【減災】同行避難断られたケースも 「ペットと同行」課題に 海老名市、避難状況調査

海老名市役所

 神奈川県海老名市が、相模川の浸水想定区域内の住民2千人を対象に、昨秋の台風19号での避難状況について調査した結果、避難しなかった住民の多くが「ペットがいる」ことを理由に挙げた。市は台風接近時、区域内の住民約5万4千人に避難指示(緊急)を発令していた。ペットとの同行避難を断られたケースもあったといい、市は同行避難の受け入れについて検討を始めた。

 市は城山ダムで緊急放流が実施される見通しとなったことから、昨年10月12日午後3時20分、避難指示を発令。1割に当たる約5千人が避難した。

 市は逃げ遅れをなくすための方策を検討するため、2千人を無作為抽出。当時の避難状況などについて尋ねるアンケートを郵送した。回答率は50.72%。

 回答した住民のうち、市内外の避難所などに避難したのは35%。避難しなかった住民の8割が「自宅が安全」と判断し、うち9割が2階建て以上の一戸建て、アパートやマンションの2階以上に住んでいた。

 一方、「避難できなかった」や「(発令を)知らなかった」、また平屋の一戸建て、アパートやマンションの1階にある自宅にいた住民は計16%だった。

 避難しなかった住民に理由を尋ねたところ、「ペットがいる」が20~40代と70代で最多、50、60代で2位と、どの世代でも共通していた。

 市によると、住民が避難所に問い合わせたところ、ペットと避難はできないと言われたり、避難所でペットを車内に入れるよう指示されたりしたという。

 環境省は原則として、大規模災害発生時、ペットと同行避難するよう飼い主に呼び掛けている。市は今後、避難所のマニュアル見直しやペット受け入れのための訓練などを行う考えだ。

 避難しなかった理由では他にも、50代で「寝たきりなど高齢の親がいる」、70、80代で「足が悪いなど身体的理由」が多く、災害弱者の避難でも課題が浮き彫りになった。

© 株式会社神奈川新聞社