、エントリーシートの自己PRの書き方について解説します。

エントリーシートの自己PRって何を書けばいいの?

企業の求める人材像に適合することをアピールする

どうして企業は、志望者に自己PRをさせるのでしょうか。自己PRが重要な理由を改めて考えてみましょう。

企業は、自己PRの内容がその人を採用するかどうかの判断材料になると考えています。なぜならば、自己PRは自分のことをアピールしつつ、相手のことをどれだけ考えているかを伝えることができる項目だからです。

例えば、授業で使う英語の辞書を忘れてしまった人のことを考えてみましょう。「これから英語の辞書を貸してくれる人を探しているんだけど」と友達に言ったところ、「漢和辞典なら貸せるよ! 私の漢和辞典すごく分かりやすいよ」と返事が返ってきました。この友達は漢和辞典をとても気に入っているのでしょうが、相手のことを全く考えずに発言しています。

まさかと思うかもしれませんが、エントリーシートの自己PR欄でも似たようなことが起こりうるのです。企業側は英語の辞書を貸してくれる人を探しているのに、漢和辞典や国語辞典、フランス語の辞書しか持ってこない人がいます。

つまり、自己PRに必要なのは「私は貴社の役に立てますよ」というアピールです。自己PRを書くときはそのアピール内容を具体的にし、説得力を持たせるためのキーワード探しが大切になります。

もう一度募集要項をチェック

「そう言われてしまうと、さらに自己PRに自信がなくなった……」という方もいるかもしれません。そんなときは、もう一度企業の募集要項をチェックしましょう。

ここからは求人内容を具体的に考える題材として、株式会社村田製作所の新卒採用ページを参考にします。自社のリクルートサイトをていねいに作っている会社なので、考える材料がたくさん見つかります。特にヒントになるのが、「企業の求める人材像」です。

われわれが求める人材像の第一は、自らの考えに基づいて、行動を起こすことができる人。

自分の中で夢や目標を強く意識していることは、企業人として必要なことですが、ただ思い描いているだけでは意味がありません。自らの夢や目標に向けて、主体的に行動し、必要な決断を行い、その結果を真摯に振り返って次のアクションに生かすことができる人財には大きな価値を認めています。

第二に、異なる環境や人々の中に恐れずに飛び込んでいくことができる人。

ムラタでは、職種を問わず、多種多様な人々に対して、自分から積極的にコミュニケーションを図れる力が必要不可欠となります。

(引用元:求める人材像|muRata 採用情報)

人材像の中に自分と一致している所はあったでしょうか。また、「ここは自分に当てはまらないな」と思う所はあったでしょうか。当てはまる所は、すぐに自己PRとして書ける内容です。当てはまらない所は「今後の課題」というような表現をすれば、企業としては「うちのことをしっかり考えて自己PRを書いてくれたんだな」という良い印象を持ちます。当てはまらないからといって、自己PRができないということにはなりません。

適性診断などの結果を再確認

企業の求める人材像と一致しているかいないかを判断するには、適性診断の結果なども活用すると良いでしょう。自己分析だけではやや心許ない説得力を得ることができます。

適性診断を活用する場合は、向いている職種だけでなく「自分にはどういう特性があるか」にも着目しましょう。チームワークを重視する企業にエントリーシートを提出しようとしているが、自分の協調性はとても低いと考える人もいるでしょう。それは現状のままでは欠点ですが、どうやって補えばいいのかを考えることで「今後の課題」とすることもできます。

参考

適職診断(無料) | キャリアインデックス

自分のどういった面が企業で活躍できるのかを説明する

課題探しも大切ですが、まずは自分の一番の利点を説明しましょう。行動力がある人なら行動力を、計画性なら計画性、作業にミスが少ないことなども利点の一つです。

いくつか自分の良い所があると主張できる人は、エントリー先の企業が最も重視するであろうポイントを探しましょう。また、読み手に納得感を与えるために、具体的なエピソードを書き添えることもおすすめします。「読み手は自分のことを全く知らない人だ」ということを念頭に置いて、知らない人にも想像してもらいやすいエピソードを選び、具体的に解説しましょう。

書きたいことは1点に絞ろう

「自己PRは計画性について書こう。でも、それだけじゃ弱いかもしれない。ほかのことも書いた方がいいかな?」と、書いているうちにこんな迷いも出てくるかもしれません。しかし、そこはぐっと我慢して、話題を絞って書きましょう。

自己PR欄に限らず、エントリーシートの記入欄は文字数制限があります。たくさんの要素を詰め込むと内容が箇条書きのようになり、読み手を納得させる文章にできません。企業の求める人材像と勘案して、一つの要素に絞って自己PRしましょう。

「これまでに頑張ったこと」などとはどう違うの?

「学生時代に頑張ったことを教えてください」などの質問と自己PRは、とても似ているように感じます。「頑張ったことだって必死に考えて捻り出したのに、これ以上PRすることが見つからないよ……」と思っている人は、どのように自己PRを書けば良いのでしょうか。

「これまで」は過去に自分が実行し、考えたこと

「これまでに頑張ったこと」は、すでに完了した出来事です。そのときに自分がどう考え、何を努力したのかは、終わったからこそ簡潔にまとめることができます。

「頑張ったこと」というと実績ばかりが気になってしまうかもしれませんが、「このときはうまくいかなかったけど頑張った」というものもあります。振り返りや反省の機会としても捉えることができるわけです。

自己PRには「これから」のことを踏まえた内容を書こう

一方、自己PRは入社後の自分を見据えて書いた方が良いでしょう。「これまではこうだった。その結果、こういうことが分かった。それを踏まえて今後はこうしていきたい」という意思です。

もちろん過去に成し遂げたことは大切ですが、仕事を始めると、それまで経験したことのない出来事にたくさん出会うでしょう。これまでの蓄積だけに頼るのではなく、新しいことをどう取り入れて進んでいくのか、その姿勢が評価されると考えましょう。

ここまで読んでも、「それだけでは地味すぎて不安」という人もいるかもしれません。しかし、企業側は、どこでも目立つことができて華々しいエピソードを持つ人だけを採用したがっているわけではありません。三井物産株式会社人事の古川氏は、対談で以下のように発言しています。

今の就職活動はすごい情報戦になっています。そして情報戦になっているがゆえに、あまりにも準備をしすぎてしまう学生が多い。私たちは何も、面接の達人を採用しようと思っているわけではありません。そこを見極めるのが大変ではありますね。同時に内定を取るための準備としていろんな情報を集めるのは、本質的には何か違うんじゃないかとも思っています。

(引用元:大企業も気づいていた!平成の新卒採用はやっぱりおかしい│日経ビジネス)

地道に探していけば、自分に合う企業はきっと見つかります。周りに流されず、自分の物差しで就職活動をすることも大切です。

まとめ

自己PRに悩む人は、「どうやったら書けるかな?」と企業の採用情報をしっかり読み直します。「私の話を聞いてください!」と積極的に主張できる人とは違うかもしれませんが、その分、企業が求めるものをより深く理解できる可能性があります。自分の可能性を信じて、就職活動に取り組んでみてください。

参考

求める人材像|muRata 採用情報

大企業も気づいていた!平成の新卒採用はやっぱりおかしい | 日経ビジネス

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