子どもの世話 高齢者に活力 山澄地域包括支援センター 介護予防へ多世代交流推進

迎さんと一緒にケーキを飾り付ける子どもたち=佐世保市、崎辺地区公民館

 長崎県佐世保市の山澄地域包括支援センターは、高齢者でつくる団体が多世代交流に取り組むための支援に取り組んでいる。コーディネーターとして、協力できる団体や助成金などの情報を紹介。「子どもと関われば、高齢者の表情が変わる。介護予防は『してあげる』だけではない」と力を入れる。

 「ゆっくりでいいのよ」。12月26日、十郎新町の崎辺地区公民館。エプロン姿の高齢者が野菜を刻んでいるそばで、2人の小学生が液体のチョコレートをケーキにかけていた。
 高齢の女性が毎週集まり、食事を作って交流する「西天神器の会」。この日は地域の子どもと一緒に1日遅れのクリスマスを祝う食事を作った。小学4年の女児(10)は「おじいちゃんやおばあちゃんとは、普段はあまり話さない。また来てもいいかな」と笑った。
     ◆ 
 西天神器の会は、1人暮らしの高齢女性の孤立を防ごうと、数年前に設立した。代表で民生委員の迎純子さん(71)は、崎辺地区に多い転勤族の子育て世帯が地域に溶け込めていないように感じていた。「多世代交流を通じて(この曜日には決まった場所に)“おばあちゃん”がいると子育て家庭に分かってもらえれば、いざというときに手助けできる」
 山澄地域包括支援センターは、市とともに器の会と協議した。費用をまかなうための助成金を紹介。気軽に立ち寄れるように、参加者全員で食事の準備に当たることなどコンセプトを一緒に決めた。その上で昨年11~12月に小中学生や母親らが参加する会を3回企画。迎さんにとっても地域の子どもや母親を知る機会になった。「高齢者の元気にもつながるはずだ」と強調する。
     ◆ 
 山澄地域包括支援センターが多世代交流を支援するのは、介護予防の裾野を広げる狙いがある。センター生活支援コーディネーターの村岡佳祐さんによると、市内での介護予防事業は体操や運動が中心。村岡さんは、高齢者が役割や生きがいを持つことも健康に生活する上で欠かせないと考えている。「(高齢者の団体に)つながりを提供することがセンターの役割」と高齢者と一緒に進める必要性を訴える。
 今後も崎辺地区を中心に、町内会などと連携して多世代交流をサポートする予定。村岡さんは「高齢者の『何かをやりたい』を継続できるよう支えたい」とした。

© 株式会社長崎新聞社