非行とは?非行の意味、原因、子供の非行を防ぐためにできることなど

「非行」と聞いて、どのような子供やどのような行為を思い浮かべますか? 「うちの子供はあてはまっているのでは?」とご心配の親御さんもいらっしゃるかもしれません。当記事では、非行の意味や原因、子供の非行を防ぐために親ができることなどについてご紹介します。

「非行」の意味とは

非行とは一般的に、違法な行いや社会の決まりなどに背く行為のことを指します。広い意味で成人にも未成年に対しても使われますが、法律的な意味においては青少年に対して使うことが多いようです。

少年法での「非行」とは?

少年法において「非行」は、次の3つに分けられます。

1 犯罪少年~刑法・特別法違反をした14歳以上の少年

2 触法少年~刑法・特別法違反をした14歳未満の少年

3 ぐ犯少年~刑法・特別法違反をするおそれがある少年

(引用元:非行とは何か〜非行の定義〜|マイベストプロ京都|京都新聞)

1の「犯罪少年」が刑罰を受けるのに対し、2の「触法少年」は刑罰が科されません。3の「ぐ犯少年」とは、犯罪は犯していないが不良行為を行い、性格や環境などの理由から将来犯罪を犯す恐れのある少年のことを指します。法的に非行とは、犯罪をした、または犯罪をしそうな少年を意味します。例えば、学校に行かないことは違法ではないので、不登校は非行には含まれません。

13歳が最も多く12歳以下の非行は増加の傾向に

内閣府の「令和元年版 子供・若者白書」によると、刑法違反(殺人や窃盗罪など)をした少年の割合は年々下がる傾向にあります。しかし、特別法違反(道路交通法違反や薬物所持など)をした14歳未満の少年の割合は依然として高い状態であることが分かっています。

年齢別に見ると、触法少年(違法な行為をする恐れのある少年)では13歳が最も多く、12歳以下の割合が年々上昇傾向にあります。

参考

令和元年版 子供・若者白書|内閣府, p132

「非行」と呼ばれる行為

非行と呼ばれる行為にはどのようなものがあるのでしょうか。非行・問題行為について具体的に見ていきましょう。

万引き

万引きとは、お店などで代金を支払わずに商品を持ち去ろうとする違法行為を指します。法的には「窃盗罪」になります。万引きや自転車盗などを含む「初発型非行」は減少傾向にありますが、その中でも万引きは少しずつですが年々増加する傾向にあります。

自転車・オートバイ盗

ほかの人の自転車やオートバイを盗む行為は窃盗罪に問われます。自転車・オートバイ盗も万引きと同様に動機が比較的単純で、犯行が容易な「初発型非行」の1つです。14歳から19歳の検挙率が最も多いという結果があります。

参考

平成30年の刑法犯に関する統計資料|警察庁,p55

薬物乱用

覚醒剤、大麻、危険ドラッグなどの薬物乱用も非行行為として挙げられます。最近では、インターネットや友達から気軽に薬物を入手する青少年もいるようです。なかでも大麻の乱用は増加しており、2019年の警視庁の調べでは、大麻で摘発された全体の1割以上は未成年だったそうです。

参考

大麻摘発、最多の2093人、13%は未成年…上半期|読売新聞

家庭内暴力

この数年で、警察が認知している家庭内暴力の割合は急増しているといわれています。なかでも、中学生の家庭内暴力の数が約半数を占めており、小学生・中学生の家庭内暴力の割合は増加の傾向にあります。原因・動機として「しつけなどへの反発」が半数以上を占めています。

参考

第3節 非行・問題行動|内閣府

飲酒・喫煙

飲酒・喫煙は「不良行為」と呼ばれる行いに含まれます。不良行為とは、警察が補導する対象となる行為のことです。中学生・高校生で喫煙・飲酒する人の数は年々減少する傾向にあります。非行に走った子供の未成年で喫煙や飲酒をする割合は、非行に走らない子供と比べて約10倍という調査結果もあります。

参考

第4回 非行原因に関する総合的研究調査の概要|内閣府

深夜はいかい

深夜はいかいも、「不良行為」の1つとして挙げられます。県の条例により「深夜はいかい」とされる時間帯は異なりますが、一般的には午後11時から午前4時の間が多いようです。この定められた時間帯は、保護者であっても特別な事情がない場合は青少年を外出させてはいけないことになっています。不良行為の中でも深夜はいかいの割合は近年上昇しています。

考えられる非行の原因

子供が非行に走る原因はいくつか考えられます。子供自身が原因と思われるような場合でも、実は周囲の環境が問題であることもあります。ここでは、考えられる非行の原因を「本人の問題」「家庭環境の問題」「地域環境の問題」の3つに分けて見ていきましょう。

本人の問題

非行に走る原因が本人の問題の場合には、学力が低くバカにされたことへの反発、自分の身体などへのコンプレックスがきっかけ、「自分はダメだ」という劣等感などが原因となることがあります。最近では、ゲームや携帯電話への依存によるストレスにより問題行為を起こしてしまう子供もいるようです。

家庭環境の問題

親からの過剰な期待やしつけ、親の離婚、親からの無視または放任、過干渉、虐待など家庭環境の問題がストレスになり非行に走る子供も多くいます。「親から愛されていないと感じる」「親がきびしすぎると思う」子供の割合は、非行に走った子供の方が非行に走っていない子供に比べて多いという調査結果もあります。

参考

第4回 非行原因に関する総合的研究調査の概要|内閣府

地域環境の問題

子供は環境の変化にとても敏感です。引越しや転校などの環境の変化がきっかけとなり非行に走ってしまうこともあります。また、近所や地域の中でのつながりが少ない環境では、そうでない環境と比べて子供が非行に走りやすいとも言われています。

子供が非行に走ったときに親ができること

子供が非行に走ってしまったとき、または子供がもしかして非行に走るのではと不安に感じたときに親はどうすればいいのでしょうか。子供の問題行動に対して説教したり罰を与えたりすることは多くの場合、問題を解決するどころか、子供の問題行動をますます助長してしまうことにもなります。ここでは、子供が非行に走ったときに親ができることについてまとめました。

子供の話を聞く

子供の話をよく聞いてあげましょう。子供が非行に走るには何らかの原因があるはずです。それをいきなり問い詰めるのではなく、子供の話を聞いてあげることで子供との心の距離を少しずつ縮めていくことから始めましょう。感情的にならず、冷静に子供の話に耳を傾けてください。

否定するようなことは言わない

子供の行動に対してそれを否定するようなことは言わないようにしましょう。親が子供の行為を否定することで、自分自身を否定されていると子供が感じてしまうからです。まずは子供に、親として子供を無条件に大切にしていることを伝えてください。子供の問題行為を否定する代わりに、子供のよい行いを褒めてあげましょう。子供の自己肯定感を育んであげることが大切です。

家庭環境を見直す

家庭の環境は、子供の非行に深く関係しています。子供に過度なストレスを与えていないか、放任しすぎていないか、子供と一緒にいる時間を取れているか、など客観的に家庭環境を見直してみましょう。内閣府が行った調査では、非行に走る子供より非行に走らない子供の方が「朝食を食べる」「夕食を家族とともに食べる」割合が多いという結果もあります。必要であれば生活リズムを整え、家族と一緒に過ごす時間をできるだけ取るように心がけるのもいいでしょう。

相談する

子供が非行に走ってしまった場合、悩みは抱え込まず周囲の人に相談することをおすすめします。自分が信頼できる話しやすい人に話を聞いてもらいましょう。人に話を聞いてもらうだけでも、心が楽になります。家族、親戚、友人、同僚、学校の先生など、人に話をすることで解決策が見つかるかもしれません。

まとめ

非行の意味や原因、子供が非行に走ったときに親ができることなどについてご紹介しました。もしかしたら自分の子供が非行に走るのでは? と不安に感じている親御さんもいらっしゃることでしょう。もし子供が非行に走ってしまったら、親としての自分の子育てに否定的にならず、まずは子供とじっくり話す時間を持ち、客観的に家庭環境を見直してみることが大切です。親の見守りとサポートが子供の問題行動を解決する一番の解決法かもしれません。

参考

「できない子」を見捨ててしまう学校の罪|PRESIDENT Online

少年法|e-Gov

夏休みは危険がいっぱい!?子供の非行・被害を防ぐために|政府広報オンライン

非行とは何か〜非行の定義|マイベストプロ京都

第3節 非行・問題行動|内閣府

非行|ウィキペディア

少年院に収容される16歳未満の年少少年に見られる特徴とは|Yahoo!ニュース

抱え込まないですぐ相談!子どもが非行に走る主な原因と対処法|ひだかあさんの犯罪心理学

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