自己肯定感が低い人の特徴と高める方法について。どうして必要なの?

「何をやってもうまくいかない」「どうせ自分なんか……」そう思うことが多い人は自己肯定感が低いのかもしれません。「何があっても自分は大丈夫」と思える自己肯定感があると、人生においてどうプラスに働いてくるのでしょうか。自己肯定感が低い人の特徴から、自己肯定感の高め方まで解説します。

自己肯定感が低い人の特徴

自己肯定感が低い人にはどのような特徴があるのでしょうか。さまざまな事例が挙げられている中で、代表的なものを取り上げます。

過去の失敗に影響される

自己肯定感が低い人は自分の過去の失敗に影響されます。「前回はだめだったけど次はできるだろう」ではなく、「前回はだめだった。だから今回もきっとだめに違いない」と思ってしまうのです。

子供の頃の縄跳び、跳び箱、鉄棒などを思い出してみてください。「できない」と思うとどんどん怖くなり、何度挑戦しても失敗してしまったことはないでしょうか。「できない」という思い込みは考え方だけでなく実際の行動にも影響を与えてしまうのです。

他人と比較してしまう

「自分はこれすらできないのに、○○さんは立派だ。やっぱり自分はだめなんだ」というように、他人と自分を比較します。しかも「自分はだめだ」という結論に導くために比較してしまいます。「上には上がいるなあ、すごいなあ」「自分も頑張ろう」というような考え方をするのが難しいのです。

「自分はできない」と考える

このように、自己肯定感の低い人は何か新しいことに出くわしたときに「きっとだめだ」「きっとできない」と考えてしまう傾向があります。心理カウンセラーの中島輝氏はこのように反射的にネガティブに考えてしまうことを「自動思考」とし、詳しく説明しています。

自動思考の罠に陥ると、新しいことにチャレンジしようと思っても、「どうせまた失敗する」とすぐ行動にブレーキをかけてしまいます。後ろ向きな判断で行動が消極的になるとともに、自分や周囲に対するネガティブな感情が高まり、自己肯定感が低空飛行を続けてしまうのです。

(引用元:自己肯定感が低い人に表れる危ない5つの特徴 リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン 経済ニュースの新基準)

「きっとできない」とばかり考えてしまうと、新しいことに挑戦するのが難しくなります。そのまま生活できれば問題ありませんが、進学や就職、やむを得ない転職などのときに本人が苦痛に感じてしまうかもしれません。

周りに依存する

自己肯定感が低いと「どうせだめだ」と思ってしまい、主体的に動くことが減ります。極端な例だと、定食屋に入ってカツ丼を食べようかなと思っても、同行者が親子丼にすると言うのに流され「同じものを」と頼んでしまったりします。

こういうことが積み重なると、自分のことを自分で決められず、周りの価値観や意見に依存する姿勢が強くなっていきます。その結果失敗したときも「あの人のせいだ」と人のせいにしがちになります。

他人に対しても厳しい

自己肯定感が低い人は「だめだ」という意識や、人と比較するくせを強く持っているため、自分以外にも自分の基準で「だめだ」と感じる人に対して厳しい態度を取ります。

「偏差値50も取れないなんてだめ」「○歳を過ぎて結婚していない人はだめ」というように価値観の押しつけとも言えるような断定をしがち。「人は人、自分は自分」という考え方ができないため、違いや多様性に対して不寛容になりがちです。

どうして自己肯定感が必要なの?

自己肯定感が低い人の特徴を見て、「ちょっと苦しそうだな」「自分にもやや当てはまるところがあるな」と思ったのではないでしょうか。しかし、「そういう考え方をする人もいるよね」と思った人もまたいるでしょう。ではどうして自己肯定感に注目が集まり、自己肯定感を高めようと考える人が多いのでしょうか。

困難を乗り越えるための力になる

受験や就職などで思った通りの結果が得られないと失敗したと思うだけでなく、自分の存在価値も否定されたように考えてしまう人がいます。「次はまた頑張ろう」と思う力がわいてこないのです。一方、自己肯定感が高い人は「うまくいかなかったのは悔しいけれど、十分頑張ったんだから仕方ない」と考えることができます。

この「うまくいっても失敗しても自分がやるべきことをやるだけだ」という気持ちを持つことは、生きていく上でとても重要です。成功や失敗で自分の価値は変化しない、だめだったらまた頑張ればいいと考えていきます。どのような状況にあっても自分を自分として認める力こそ自己肯定感なのです。

違いに対して寛容になれる

「○○でなければいけない」という規範を強く持ち、それによって自分や他人を良い・悪いと判断する人は、多様な価値観になじむのが苦手です。しかし、現代社会はますます多様化しています。

否定的で排他的でいるより、多角的な視点を持ち寛容な方が生きやすく、チャンスを得やすくなるでしょう。また排他的な考え方は差別や偏見につながりやすいので、結果的に自己肯定感の低さから周りの人を傷つけてしまうかもしれません。「自分も他人もそれぞれ良いところがある」と考えられる自己肯定感の高さはそれらの問題を解決する手がかりになります。

人間関係を構築しやすくなる

自分と他人は違う人間だということを理解していても、自分と同じような行動規範を求めてしまうことはないでしょうか。自分と他人との違いにイライラしてしまうこともあります。「そうなんだ。でも私はそうは思わないな」と言われただけで、自分自身が否定されたように感じてしまう人もいます。

しかし、「なるほど、お互いに意見が違うんだね」と考えられればイライラはなくなります。違いを認めることは、その違いを持っている他人を認めることであり、自分自身を認めることでもあるのです。

自己肯定感を高める方法とは

褒められることが一番

子どもの自己肯定感を支えるのは、無条件で自分の存在を受け入れてくれる「安全基地」の存在です。その「安全基地」を堅牢なものにしておくためには、子どもが何かを達成したとき、結果そのものではなく、子ども自身がどのように努力したのか、ということを評価することが重要になります。

(引用元:「自己肯定感の低い子」に親ができる1つのこと 学校・受験|東洋経済オンライン)

自己肯定感を高める最も良い方法は「褒められること」だと考えられています。しかも条件つきでなく、無条件に褒められることが大切です。

「私は成績が良い『から』」「私はスポーツができる『から』」褒められるのではなく、勉強ができてもできなくても、運動が得意でも不得意でも「素晴らしいね」、「よく頑張ったね」と褒められることが大切なのです。

自分で自分を褒める練習をする

ちょっと自分に自信がないなと感じたら、「セルフハグ」をしてみましょう。仕事を終え、帰宅したら、リラックスできる服に着替え、右手で左肩を、左手で右肩をぐっと8秒間、抱きしめてください。そして、「がんばっているぞ、俺」「どんどんよくなっているよ、私」と自分を褒めてあげましょう。

(引用元:自己肯定感が低い人に表れる危ない5つの特徴 リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン 経済ニュースの新基準)

なかなか他人に「褒めて」とは言いづらいものです。家族に協力してもらえれば一番ですが、一人暮らしなどでなかなか身近に相談できる相手がいないという人も少なくありません。

そういうときは、自分で自分を褒める練習をしてみましょう。セルフハグも有効ですし、「自分、よく頑張ったぞ!」「偉いぞ!」と口に出すのもいいでしょう。自己肯定感が低いまま思考パターンが固まってしまっている人は最初はそれも難しいはずですが、努力して自分を褒める、ということを意識して習慣化してみてください。

他人を褒めてみる

また、他人のいいところを見つけることもいいでしょう。例えば「あの人は仕事が本当に遅くてだめ」と思っていた人の、いいところを探してみるのです。そうすると「誰に対してもていねいな言葉遣いをしていて偉いな」「ゆっくりだけど、ミスはほとんどないんだな」というように「すごいな」というところが見つかるはずです。

これまで「だめだ」と思っていた人のことを褒めるのは苦痛かもしれません。しかしそうやって少しずつ違いを認めていくと、きっと「どうしようもない」と思っていた自分の欠点も少しずつ受け入れることができるはずです。

まとめ

自己肯定感が低い状態とはどのようなものなのか、自己肯定感が低い人はどんな困難を抱えがちなのか、自己肯定感を高めるためにはどうすればいいのか、簡単に解説しました。まずは自分で取り組めるところから紹介しましたが、自己肯定感の低さから生きづらさを強く意識している人も少なくないでしょう。「つらいな」と思ったらカウンセラーなどの専門家に頼ることも検討してください。

参考

自己肯定感 とは| 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

自己肯定感が低い人に表れる危ない5つの特徴 リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン 経済ニュースの新基準

中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 | 教育心理学研究

自己肯定感「低い子供」が減らない日本の危うさ 子育て | 東洋経済オンライン 経済ニュースの新基準

「自己肯定感の低い子」に親ができる1つのこと 学校・受験 | 東洋経済オンライン 経済ニュースの新基準

自己肯定感を育む指導による心の変化について―発達障害児への「褒めて育てる」実践より― | 桜美林大学学術機関リポジトリ

中学生の生活実態と自己肯定感に関する基礎的分析 | 旭川大学リポジトリ

自分を褒めることが出来る人出来ない人 | 発達障害者の会 あおいそら

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