レポート頻出ワード“ハイサイド”“スリップダウン”を解説/MotoGP基礎用語(1)

 ホンダ、ヤマハ、スズキと日本メーカーが複数参戦している二輪レースの最高峰、MotoGPロードレース世界選手権。autosport webでも連日ニュースをお伝えしており、最近興味を持ってフォローし始めたという四輪レースファンも多いのではないだろうか。

 ただMotoGP、そして二輪レースには四輪レースでは出てこないような用語も多い。そこで、まだMotoGPを追い始めたばかりというかたに向けて、MotoGPで頻出する用語を簡単にまとめてみた。

 今回は“フラッグ・トゥ・フラッグ”や“ハイサイド”、“スリップダウン”など、レースレポートに頻出するワードをまとめてみた。MotoGP観戦ライフの一助になれば幸いだ。

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●MotoGP

 ロードレース世界選手権。世界のトップライダーが競い合う、ロードレースにおける最高峰のチャンピオンシップ。2020年は日本のツインリンクもてぎを含む世界各地で年間20戦が開催される。

 最高峰クラスであるMotoGPクラスで使用されるバイクは、4ストローク、最大4気筒、排気量1000cc以下、最大ボア81mmのエンジンを搭載するプロトタイプ。エンジンはレシプロ式が義務付けられている。なお、MotoGPというチャンピオンシップを表す場合と、この世界選手権における最高峰のクラス、『MotoGPクラス』を表す場合がある。

●FIM

 国際モーターサイクリズム連盟。ロードレースの世界選手権であるMotoGPを含む、各カテゴリーの二輪レースを国際的に統括している。MotoGPなどで使用される競技車両の規則、サーキットの承認などを行う。

●ドルナスポーツ

 MotoGPのプロモーター。1991年からMotoGPにおける全戦の運営、プロモーション活動を行っている。国際的なスポーツのマネジメント、マーケティングやメディア展開を行う企業で、スタジアム広告システムの開発、製造、販売、リースを展開する部門もある。

●MotoGP予選

 MotoGPクラスは3回のフリー走行の総合結果をもとに予選1(以下Q1)、予選2(以下Q2)に振り分けられる。フリー走行総合結果でトップ10に入ったライダーはQ2、11番手以下のライダーはQ1に振り分けられる。

 Q1に振り分けられたライダーは、15分の予選時間のなかでタイムアタックを行い、Q1の上位2名のライダーがQ2に進出。13番手以下のグリッドがここで決定する。Q2は12名のライダーにより、同じく15分の予選時間でタイムアタックが行われ、そのタイム結果によってポールポジションから12番グリッドまでの予選順位が決定される。

 Moto2クラス、Moto3クラスは、3回のフリー走行の総合結果をもとに上位14名がQ2へ。Q1上位4名もQ2に加わる。

●サイティングラップ

 レース前、ピットレーンを出てグリッドにつくまでに1周するラップのこと。マシンの状態やコースの状況を確認するために行う。

●ファクトリーチーム(ワークスチーム)

 MotoGPにおいて各メーカーが直接運営に携わっているチームのこと。基本的に各メーカーでもっとも開発の進んだマシンやパーツで戦っている。メーカーが直接運営していない“サテライトチーム”も存在する。

●サテライトチーム(インディペンデントチーム)

 各二輪メーカー以外によって立ち上げられ運営されるチームのこと。マシンはチームが各メーカーと契約を結び、リースまたは購入などの形で供給される。一般的に型落ちのマシンであることが多いが、ライダーが各メーカーと直接契約しているなど、状況によっては最新型マシンが付与される例もある。インディペンデントチームとも言われる。

●フラッグ・トゥ・フラッグ

ウエットレースが宣言された場合、また、レース中にホワイトフラッグが提示された場合、MotoGPクラスに限りピットインをしてスペアマシンに乗り換えることができるルールの通称。

 MotoGPクラスでは、コースコンディションの変化によりドライタイヤを履いたマシンからレインタイヤを履いたマシン、またはその逆に乗り換えることができる。2020年シーズン時点ではMoto2クラス、Moto3クラスには適用されない規則。

●ハイサイド

 コーナリング中にタイヤのグリップの限界を超えてマシンがスライドしている最中に、突然タイヤがふたたびグリップを回復することで、マシンが大きく挙動を乱すことで起こる現象のこと。ライダー、マシンともに放り投げられるような状態となり、大きな転倒になることが多い。

●スリップダウン

 コーナーなどで、マシンを傾けて走行している途中にタイヤのグリップを失い、ライダーが体を倒しこんでいる方向へ、そのまま転倒していくこと。

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