日本に逃れてきた難民とつくったレシピ本「海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders」新装版発売!

認定NPO法人難民支援協会は、 日本に逃れてきた難民とともに作ったレシピ本「海を渡った故郷の味 新装版 Flavours Without Borders new edition」を発売する。

ミャンマー(ビルマ)、 イラン、 クルド、 エチオピアなど、 世界15の国・地域から45の家庭料理を集めた日・英併記のレシピ本。 レシピを教えてくれたのは、 世界中から日本に逃れてきた難民の方々。 故郷の家庭料理を、 日本にある食材で簡単に作れるよう工夫されている。

2013年に出版されてからたいへん多くの方に読んでいただき、 本書の料理を大学の学食で提供する活動(Meal for Refugees, M4R)が生まれるなど、 難民への共感を広げるきっかけになってきた。一方で、 日本で難民として認定される方の数は年間数十人と依然として少なく、 多くの方が厳しい状況に置かれている。より多くの方に日本に逃れた難民について知ってもらいたいと、 レシピの内容はそのままに、 このたび新装版を出版することとなった。

本書は、 日本に逃れたきた難民を支援する「認定NPO法人 難民支援協会」が、 支援を行っている難民の方からレシピを教えてもらい、 ともに料理を作りながら制作。

家庭料理の味や匂いの記憶は、 生まれ育った土地の記憶を呼び起こすもの。 迫害という過酷な経験を持つ難民にとって、 料理を通じて思い出す故郷は、 必ずしも幸せな風景ばかりではない。 それでも、 家庭料理を共に囲んだ大切な人たちとの思い出も、 その記憶にはつまっている。各レシピに掲載しているコラムには、 食文化の豆知識、 作り方のコツに加え、 作り手である難民の料理をめぐる個人的ストーリーも紹介されている。 また、 料理の中には、 母国の家族が送ってくれるスパイスを使い、 故郷の味を再現するようなレシピもあれば、 長年の日本での生活を経て変化していったレシピも。本書を通して、 海を渡って逃れてきた難民の故郷の味、 そしてその思いを感じよう。

本書「はじめに」より抜粋

故郷エチオピアにいる母から、

時々、 母のドレスを送ってもらっています。

「洗わずに送って」と必ず伝えます。

それは、 服に残った母の匂いから、

母のこと、 故郷のことを思い出すことができるから。

これは、 日本にいる難民の方から聞いた話です。

料理には、 歴史があり、 文化がある。 料理を作っていると、 昔同じ土地で暮らしていた人を思い出す。 美味しい料理を食べている人の表情を見ると、 幸せな気持ちかどうか、 わかる。 日本に逃れてきて20年。 まだ母国には帰れない。 できるならば、 今すぐにでも戻りたい。 そして、 母国にいる母や兄弟と一緒に、 食卓を囲みたい。 (p100から抜粋)

現在世界には7,000万人を超える難民がいます。 日本では、 2018年に年間10,493人が難民申請を行いましたが、 難民として認定されたのはわずか42人だった。 国際的に比較すると日本の認定基準は非常に厳しく、 申請の結果がでるまでは約2年半、 長い人で5年以上かかる。 結果を待つ間、 十分なセーフティネットはなく、 多くの難民が孤独で先の見えない状況に置かれている。

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