三菱「長崎で事業継続」と牧野造船所長 長崎サミットで

 三菱重工業が昨年12月から長崎造船所香焼工場(長崎市香焼町)の売却を含めた活用の検討に入ったのを踏まえ、県経営者協会長で同造船所長の牧野武朗氏は3日の長崎サミットで「あらゆる事業の可能性を検討し、長崎地域での事業継続・維持に向けて活動する」と述べた。
 香焼工場問題について牧野氏は「長崎地域の皆さんにも、基幹産業の置かれている状況の厳しさを改めて認識していただいたのでは」と指摘。今後可能性のある事業として、本工場(長崎市飽の浦町)に今年新設する航空機エンジン部品工場や客船修繕の拠点化構想を挙げた。
 これに対し中村法道知事は「ぜひ造船業の灯が将来も残るよう(香焼工場活用に向けた大島造船所との)協議が進んでほしい」と望んだ。航空部品工場については「産業構造変革に向けた大きな転機になる」と期待し、地元企業との連携を促す構えを強調した。
 終了後の会見で牧野氏は、香焼工場を巡る協議について「3月に決着するかは明言できない」と述べるにとどめた。香焼で製造してきた主力のガス運搬船については「大きな事業方針はフェリーや特殊船など高密度艤装(ぎそう)船だが、ガス運搬船から完全に撤退するとは言っていない。コストを精査し対応する可能性もある」と述べた。
 愛知県から製造拠点の一部を移す航空部品については「大型エンジンは引き続き愛知で、小型を長崎で担う。市場拡大を見越した先行投資」とし、いずれ関連事業の地元発注も出てくるとの見方を示した。
 客船修繕を巡っては、上海市で予定していた1隻(8万6千トン)が新型肺炎を警戒し、日本国内外で修繕を検討している。現在は香焼工場に係留し三菱側と交渉中。受注できれば、長崎港で拠点化を目指す官民の連絡調整会議が昨夏に発足後、初の案件となる。牧野氏は「本格的な工事に参入するには基盤整備が必要。こうした1、2週間程度の小規模工事であればすぐ対応できる」とした。

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