壱岐発着 ヨットで日本一周 福岡の男性3人 162日間の船旅 苦労吹き飛ばす人々の愛

ヨットでの旅を満喫する水城さん(左)と小島さん(右)=瀬戸内海(提供写真)

 福岡市の男性3人が、壱岐を発着点にヨットで日本一周をした。昨年8月に壱岐市芦辺町の芦辺港をスタートし1月29日にゴール。162日間の船旅を終えた。
 3人は高校の同級生でヨット部員だった公認会計士の小島隆之介さん(32)、元会社員の水城康介さん(32)、プログラマーの楢﨑公治さん(31)。ヨットで日本一周するという小島さんの夢に2人も共感し、参加した。主船体の両脇に小型の船体がある三胴船の中古ヨット(全長8.2メートル、幅5メートル)を共同購入。思いのままに旅がしたいとの願いを込め「オモイノママ」号と命名した。
 壱岐との縁は2018年11月の遠征練習。同町の「みなとやゲストハウス」の店主、大川漁志さん(38)と元地域おこし協力隊で海女の香菜さん(35)夫妻や住民との交流で島が気に入り、発着点に選んだ。
 ヨットは8月21日、島の人らに見送られ出港。日本海側を北上し北海道宗谷岬で折り返し太平洋側へ。瀬戸内海を抜けて九州東岸を南下し、鹿児島県の屋久島を回り壱岐に戻った。出港してすぐの25日には、島根沖でエンジンが停止し約2時間漂流。ゴール間近の1月27日には、長崎市の野母崎港に入港直前、すぐそばに落雷するなど苦労も多かった。
 それを吹き飛ばしてくれたのは、103カ所の寄港地で出会った人たちの温かさ。8月下旬の鳥取県境港市では、まちの人から車を貸してもらい買い出しに活用。10月下旬の北海道根室市では、たくさんのサンマをもらった。釧路市では別のヨットオーナーが自動操舵装置を貸してくれ、旅の後半に役立てた。
 稚内市で泊まった宿のオーナーからは1月30日、壱岐にゴール祝いのサケが届いた。楢﨑さんは「いろんな人から愛をいただいたことが一番印象に残る」と振り返る。旅の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開。「オモイノママ」で検索できる。「6月には3人で沖縄へ向かいたい」。小島さんらは次の船旅へ思いを巡らす。

ヨットで日本一周を達成した(右から)水城さん、小島さん、楢﨑さん=壱岐市、芦辺港

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