資産5.5億円個人投資家、www9945さんがベトナム株に投資する理由

資産5.5億円の個人投資家www9945さんは現在、国内外の株に幅広く投資しています。前回の成長株投資に続き、今回は配当狙いの投資と、資産の3割を占める外国株投資について聞きました。


インカムとキャピタルが両立するレアな銘柄を発見

――保有銘柄は全部でいくつあるのですか。

日本株は、優待や配当などインカムゲイン狙いの銘柄が51、成長性を見込んだキャピタルゲイン狙いが22銘柄です。外国株は、米国、タイ、ベトナムを中心に85銘柄です。

――配当銘柄ではどのようなセクターを狙っているのでしょうか。

配当狙いの日本株で保有の割合が多いのは、証券コードでいうと9281~9283、9286のインフラファンドです。太陽光発電に投資しているファンドなどで、配当利回りは5.8%から6.1%くらいです。

また、東京海上ホールディングス(8766)も配当狙いで買っているのですが、これは保有後に値上がりしているので、配当狙いでありながら、キャピタルゲイン狙いの銘柄でもあるというレアな銘柄です。

東京海上を買ったのは5,500円でしたので、その時点で換算すると配当利回りは4.1%ほどでした。株価はいま(取材当時)6,100円くらいなので、キャピタルゲインも10%くらい出ています。

――どのような理由で東京海上に注目したのですか?

保険料は、いま流行りのサブスク(リプション)に近いビジネスモデルだと思っています。また、税金が上がると多くの人が文句を言いますが、保険料が上がって文句言う人は少ないですよね。そのような点が評価されれば、株価も上がりやすくなります。株価が上がると配当利回りは下がりますが、東京海上は増配もしているので、その点でも良いかなと思っています。

外国株には日本株にない魅力がある

――外国株もインカムゲイン狙いとキャピタルゲイン狙いに分けて考えているのですか。

各国の成長性によって分けることが多いですね。例えば、ベトナムは成長性がありますからグロース株が中心です。タイはインフラ系の銘柄が多く、これらは配当狙い、米国株はたばこ会社が3分の2くらいを占めていて、これも配当狙いです。投資額は少ないですが、シンガポールはリートの利回りが良いため、これも配当狙いで買っています。

ただ、タイは国としての成長性があるため、インフラ銘柄をディフェンシブとして買えると同時に、グロースのキャピタルゲインも期待できます。通常、ディフェンシブとグロースは対極のものとして考えますが、新興国の場合は両立することがあり、そこが外国株の面白いところでもあります。

――日本や米国のような成熟した市場と新興国市場とでは、銘柄選びの視点も変わりそうですね。

そうですね。例えば、ベトナム株ではリックス洗剤(LIZ)という洗濯用洗剤の会社を買っているのですが、これは国が豊かになり、洗濯機が普及していくことによって洗剤も売れるだろうという考えに基づいています。他はビナミルク(VNM)というアイスやヨーグルトなど乳製品の会社です。これは、所得水準が上がり、食が欧米化していくことによって、乳製品が家庭のテーブルに普及していくだろうという考えによるものです。

インフラ銘柄についても、タイ周辺の新興国は発電所が足りず停電が多いため、これから発電所を増やしながら市場と国が成長していきます。電力会社という括りで見ても日本とは全く見方が変わります。

――そう考えると、市場や生活レベルの成熟度が似ている日本と米国は銘柄選択の視点も似通ってきますか。

生活水準が近いということは、消費者が求めるものや趣味趣向も似るでしょうし、売れる商品も似るだろうと思います。私は配当利回りが高いたばこ会社を買いましたが、禁煙、嫌煙の流れも日米で共通していますよね。

このところずっと米国市場が強く、2019年は1年間でS&Pが30%ほど上がりました。私が買っているたばこ会社は、配当はありますが、値上がり率で見るとほとんどプラマイゼロです。コカコーラとかP&Gにすればよかったと思うこともあります(笑)。

――外国株の魅力を教えてください。

ポートフォリオ管理という点でいうと、外国株は日本株の避難場所になると思っています。日本市場が元気なくても、新興国は十分な消費力があり、市場の成長も期待できるため、買える株がたくさんあるのです。

また、外国株に目を向けた理由としては、個人的な感想として、日本株にちょっと飽きてしまったという理由もありました。日本株は投資家の数が多く、詳しく知っている人が多すぎると思ったのです。

――www9945さんも十分詳しいと思いますが。

まだまだすごい人がたくさんいるんです。バリュー投資家で見ても、例えば、決算短信の隅から隅まで細かく見ている人がいますし、定率法と定額法の違いといった会計上の深い話から銘柄分析をする人もいます。先日も、名古屋のAさんという有名な投資家と会ったのですが、1つの銘柄について30分間ずっと話し続けていました。切れ目なしです。それを見て、これは勝てないと思いました。その点、新興国の株などは投資家が少ないため、アドバンテージになる気がします。投資家にとっては自分が勝ちやすいところを見つけることが大事ですので、私は今後も外国株を見ていきたいですし、今後は中国のインフラ銘柄なども買ってきたいと思っています。

増やすことも守ることも大事

――外国株を初めて投資法などは変わりましたか。

投資法そのものはあまり変わっていないと思います。

ただ、外国株は現物のみですので、信用口座で買うことができません。私は日本株を信用で買い、値上がりしたら現引するという方法を続けてきたので、日本株の口座に余力があると、ついレバレッジをかけた売買をしたくなります。その欲求を抑えられるという点で、現物のみの外国株という選択があるのは良いことだなと思います。外国株は、買いたい中毒になってしまう私の「良心」でもあります(笑)。

――良心ですか(笑)

はい(笑)。私は性格的に、信用口座の買付余力があるのを見ると、「まだ買える」「嬉しい」と思ってしまうタイプです。ただ、現物取引と比べて信用取引はリスクが大きくなりますので、信用口座の維持率を常に気にする必要があります。私の場合でいうと、基本は維持率140%くらい。たくさん買ったとしても110%くらいまでです。私は投資する銘柄を集中させていくため、その銘柄が大幅に下がった時のダメージが大きくなりますが、140%くらいの維持率を割り込まなければ、ポートフォリオ上位の銘柄がストップ安になっても耐えられます。資産を大きく減らしたり、その結果として退場してしまうのも、結局は信用を含む余力の管理が大事になってくるのです。

そのリスクを抑えるにはやはり現物を増やして安全域を増やしていくことが大事です。私の場合、その手段の1つが現物の外国株になっているのです。

――資産が増えたとしても資金管理とリスク管理は常に重要なのですね。

そうですね。お金を増やすことも大事ですが、増えたお金を守ることも大事だと思います。私自身の過去を振り返っても、当初は配当金収入を増やして生活を楽にすることが第一の目的でした。ただ、今はそれなりの配当金が得られるようになったため、引き続き資産は増やしたいですし、そのためのリスクもとりますが、同時に、資産を守るための方法にも目を向けています。

例えば、いま目標にしているのは今後10年分くらいの生活費を現金として準備することです。生活費が確保できていれば安心感が持てますし、信用取引で大きく損したとしても、それくらいの現金をプールしておけばリスクヘッジになります。

――10年分くらいの生活費が準備できた場合、配当金はどのように使うのですか。

株を買いたいです。いままでは、成長株投資で得た利益で配当銘柄を増やしてきました。今後は手段と目的を変えて、配当金として得るお金を成長株投資に使いたいと思っています。つまり、それくらい株を買うのが好きなのです。

私にとっては真剣に取り組みたい目標ですし、株を続けるモチベーションと目標が自然とできたのだと思っています。ただ、周りにはいまいち理解してもらえず、「株中毒だ」「頭がおかしい」と言われますけど(笑)。

※次回はwww9945さんから株ビギナーの方に向けたアドバイスを紹介します。

本記事は取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。投資に関する最終決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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