一般的に1枚のエントリーシートを読む時間は1分程度といわれています。そのような短時間で人事担当者に好印象を与える写真を準備するには、企業がエントリーシートに写真貼付を求める理由を知ることが大切です。当記事では、企業の意図に沿った写真を撮影するための身だしなみの3つのポイントやおすすめの撮影場所、そして写真準備で注意したいことなど、エントリーシートに貼付する写真について解説します。
エントリーシートで写真貼付を求める理由
エントリーシートには、就職活動中の学生(以下、就活生)本人の写真として「証明写真」の貼付が求められます。また、場合によっては証明写真以外に「自分らしい写真」を求める企業もあります。
ではなぜ、企業側はエントリーシートに写真を貼付するように求めるのでしょうか。企業側の意図を知って要望に応じた写真を準備できるようにしましょう。
証明写真を貼る理由:本人確認
エントリーシートに証明写真を貼る理由は、応募者の本人確認を行い、他人のなりすましを見分けるためです。
一般的に、エントリーシートに貼付する写真は3~6ヶ月以内に撮影したものを求められます。これはエントリーシートを提出した就活生本人が、面接に来ている人物と一致しているかを人事担当者が確認するためです。
「自分らしい写真」を貼る理由:人生経験や能力
企業によっては、エントリーシートに「あなたらしい写真を貼ってください」と指定している場合があります。「自分らしい写真」とは、就活生本人の人物像を企業にアピールする写真をいいます。
エントリーシートには、学歴・職歴やスキル・資格、志望動機、自己PRなど文字や文章で自分を表現する欄がたくさんあります。しかし、それらの言葉だけでは、応募者の人物像を色鮮やかに思い描くには足りません。企業側は応募者の「自分らしい写真」に描かれた表情や情景から、応募者の人生経験や能力、熱意、人間性などを視覚的に知ろうとしています。
人事担当者はどこを見る?証明写真撮影時の身だしなみ
就活準備ガイド「リクナビ」が実施したアンケートによると、インターンシップ応募用の写真で人事担当者が気になるポイントの上位3位は次のとおりでした。
第1位:表情(70.4%)
第2位:髪型(54.8%)
第3位:服装(51.4%)
参考
インターンシップ応募用の写真、人事はどこを見ている?服装や髪型など気をつけるポイントは?|リクナビ
つまり、人事担当者が気になるのは就活生の「身だしなみ」であることが分かります。では、人事担当者に好印象を残す身だしなみはどんなものかを順番にご説明しましょう。
第1位【表情】微笑をイメージして目を大きく、口角を上げよう
人事担当者に好印象を残す表情は「微笑み」です。無邪気な笑顔は緊張感や社会人としての落ち着きが感じられず、無表情は自信がなく暗い印象を与えてしまいます。そのため、自信や冷静さを感じさせる「微笑み」を意識して撮影に臨みましょう。このとき、普段から眼鏡を着用している人は眼鏡をかけたままでも構いません。
【好印象を残す表情のポイント】
普段よりも目を大きく開いて、正面をしっかりと見る歯を見せずに、口角を上げて微笑む眉毛を整えるのは良いが、短く細くしない女性は濃い化粧は避けてナチュラルメイクを心がける男性はひげを剃る
参考
就活写真に最適な表情とは?撮影前に知るべき好印象に写る方法を解説|就活スタートガイド
第2位【髪型】自然な清潔感!顔周りはスッキリ見せよう
人事担当者に好印象を残す髪型を作るポイントは「自然であること」と「清潔感」です。男女別にすっきりした自然な髪型を作るポイントを見てみましょう。
【好印象を残す髪型を作るポイント】
男性 女性 長さ 短髪(注)ツーブロックは受け入れられない場合がある(注)天然パーマを矯正する必要はない前髪は眉上で、おでこを出す方が良いもみあげは耳までサイドはこめかみが隠れない程度襟足は襟にかからない程度 長さは自由前髪は眉上で、横に流すどんな長さでも必ず耳は出す 色 地毛に近い黒、こげ茶
(注)地毛が茶色がかっている場合は黒染めの必要はない
(注)企業・業界・業種・在籍職員に合わせる。
参考
好印象なインターンES写真を撮影するには?服装・髪型・サイズなど詳しくご紹介|スタジオ728
第一印象は髪形でキマる!就活のメンズヘアスタイルを輪郭別に紹介【2018版】(2019.10.7)|センケンjob新卒
第3位【服装】面接時と同様!男女ともスーツが基本
人事担当者に好印象を残す服装のポイントは「社会人としての覚悟」を見せることです。一般的な企業の就職活動での服装は、男女ともスーツが基本です。男女別のスーツ選びのポイントを見てみましょう。
【好印象を残すスーツ選びのポイント】
男性 女性 スーツの色 黒
(注)濃紺やダークグレーが良い企業もある
(注)ストライプは避ける
(注)華美なボタンは避ける
(注)華美なボタンは避ける
- 普通体型の方はレギュラーカラー
- 大柄な方はワイドカラー
(注)第1ボタンはネクタイを締める場合でも、閉めておく
レギュラーブラウス
参考
いろいろあるジャケットの種類!ラペルやポケットにもこだわろう(2015.4.15)|オリヒカ
レディース就活スーツのおすすめ人気ランキング10選【2019年最新版】|マイベスト
スキッパーシャツとは?レディースコーデのコツや、おしゃれでかわいいスキッパーシャツを紹介!|Lady’s Code Collection
プレーン・ノットとは?|THE SUIT COMPANY
アパレルや広告、IT業界では「私服での撮影も可」という撮影条件がある場合があります。このような個人的な美的センスや発想の柔軟性を重視する業界の場合は、自己アピールをする機会と考え、私服で撮影した写真を貼付しましょう。
エントリーシートに貼る証明写真はどこで準備する?
就活準備ガイド「リクナビ」が実施したアンケートによると、就活生がインターンシップ応募用の写真を撮影した場所の上位3位は次のとおりでした。
第1位:写真館(54.1%)
第2位:スピード写真(25.6%)
第3位:スマートフォンやデジカメで自前撮影(12.8%)
参考
インターンシップ応募用の写真、人事はどこを見ている?服装や髪型など気をつけるポイントは?|リクナビ
では、就活生がエントリーシートの写真撮影場所を選んだポイントを順番に見ていきましょう。
第1位【写真館】値段は高いが安定したプロの仕事
最も多くの就活生が写真撮影場所に選んだのは写真館でした。値段は1,000~10,000円と幅があり、多くの企業にエントリーする場合はその分高額になることに注意しましょう。
ほかの撮影場所に比べてお金が高くかかるにも関わらず、就活生が写真館で証明写真を撮影することを選んだ理由をまとめると次のとおりです。
【就活生が写真館で証明写真を撮影した理由】
撮影のプロなので、人事担当者に好印象を残すアドバイスをくれたり、服装の乱れを直してくれる照明・背景を調整し、自然で明るい写真が撮れるヘアメイクの担当がいる写真館では証明写真用に髪型を整えてくれるWebでの応募用に写真データを購入できる
参考
就活のエントリーシート用証明写真を撮る前に知っておくべきポイントと撮り方(2019.10.7)|センケンjob新卒
これに対して、学生・社会人・人事担当者・企業をつなぐサイト「ジョブウェブ」が人事担当者に実施したアンケートによると、写真撮影を写真館で撮影した方が良いと考える比率は47.4%であることが分かりました。理由をまとめると次のとおりです。
【人事担当者の意見】
写真館で撮影した方が良い理由 写真館で撮影しなくても問題ない理由 就職に対する意欲や気合いを高く感じる写真館で撮影した写真はきれいなので、表情や性格を読み取る上で助かる 写真館でなくても同程度レベルの写真が撮れる写真写りで不採用にすることはない個性が伝わる写真を求める証明写真は必要ない
参考
就活の証明写真は写真館で撮影しないとNGなのでしょうか?(採用活動ミニアンケート調査報告)(2018.8.30)|ジョブウェブ
就活生と人事担当者の意見を合わせると、エントリーシートに貼付する写真はできるだけ写真館で撮影するのが良いけれど、必須ではないということが分かります。
第2位【スピード写真】写真加工は自分でチェック
次に多くの就活生が写真撮影に利用したのはスピード写真です。駅前などにあり、24時間利用できるため急に証明写真が追加で必要になったときもすぐに手に入れることができます。また、撮影料金は1,000円程度ですが、写真のクオリティは高く写真館と遜色ありません。
ただし、写真館で受けられるさまざまなサービスはないので、撮影や貼付する前に気を付けたいことがいくつかあります。
【スピード写真で証明写真を撮影する際の注意点】
身だしなみが清潔で整っているか、表情は明るいかなど自分で確認する受取口から写真を取り出す際に、写真に傷を付けないよう取り扱う写真の切り分けはていねいに行う
第3位【自前のデジカメ】スマホや自撮りは避けた方が良い
最後は手軽に無料で撮影できる方法です。証明写真を自前で準備する場合、自撮りは無理なので知り合いに頼んで撮影してもらいましょう。
ただし、自前で撮影するといっても、スマートフォンでの撮影はおすすめしません。スマートフォンで撮影した写真はプリントするとクオリティが低いことが明らかに見て取れるため、人事担当者に就職活動に手を抜いているという印象を与えてしまいます。自前で撮影する場合は、できるだけ高性能なデジタルカメラで撮影しましょう。
証明写真を準備するときの注意点
エントリーシート用の証明写真を準備する際は、次の点に注意をしましょう。
【エントリーシート用の証明写真を準備する際の注意点】
サイズ 縦40mm×横30mm 撮影有効期限 3~6ヶ月 準備する枚数 平均20~30枚 (その他の注意点)
- 紛失防止のために、裏面に学校名・学部・氏名を書く
- スティックのりまたはテープのりでしっかりと貼る
- 写真の表面が傷ついたり、のりで汚れないように気を付ける
参考
エントリーシート・履歴書用「写真」の撮り方|リクナビ
エントリーシート用の証明写真の撮り方とは|髪型・服装・写真のサイズなど(2019.10.4)|unistyle
エントリーシートをWebで送信する場合は、証明写真のデータを指定箇所にアップロードします。このとき、ファイル名・ファイル形式・ファイルサイズが企業から指定されたフォーマットに沿っているか、送信ボタンを提出する前にしっかりと確認しましょう。
「自分らしい写真」を準備する時の注意点
自分らしい写真は、応募者の人生経験や能力などの人物像を人事担当者が思い描くためのものなので、次の点に注意して選びましょう。
【「自分らしい写真」を準備する時の注意点】
自分が主役の写真を選ぶアピールする話題を絞って写真を選ぶ企業は「自分らしさ」を求めているため、インパクトのある写真を選ぶ
参考
【OpenES】添付する写真・画像はこれで決まり!『自己PR』と『学生時代に打ち込んだこと』(2019.3.5)|就活攻略論
【ES あなたらしい自己PR写真】通過する為の3原則!【採用担当が参考例も出しつつ解説】|いちまろ夫婦
まとめ
エントリーシートに貼付する証明写真や「自分らしい写真」が、採用合否に与える影響はあまりありません。しかし、写真の写りや取り扱い方などで人事担当者は就活生の人間性を評価しています。そのため、合否に影響を与えるものではないから、と手を抜かずに取り組む方が良いでしょう。社会人としてキャリアをスタートさせる第一歩として、ぜひ記念に残せるような写真を撮影してください。
参考
【内定者が教える】あなたらしい写真の選び方|ESでのNG例,自己PRの方法も|就活の教科書
OpenESの写真を“スマホ”で撮るのはありかなしか!(2018.8.4)|就活攻略論