全職員を「認知症サポーター」に 相模原市が養成 

相模原市職員向けに行われた認知症サポーター養成講座

 相模原市が、全ての市職員を2022年度までに「認知症サポーター」に養成する取り組みを進めている。市民と触れ合うことの多い職員が正しい知識を持ち、認知症のお年寄りやその家族と適切に接することができるようになることで、誰もが住みやすいまちを目指す。

 「できていたことができなくなる。つらいことですね」

 1月27日に市立施設「ウェルネスさがみはら」(同市中央区富士見)で開かれた職員向けの養成講座には、74人が参加した。

 グループに分かれ、認知症の人の立場になって気持ちを想像し、勤務中や日常生活での対応方法を話し合った。

 講師を務めるのも、認知症サポーター講師役の資格を持つ職員。認知症の原因や症状などを教え、講座が修了した時点で、全員が有資格者となった。

 認知症サポーター制度は、厚生労働省などが中心になり、2005年に導入された。認知症に対する正しい知識と理解を持ち、できる範囲で手助けする人を指す。資格のための試験などはなく、講義を1時間半程度受ければ、誰にでもなれる。

 市が養成しようとしているのは、教職員を除く全正規職員約4700人。うち2320人が昨年末までに受講しており、残り3年で約2400人を研修する計画だ。

 20年度からは新規採用職員にも実施。幼児保育やごみの収集など研修への参加が難しい職種は、講師役の職員がその職場に出向く。

 人口に占める65歳以上の割合を示す高齢化率は、18年1月時点で24.9%。全国平均を下回るものの、今後高まるのは確実だ。認知症の人が市内には約3万2千人いると推計されており、その人数も今後、増えることが見込まれている。こうした将来のまちの姿を考慮し、市は昨年12月、全職員をサポーターに養成する方針を定めた。

 自らも27日の講座に参加し、認知症サポーターになった本村賢太郎市長は会見で「超高齢社会では認知症の方々への支援が重要。誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めたい」と意気込みを語った。

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