パラパラからうんこドリルまで!ツエーゲン金沢が次に狙うアパレルでの「挑戦」

J2で2019シーズン11位ながら堅守をもとにした確かなチームスタイルで知られるツエーゲン金沢、そんな金沢は守備だけでなく「挑戦」をするアグレッシブなクラブであることをご存じだろうか?

今回はツエーゲン金沢が昨年発表した「WAYZ」というアパレルラインとスタジアムで行われている各種イベントの原動力を広報担当の方に聞いた。

――早速ですが、ツエーゲン金沢さんがアパレルをやろうとおもったきっかけは何なのでしょうか?

2019シーズンに「挑戦を、この街の伝統に。」のクラブスローガンを掲げているんです。その中でサッカーに限らず挑戦していこうとなりました。

2019年8月にサマーユニフォームを作ったんですけれど、同時にクラブのエムブレムとは別にアパレルラインに使えるコンセプトエンブレムを作ったんです。そのコンセプトエンブレムは8月のサマーユニフォームとは別に限定のオリジナルユニフォームを作成したんですが好評をいただきました。

それで終わりはもったいないということになり、アパレルに展開できないかと考えたのが最初です。

――サマーユニフォームがきっかけだったんですね。

2019年のツエーゲン金沢のサマーユニフォームのテーマが「ブラックアンドゴールド」だったんですよ。そのときにブラックアンドゴールドのトートバッグとかサンダルとかグッズ展開したものが好評をいただいていて、サッカーに限らずに日常に溶け込むアパレルラインを作った次第です。

――アパレルとなるとユニフォームとかスポーツ部門とは別じゃないですか?それを危惧する声はなかったのでしょうか?

全くなかったです(笑)。

――「WAYZ」という名前ですけれどどのような意味が込められているのでしょうか?

ウェイズという言葉には「道」とか「方向」とかいろんな意味があります。終わりを「Z」にしたのは複数形という意味、一人一人の道を支えていけるような、石川県の方々もそれぞれの挑戦をされていると思うんですけどそれを支えられるようなという意味です。ツエーゲンの「Z」という意味合いもあります。

――「道」とか「方向」という言葉が元に決まった理由にはツエーゲン金沢らしさがあるように思えます。

クラブ理念が決まった背景にもあります。石川県には多くの伝統工芸や伝統文化があります(編集部注:ブラックアンドゴールドのサマーユニフォームも伝統工芸が1つのテーマになっている)が、伝統って守り続けるだけじゃなくて先人たちが発展のために挑戦し続けてきたからからこそ、今この土地に素晴らしい伝統として残っているんだと思うんです。

そうしたことを大切にしながら、伝統や文化だけじゃなく日常の中でみんなが挑戦しやすい風土や環境をつくることでまたそれが新たな伝統に繋がっていくんじゃないかと思います。何もしないと何も残らないので…。

ツエーゲン金沢では「挑戦」ということをとても大事にしていて、石川県の方々の大小限らずそれぞれの挑戦が加速していけるように、クラブとしてどんどん発信していきたいと考えています。

――最初のリリースでは発売日は未定ということでした。

ちょうど、今11月15日の正午から販売を開始致しました。(取材はその15日だった)。

選手たちからも購入したいという声があってもう着てくれている選手もいます。

最初はオンラインストア限定ですが、2020シーズンにアパレルラインの商品展開を増やしていきたいと考えています。ホームゲームで売ったり、ショッピングモールでポップアップストアをやりたいと考えています。まだ話は進んでいないのですが、他社さんとのコラボも考えています。

(その後、第二弾は2月1日に新商品「選手移動着 同モデルTシャツ 価格3,300円(税込)」が発表された)

ーーJリーグではグッズの売り上げがチケットなどと比べて収益の柱として弱いという報告が上がっています。

ツエーゲンはまだまだ集客などもJ2で下から数えたほうが早いほうで、グッズの売り上げが貴重な柱になっています。

石川県の中で日常にツエーゲン金沢を溶け込ませたいという意味でアパレルラインは大事な役割を果たしてくれるんじゃないかと思います。

収入だけじゃなくて、自分たちの「挑戦」という考えが伝わればよいかなと。それが続けば自然に収入になるというか。

サッカーに限らずやっていきたいと考えています。

――今までの「挑戦」の取り組みを教えてください。

Jリーグではじめてマスコットのファンクラブを作ったり、ホームゲームのイベントは奇抜なものをやっています。

ギャル雑誌『egg』とコラボしてのパラパライベントや『うんこドリル』とコラボしてうんこスタジアムなんて企画もやりました。

マスコットのゲンゾーは変身するのですが(編集部注:変身ヒーローもののような見た目のゲンゾイヤー)、そういうのは他クラブにはないですね。

ゲンゾー(変身前)

ゲンゾイヤー(変身後)

ヤサガラスというツエーゲンの敵役のマスコットもいます。

――ヤサガラスはグッズも人気でしたよね。こういうサッカーに限らない発想はどこから生まれてくるのでしょうか?

割とみんな雑談から生まれてきていて「面白そう」となったら、問い合わせフォームから連絡したり電話したりとか。そっちのほうが話が早いんです(笑)。

――それこそ挑戦ですよね。これから先の目標を聞かせてください。

WAYZは、まだ商品数が少ないので商品展開を増やすことです。そして、先ほども述べましたがブランドとタイアップすることとショッピングモールへの出店、セレクトショップでの取り扱いなどです。やりたいことはいっぱいあるけれど具体的にまだ決まっていません。

――予算や集客は別にして近年成績はJ2でも高い順位にあります。

北信越やJFL、J3、J2と上がってきたクラブでその時の方々がいろんな立場になって応援してくれています。サポーターだったりスポンサーになったり。

パラパラとかうんこスタジアムとかエンタメ要素の強い企画をやって試合に勝てないと「そんなことやってる場合じゃないでしょ?」という意見も出ると思います。でも、こうしたツエーゲン金沢のくだらない挑戦みたいなのもお客さんは「誇り」だといってくれるんですよ。そう言っていただけると原動力になります。

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