いじめや虐待、パワハラ… 人権侵害の声届けて 神奈川県司法書士会が相談会

人権相談会をアピールする佐々木さん=横浜市保土ケ谷区

 いじめや虐待、パワーハラスメントといった人権侵害に対応するため、神奈川県司法書士会(横浜市中区)は2月9日、電話や面談による無料の人権相談会を初めて開催する。法務局は「人権侵犯被害救済手続」によって中立公正な立場から人権侵害に対応しており、相談会ではこの手続きの積極的な活用を中心に、幅広い手法を提示しながら本人の希望に沿った解決を考える。同会は「問題は早いうちの対応が重要。気軽に相談してほしい」と話している。

 当日は専用電話での相談のほか、面談も受け付けており、予約は不要。1回50分。5人の司法書士が対応する。虐待やドメスティックバイオレンスのほか、差別、いじめ、セクシュアルハラスメント、インターネット上のプライバシー侵害など幅広い人権侵害事案を受け付ける。

 相談会では、法務局の人権侵犯被害救済手続を積極的に活用する予定という。同手続は、被害者本人からの申し出を受けて法務局が調査を進め、人権侵害が認められればケースごとに救済措置を講じる。関係機関の紹介や助言を行う「援助」、当事者間の関係調整をする「調整」、侵害者への改善要求をする「説示」などがあり、国の機関として多面的、専門的に対応することで問題を迅速、適切に解決に導くことが期待できるという。

 相談会の背景には、人権侵害事案が増える一方で、同手続の認知度が上がっていないことがある。同手続の書類作成などに従事する司法書士として、制度をより広く知らせようと、初めて相談会を企画した。同手続のほか、調停、訴訟なども含め、本人の意向を確認しながらより柔軟な対応を提案したいという。

 企画した県司法書士会の社会問題対策委員会・生活再建ワーキングチームリーダーの佐々木伸一さんは「人権侵害についての相談は肌感覚で増加しており、その背後には、何倍もの人が声を上げられないまま悩んでいることが推測できる。悩みは放置せず、ぜひ相談してほしい」と呼び掛けている。

 当日は、午前10時から午後3時半まで相談を受け付ける。面談は県司法書士会の事務所で、手話通訳がある。相談を受け付ける専用回線は電話045(641)2355(当日のみ)。相談会の問い合わせは県司法書士会電話045(641)1372。

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