職務経歴書を手書きとパソコンで作成するのとでは、どちらが就職に有利になるのでしょうか。当記事では、まず職務経歴書の項目別に、採用担当者の評価ポイントをおさえた書き方をご説明します。そして、手書きとパソコン作成のメリット・デメリットを踏まえ、「転職成功者」「採用担当者」「就職活動支援業者」の3者の立場から、手書きとパソコン作成のどちらを推奨するかという本音を、各種アンケート調査結果を基に検証します。
職務経歴書とは?項目別の評価ポイントをおさえて書こう
職務経歴書を作成する際は、採用担当者の目線を常に意識し、企業のニーズに合わせて応募者の魅力を伝えることが大切です。
職務要約
職務経歴の要点を書きます。詳細な職務経歴を採用担当者にきちんと読んでもらえるかどうかを左右する「導入文」となるので、気を抜かずに書きましょう。
採用担当者が評価するポイント 内容・書き方 自社の求める能力があるか自社に合う人物像か職務経歴(詳細)を読むかを判断する 3~4行程度で簡潔にまとめる事実ベースで書く転職回数に応じて読みやすい構成を練る
職務経歴
職務経歴の詳細を書きます。面接でよく質問される項目なので、キャリアの棚卸しをしっかりと行い、数値を使いながら具体的な内容を綿密に書きましょう。
採用担当者が評価するポイント 内容・書き方 どんな役割を任されていたかどんな成長をしたかどんなスキルを身につけたか自社での職務の適性を判断する 職務に関わった期間所属部署(異動など)・役職(昇進など)具体的なプロジェクトや業務内容成績・受賞歴応募企業に合った能力をアピールするレイアウト(キャリア式・編年体式)はアピールポイントに合わせて選ぶ
生かせる知識・スキル
資格や免許以外に、仕事や研修で得た経験やスキルを書きます。採用担当者がさまざまな視点から応募者の人物像を描く判断材料となるので、特殊な経験でなくとも仕事に生かせる能力があればアピールしましょう。
採用担当者が評価するポイント 内容・書き方 語学力コミュニケーション能力パソコンスキルビジネススキルビジネススマナー 仕事や研修などで得た経験・知識具体的な業務内容能力を生かした場面読んだ人がイメージできように詳しく書く
資格・免許
資格や免許を書きます。保有している資格などがなければ「特になし」と書いても構いません。資格はプラス評価になりますが、資格がないからといってマイナス評価にはなりません。勉強中の資格がある場合は、プラス評価につながりますので、その旨を書きましょう。
採用担当者が評価するポイント 内容・書き方 持っている資格・免許によってこれまでどのような仕事をしてきたか入社後にどのようなキャリア形成をしたいか 取得もしくは勉強中の資格・免許・検定などこれまでのキャリアや応募職種と関連した資格を書く。持っている資格たくさん列挙すれば良いわけではない
自己PR
自己PRでは、職歴・スキル・資格などの欄で書ききれなかったアピールポイントを比較的自由に書くことができます。自己PR欄は資格欄とは異なり、「特になし」と書いてはいけません。そのため、自分の興味のあることや長所、生活習慣など、躊躇わずにアピールしましょう。
採用担当者が評価するポイント 内容・書き方 人柄・性格入社に対する意欲企業・仕事内容の理解度企業風土との相性ストレスの発散方法 趣味・興味のある事柄、長所、習慣など自分が書きたいことを主張するのではなく、応募企業で生かせる内容かどうかを吟味して書く
志望動機
志望動機は、書類審査の合否を左右する重要な項目です。履歴書にも志望動機欄はありますが、職務経歴書の方が内容を多く書くことができます。そのため、職務経歴書の志望動機は、履歴書の二度手間と思わずにしっかり書くようにしましょう。
採用担当者が評価するポイント 内容・書き方 企業風土との相性数ある企業の中から自社を選んだ理由ほかの応募者との差別化 自分の持っているスキルや経験自分の経歴が企業で生かせると考えた根拠自分を採用した場合の企業側のメリット企業独自のPRポイントを捉えて具体的に書く仕事に対する本気度や責任感を伝える
参考
https://cocoiro.me/?p=88613&preview=true
退職理由・転職理由
前職を退職した理由と、応募企業に転職したい理由を書きます。転職回数が多い場合、採用担当者によってはマイナスイメージを持たれることがあります。しかし、転職歴は正直に申告しましょう。転職理由に自分の仕事選びの軸がぶれていないことや、キャリアアップのための選択であったことなど、プラス評価につながるようなアピールをすると良いでしょう。
採用担当者が評価するポイント 内容・書き方 入社後早く辞めてしまう可能性仕事のストレスへの耐性があるか特定分野でプロとして即戦力になるかどうか 退職理由は正直に、けれど前向きに書く退職理由と転職理由は一貫性を持たせる応募企業のニーズに合わせて転職理由を書く
職務経歴書は手書き?パソコン作成?それぞれの利点と欠点
NECパーソナルコンピュータ株式会社が、2017年2月に大学生・採用担当者を対象としてパソコンに関するアンケートを実施した結果、大学生のパソコン保有率は9割以上であるにもかからわず、パソコンスキルに自信のない学生が全体の7割もいたことが分かりました。
参考
若者=デジタルネイティブは本当?大学生の7割以上が、PCスキルに自信なし|LAVIE
スマートフォンやタブレットの普及とともに、キーボードを使ったパソコンスキルの低下が懸念される現代。職務経歴書をパソコン作成するのと、手書きするのとでは、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットをご説明します。
パソコンで作成するメリット
職務経歴書をパソコンで作成するメリットはたくさんあります。そのため、職務経歴書を書くのを良い機会と捉えて、Word、Excel、PowerPointなどの基本的なパソコンスキルを磨くのはとてもおすすめです。
テンプレートを活用できるのできれいに仕上がる
職務経歴書には決まった形式がないので、自分のアピールポイントを多く書くことで就職活動を有利に進められる可能性があります。そのため、主張したいことが多くあるアピールポイントは大きく、あまり書くことのない項目は小さく枠取られている職務経歴書を選ぶと良いことになります。
Web上では、多くの就職経験者や就職支援のプロ業者の意見を反映して作成された、多種多様な職務経歴書のテンプレートが提供されています。パソコンで職務経歴書を作成する場合は、自分の魅力をアピールできるテンプレートを、プロの記載例を参考にしながら選ぶことができます。そのため、内容の充実した、見た目にも美しい職務経歴書に仕上げることができます。
作成・修正・更新が簡単にできる
職務経歴書は、一般的にA4サイズの用紙を2枚以上使います。そのため、書く文字量が多くなればなるほど、誤字脱字をするリスクが高まります。また、文章内容に違和感や重複がある場合は修正をしたり、採用担当者のニーズに応える内容が書けているかどうかを吟味してブラッシュアップする必要があります。
パソコンで職務経歴書を作成する場合、修正・更新作業の履歴を残すことなく何度でも行うことができますし、その工程も簡単です。
文字に統一感があり読みやすい
パソコンの文字は、初期設定すれば同じ書体の文字を均一な大きさで連続して書くことができます。また、文頭を左寄せにして書くと全体が揃って見えるため、採用担当者が読みやすくなります。
レイアウトの調整や表の挿入が簡単にできる
職務経歴書のデータは、レイアウトの調整が自由にできます。そのため、自分のアピールポイントは大きく、アピールポイントが少ない項目は小さく、自由自在に枠組みを変更することが可能です。無料テンプレートでもレイアウトの調整を変えられる仕様のものがありますので、より自分仕様にカスタマイズして作成できます。
また、職務経歴書に表を入れて独自のアピールをする場合も、他ソフトで作ったデータを貼り付けることができるので簡単です。
データをカスタマイズして他社への応募に再利用できる
複数の応募企業に職務経歴書を提出しなければならない場合、それぞれの企業独自の業務内容に合わせて記載内容を変えたり、応募企業ごとのニーズに合わせて自分のアピールポイントを書く必要があります。
このとき、パソコンで作った職務経歴書は一度作成すればデータを残すことできるため、内容のコピーが可能です。そのため、ほかの応募企業のニーズに合わせて簡単にカスタマイズすることができます。
メールでの送付が簡単にできる
近年、職務経歴書の提出は持参・郵送ではなく、メールで送信するよう指示する企業が増えています。パソコン作成した職務経歴書は、採用担当者が印刷・管理するのに便利な「Word」か「PDF」の形式で送信するのが良いでしょう。「Excel」は印刷設定が面倒で、採用担当者によっては負担に感じる方もいますのでおすすめしません。
Wordで作成した場合はそのままデータの送信ができますし、PDF化する場合も、プリンターを使わずに簡単操作でメール送信できます。
パソコンスキルがあることをアピールできる
パソコンで職務経歴書を作成できるということは、キーボードを使って文書を作成する基本的なパソコンスキルがあることを採用担当者にアピールできます。
業種によってはパソコンを全く使わない場合もありますが、近年は、企業規模にかかわらず多くの職場でパソコンを使った経営管理や業務連絡を行うため、キーボードを使って文書を作成するスキルを求められる可能性は高いでしょう。
パソコンで作成するデメリット
パソコンで職務経歴書を作成するメリットはたくさんありました。しかし、パソコンで作るからこそのデメリットもあります。パソコンで職務経歴書を作る場合に注意したいポイントでもありますので、よく理解しておきましょう。
データをカスタマイズする際に修正・更新漏れが発生する
一度作成した職務経歴書のデータをコピーして、ほかの応募企業用の職務経歴書にカスタマイズする際に、修正・更新漏れが発生しやすいというデメリットがあります。すると、応募企業とは関係のない内容が残ってしまい、採用担当者に良い印象を残せなくなるリスクが生じます。
誤った予測変換により誤字が発生する
パソコンには、入力途中で変換候補の語句を予測して表示する機能があります。予測変換は入力手順が減るため、パソコン作成の良い点でもありますが、間違った予測変換がなされたことに気づかず、誤字を入力してしまうことがあります。
文字を詰め込みすぎる
パソコンは文字の大きさを自在に変更することが可能なので、アピールする内容をたくさん書いてしまう場合があります。そうすると、いくら文字の統一感があるとはいえ、採用担当者が読みにくい職務経歴書になってしまいます。パソコン作成の場合は、適度な余白と改行を入れながら文章構成をするようにしましょう。
手書きするメリット
パソコンでの文書作成経験がなかったり、パソコンスキルに自信のない方は、職務経歴書を手書きしたいと考えるでしょう。時代の流れとして、パソコンで作成しなかったら就職に不利になるのではないかと悩まれる方もいらっしゃるかと思いますが、職務経歴書を手書きすることによるメリットもあります。
文字を通して人柄や熱意を伝えられる
「字は人を表す」と言うように、手書きの文字を見ると、書き手の人となりを推し量ることができます。そのため、手書きの文字が美しい場合は、例えば落ち着きがある、真面目、頭が良いなど、良い印象を残すことができます。
また、職務経歴書を手書きすることは時間と労力がとてもかかるため、採用担当者に「業務への本気度が高い」「入社への熱意がある」と受け取ってもらえる可能性があります。
文字の美しさをアピールできる
パソコン作業が主流の時代になりましたが、ビジネスシーンには書類への署名など、文字を手書きする機会はまだあります。そのため、文字が美しいことはアピールポイントの一つにもなります。
手書きするデメリット
魅力の一つにもなる手書きの文字。しかし、手書きで職務経歴書を作成するデメリットはたくさんあります。
一度書いたものを使い回せない
手書きの職務経歴書は、一度応募企業に提出したら同じものを使い回すことができません。コピーを手元に残して内容を確認することはできますが、別に職務経歴書を書く際には、氏名住所など、基本情報などもすべて最初から書き込まなければなりません。そのため、複数の企業に応募する場合は、かなりの時間と労力がかかってしまいます。
作成・修正に手間や時間がかかる
履歴書や職務経歴書はボールペンで書きますが、間違えた箇所に修正液や修正テープを使ってはいけません。そのため、誤字脱字を発見した場合、その職務経歴書は使えなくなり、最初から書き直すのが一般的です。
文章内容に違和感や重複があることに気づいても修正できませんし、作成後にブラッシュアップすることもできないので、一発で完成品を作らなければならないというプレッシャーがあります。
文字にばらつきがあり読みにくい
誰が見てもきれいな文字であれば良いのですが、そうでない場合は文字にばらつきがでてしまい採用担当者が読みにくくなってしまします。文字が読みづらいと、自由奔放、せっかち、仕事が雑といった悪印象を与えてしまう可能性が高くなってしまいます。
レイアウトの調整や表の挿入が難しい
手書きの文字は、パソコンの文字に比べてサイズが大きくなりがちなので、人によっては職務経歴書でアピールしたい情報量が少なくなってしまいます。職務経歴書には定型がないので、自分なりにレイアウトを調整するのが難しく、下書きが必要なので時間がかかります。
情報を視覚的に伝えるために表を挿入したい場合は、定規を使って見栄えよく完成させるのが難しいのもデメリットです。
メールで送りづらい
手書きの職務経歴書も、プリンターでPDF化して送信することはできます。しかし、PDF化ができるプリンターと、それを接続したパソコンが必要になります。そのため、パソコン作成に比べると手間がかかります。
「パソコンスキルがない」と疑われる
文字がきれいだという手書き作成独自のアピールポイントがない場合は、単に「パソコンでの文書作成経験がない」「パソコンスキルに自信がない」などと思われてしまう場合があります。
Q:転職成功者が選んだのは? A:手書きとパソコンは半々
社会人のための転職サイト「リクナビNEXT」が、転職成功者に「職務経歴書は手書きとパソコン、どちらで作成した?」というアンケート調査を行った結果、手書きが51%、パソコン作成が40%、併用が7%でした。
つまり、職務経歴書を手書きした場合とパソコン作成した場合はおよそ半々であり、どちらの手法で書いても転職成功に偏りがないことが分かります。
参考
職務経歴書は手書きとパソコン、どちらで作成した方が良い?|リクナビNEXT
Q:採用担当者の本音は? A:どちらでも良い
求人情報・転職サイト「doda(デューダ)」が、採用担当者に「職務経歴書は手書きとパソコン作成のどちらが良い?」というアンケート調査を行った結果、手書きが24.3%、パソコン作成が29.1%、どちらでも構わないが46.6%でした。
つまり、採用担当者は職務経歴書の手法にはあまりこだわりがないことが分かります。ただし、見やすいことや、内容を重視しているという意見は共通しており、手書きでもパソコン作成でも構わないが、中身が充実していて読みやすい必要があることが分かります。
参考
職務経歴書は手書きとパソコン作成どちらが良い?採用担当者の生の声とメリット・デメリット|デューダ
Q:就職活動支援者の意見 A:できるだけパソコン作成推奨
パソコン学習の情報サイト「My First PC」が、人事担当者に「新卒採用において、就活生のパソコンスキルはどの程度必要ですか?」というアンケート調査を行った結果、次のことが分かりました。
- Word、Excel、PowerPointなどの基本操作が必要と答えた人事採用担当者は、92.8%いる。
- スマートフォン普及の影響で学生のパソコンスキルが低下しているため、パソコンスキルがあることは入社後の社内評価が高くなる。
- 業務上でパソコン活用能力が必要となるが、入社後にパソコン研修を準備していない企業が多い。
- パソコンスキルを社会人になるまでに身につけておけばよかったと後悔している若手社員は76%いる。
つまり、パソコンが苦手だから使えないという状態では、入社後に困るということが分かります。
参考
就職に影響する パソコンスキル|My First PC
このアンケートに裏付けされるように、就職活動を支援する業者は、企業から手書きでの作成を指定されていない限り、パソコン作成を推奨する意見が多く見られました。
文字がきれい、レイアウトが独特で美しい、などの特長があれば手書きの良さもあるのですが、ほかの応募者と比べて手書きであることのメリットがない場合は、パソコン作成の方が安全だと言えるでしょう。
まとめ
職務経歴書は、採用担当者に「面接で会ってみたい」と思わせる内容かどうかが大切です。そのため、手書きでもパソコン作成でも、読みやすく濃い内容が書けていれば良いのです。
しかし、パソコンを全く使わない業種は、高度情報化社会である現代ではあまりありません。職務経歴書を書く機会にパソコンスキルを磨くのは自らの価値を高めることにつながるため、パソコンに苦手意識がある方も挑戦してみてはいかがでしょうか。
参考
職務経歴書の「職務要約」の書き方・ポイント~例文付き~|エン転職
職務経歴書の「活かせる知識・スキル」の書き方・ポイント~例文付き~|エン転職
職務経歴書の「資格」の書き方|取得資格や免許のアピール方法!|エン転職
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職務経歴書の書き方ガイド|エン転職
職務経歴書は手書きとパソコン、どちらが正解?【2019年最新版】|ミドルシニアマガジン
職務経歴書は手書きとパソコン(Word等)とどちらが良い?|エン転職
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