沖縄県の石垣島で2010~18年に野生生物の交通事故に関する調査をした岡山理科大理学部動物学科の辻維周(まさちか)准教授(64)に、ロードキルを減らすための対策などについて聞いた。
-石垣島で調査をしようとしたきっかけは。
専門は文化人類学。島の文化研究が目的だったが、車にひかれる生き物があまりに多いことに気付き、毎日の巡回調査を始めた。豊かな自然環境が根底にあってこそ、人の文化や生活が成り立つと考えたためだ。
-石垣島の状況は。
国特別天然記念物のカンムリワシ(絶滅危惧IA類)が100羽ほどいると推定されているが、11年には7羽が交通事故に遭い、5羽が死んだ。ほかにも、ヤエヤマイシガメなどがひかれている。
-対馬の印象は。
対馬には知人がいるため12年から年1回ほどのペースで訪れているが、地元住民も観光客も車のスピードを出しすぎている。
-どうしたら対馬でロードキルを減らせるか。
事故が起きやすい時間帯や場所をドライバーへ啓発。道路際の森林にセンサーを仕掛けて生き物が接近した時には電光掲示で注意を促す技術を使うことも考えられる。このセンサーは、石虎(シーフー)というヤマネコが生息している台湾で実際に運用している。野生生物の行動を変えることはできないが、人の行動は変えることができる。