考える会は歓迎「遺構の価値を再認識」 県庁跡地の文化ホール整備断念

県庁跡地の活用方針について話し合った中村知事(左)と田上市長=県庁

 長崎市の田上富久市長が県庁跡地での文化芸術ホール整備計画の断念を正式表明した31日、関係者からは前向きな言葉や、ホールの早期整備を求める声が聞かれた。
 学識者らでつくる「長崎県庁跡地遺構を考える会」共同代表の一人、片峰茂長崎大前学長は「調査結果や専門家の意見、世論の盛り上がりを受け、県市が跡地遺構の価値を再認識した結果であれば歓迎したい」と語った。その上で「今後は従来の開発計画をいったん凍結し、開発前提でなく遺構の保存・活用を前提とした本格的な調査に取り組んでほしい」と訴えた。
 地元の江戸町商店街振興会の三瀬清一朗会長(84)は「催しがある日しか人が出入りしない文化芸術ホールは反対だったので、うれしい」と感想。県庁跡地について「長崎の歴史が積み重なった場所。常に人が行き交い、人を呼び込む起爆剤となるような場にしてほしい」と注文した。
 2015年の市公会堂廃止以降、芸術団体などの文化活動の場は減少している。「かとうフィーリングアートバレエ」主宰の加藤真知さん(69)は「県庁跡地であれ市役所跡地であれ、何年かかってもいいからホール整備は必ず実現してほしい」と願った。

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