東日本大震災後、福島県で障害者支援に携わったJDF被災地障がい者支援センターふくしまの元事務局長、和田庄司さん(63)が1日、諫早市内で講演した。福島第1原発事故から3月で9年になる福島の現状を報告し、「被爆地長崎が75年間、『あの日』を伝えてきたように、福島だからこそ伝え続けなければいけないことがある」と訴えた。
障害者事業所の全国連絡組織「きょうされん長崎支部」が主催。講演に先立ち、震災後の障害者や支援者の姿を描いた劇映画「星に語りて」が上映された。
和田さんは震災後、全国から駆け付けた支援者とともに障害者の状況を調査し支援につなげた活動を振り返り、「平時から課題をともに解決し、障害者や家族が緊急時に遠慮しないと思える地域づくりが大切」と指摘した。
昨年12月現在、福島県の震災避難者は4万1638人で、全国の避難者の85.6%を占める。そのうち、3万1104人が県外避難を続けるなど、他の被災県と比べ、厳しい生活を続けているという。
和田さんは「住宅支援が打ち切られた自主避難者や、放射能の影響を恐れ古里に戻りたくても戻れない人が多い。誰もが被害者なのに、家族や地域がバラバラにされ、傷ついている。時間をかけて支えていかなければいけない」とし、復興に程遠い現状を語った。