代表質問のキーワード「見える化」で 各党のスタンスが見えてきた! 選挙ドットコムちゃんねる #11-1

今回の選挙ドットコムちゃんねるでは、最近の注目選挙結果として八王子市長選を、今後行われる要チェック選挙に前橋市長選をメインにピックアップ。

そして開会した国会で行われた各党の代表質問は、各党の質問に出て来たキーワードの種類や回数を見える化した「テキストマイニング」を使って見ていきます。各党質問者が使ったキーワード、フレーズをその使用回数に応じてビジュアル化すると、予想以上に各党のスタンスや戦略がハッキリ見えてきて、興味深い結果に!

番組の内容をダイジェストでお伝えします。

3期目を目指す現職が順当に勝ち切った八王子市長選。で、例のしょぼい党候補者はどうなった?

乙武 「さぁ今回も始まりました選挙ドットコムちゃんねる。今週の選トピは?」

千葉 「まずは先週行われた選挙を振り返っていきましょう。まずは八王子市長選。現職の石森孝志氏が78,372票を獲得して3選を果たしました」

 

松田 「3期目を目指す石森さんは、62歳という年齢。政治の世界でいえば比較的若く、また3期目ということで多選と批判される数でもないので、大方の予想通り順当に現職が勝ち切ったという感じなんですけれども。

4万7000票あまりを獲得したものの次点だった白神優理子(36歳・新人・無所属/立憲・共産推薦)氏は、出馬表明が今年に入ってからとすごく出遅れたこともありまして、いわゆる与野党対決な面もあるにはあったんですが、出遅れが最後まで響いて正直『対決』というところまでには至らなかったかな、というところですね」

乙武 「なるほど。国民と立憲の支援する候補がそれぞれ分かれるっていうのは、地方選挙だとけっこう多いんですか?」

松田 「そうですね。それぞれの支部の判断だったり、議会の構成によって組み方が変わってくることもあります。
今、それこそ大阪だと自民党と共産党が協調して維新に対峙したり、なんていうこともありますから、それほど珍しいことではないですね」

乙武 「そういう場合、国政政党の方から『今、合流に向けて動き出してんだから、地方であんまりケンカとかすんなよ』みたいな指示が出たりすることは?」

松田 「まぁ組織内ではあると思いますが、その場合は逆にお互いに『これは地方の事情を優先してやることだし』と理解しているところもありますから、それほど鋭い対決には、実際八王子の件ではなっていないですね」

乙武 「で、前回の八王子市長選の話題でもちょっと取り上げた『しょぼい政党』ですけど」

千葉 「しょぼい政党の小柳次郎さんは、3,403票という結果ですね」

松田 「個人的には、まぁよくとられたんじゃないかと思いますよ」

乙武 「これでけっこう票を取れた?」

松田 「意外に取れたと思います。大方の予想ではせいぜい、1,000票くらいかなという感じだったので。選挙広報なんかもちゃんと作られていましたし、約3,400人には選ばれたということで、たしかに泡沫候補という扱いにはなりますけど、それこそ今後がんばれば市議会議員を1人当選させられるかもしれない。その可能性を感じさせるに近い票数が入っているのかなと思うんです」

乙武 「なるほど。今後も他の地方選挙で、注目される存在になってくるかもしれないですね」

松田 「それは今後も活動を続けられるかどうかだと思うんですが……」

乙武 「家入さんのインターネッ党はすぐやめちゃったもんね」(笑)

*編集部注:起業家の家入一真氏は、2014年 東京都知事選挙の際、政治団体「インターネッ党」を立ち上げ立候補。インターネットを駆使した選挙運動や政策をTwitterで公募、知事選の供託金300万円をクラウドファンディングで集めるなど、新しい形の選挙に取り組み注目を集めた。この際、家入氏の選挙キャンペーンマネージャーを務めたのが、松田馨氏。

松田 「いやあそれに関しては何とも申し上げられないです。申し訳ありませんっ!」

また起こった1票差で当落決定。三重県色麻町議選挙

千葉 「続いては三重県色麻町議会議員選挙です」

乙武 「へえこれシカマって読むんだ」

千葉 「こちら最後の議席は1票差で当落が決定しました」

乙武 「おー! 敗れた方は、数え間違えがなかったのかって絶対思っちゃうよね」

松田 「そうですね、なので異議申し立てをする可能性もあります。場合によっては数え直しということもありますし、それによって当落の結果が入れ替わる可能性もゼロではない……。
本当に、去年も2019年中に行われた選挙で1票差の選挙がたくさんあったっていうデータを出しましたけど、今年もこういう形で1票で大きく変わるという選挙が、全国のとくに地方議会や首長選挙で起こるかもしれません」

乙武 「だからこそ選挙にはぜひ行ってほしいと思いますね。選挙に行かない人の多くの理由が『自分が行ったって(投票したって)どうせかわらない』ってものみたいだけど、変わりますから、これ!」

松田 「1票、2票差っていうのはほんとうによくありますから」

今後、注目の選挙は自民党候補者がひしめく前橋市長選。どうしてこんなことに?

千葉 「それでは次は、今後の選挙を見ていきましょう。京都市長選は何回も取り上げていますが……」

乙武 「なんか、すごい話題になってるよね」

松田 「盛り上がってます」

千葉 「現職の門川氏、福山市、村山氏の間で熾烈な選挙戦が繰り広げられていますが、こちらは明日(次の回で)、大きく取り上げてお届けします」

乙武 「見てくださいね!」

千葉 「ということで、今回は前橋市長選を見ていきましょう。3選目を目指す現職に、新人4人が挑む構図ですね。これもかなり前橋市では接戦だといわれているようですが……」

乙武 「あれっ? 佐田玄一郎って、あの佐田さん? 元行革大臣の? ここに出てくるんですか? なんか自民党だらけだけど、党は誰に推薦を出すことになるんですか?」

松田 「当然、現職の山本龍さんというところになるんですけども……。これ、岩上健司さんも自民党の県会議員ですし、佐田さんも自民党の国会議員。で、中島もとひろさんも自民の元市議会議員なんですよね」

乙武 「ほおおおぉ」

松田 「保守系というか自民が割れまして。推薦に関しては山本さんだとしても、投票自体は自主投票って形で最終決着したんです。相当もめたんですけど」

乙武 「なんでこんなことになったの?」

松田 「ひとつはやはり現職に対して3期目ということなんですけども、現職の手法に対して評価する声と批判する声が分かれているということだと思うんです。

地方の首長選挙の場合、現職に対して複数の新人候補が出ると、当然現職が有利になると言われてますし、保守が割れているので立憲民主党系の方の立候補を模索する動きもあったんですが、最終的にはそれもないみたいで、ほぼたぶんこの顔ぶれ(自民党系候補が現職を含めて3人、共産党系候補が1人)で決まりじゃないか、ということですね」

乙武 「現職への批判ということであれば、中島さん、佐田さん、岩上さんで話し合って一本化するみたいなことってできなかったんですかね?」

松田 「多分それぞれの陣営は、一本化を模索したんじゃないかと思うんですけど、それぞれに主張の違いとか、目指す市政の違いなんかがあったのかなと。

群馬県の前橋市というところが、ものすごく自民党が強い地域なので、野党が弱すぎちゃうから、自民党内で権力争いが激化するという事情もありまして、これはそれが表面化してるパターンですね」

乙武 「なるほど。山本一太さん(群馬県知事・自民党系)が、誰を推すかとかも選挙に影響してくるんですかね?」

松田 「やはり知事ですし、どういう形で行くのか…。当然、現職とのつながりもありますから、立ち回りとしては非常に難しいですね。
みんな自民党なんで、どこに肩入れするのかというのが難しい。一応推薦はするけど自主投票ということになると特にね……」

乙武 「特定候補に肩入れするかどうかというところの判断も、難しくなってくるわけですね」

千葉 「選挙結果、選挙情報の詳細は選挙ドットコムのサイトをご確認ください」

国会の各党代表質問を「テキストマイニングツール」で分析してみた

千葉 「そして続いてのトピックスですが、第201回通常国会の各党の代表質問をテキストマイニングツールで分析、ということでどんな言葉が多く使われたかを示してみました。ビジュアル化してみていきましょう」

*編集部注:テキストマイニングツールとは、大量のテキストの中から、単語や文節で区切ったフレーズを、それらの出現の頻度や共出現の関係性、出現傾向、時系列などを解析して、有用な情報を取り出すための分析方法のことです。

千葉 「まずは自民党の二階俊博氏です」

乙武 「え『国土強靭化』っていうワードを一番使った感じ?」

千葉 「そういうことですね。たくさん使ったキーワードは大きく表示されるんです」

乙武 「なかなか普段使わないワードが、一番繰り返されたってことですね」

松田 「やはり気候変動で、去年の甚大な台風被害などがありましたから、そうした点も踏まえてこういう政策が必要だということを強調されていたんだと思います」

乙武 「なるほど、あとは『安倍総理』なんて言葉もやっぱりけっこう大きいね」

千葉 「そうですね。次に公明党の斎藤鉄夫氏です」

乙武 「おおっ、公明党はやっぱり『公明党』推しなんだね。『我々公明党は~!』ってたくさんおっしゃったんですかね」

松田 「ですね、公明党がこのように取り組んできましたというフレーズが多かったんでしょう」

乙武 「あとは『取り組み』、『取り組む』、『講じる』、『進める』…」

松田 「やはり連立与党の一角ということで、具体的に何かを実現する政策を実行する立場ですから、こういうワードが多くなってくると思われます」

乙武 「こうやってみると、政策っていうよりもなんか動詞や形容詞が多いなぁ」

松田 「政策的な言葉を探すと、復興支援とか未婚のひとり親に対する支援の拡充とかを強調されたようですが、全体としてのワードの中ではあまり大きくない(発言内での回数が少ない)印象ですね」

千葉 「次は立憲民主党の枝野幸男氏です」

乙武 「おおすごいね!」

千葉 「目立ちますねやっぱり」

松田 「文字の配列だと思うけど『桜を見る会を分かち合う』みたいに読めちゃいますけど」(笑)

乙武 「ここまで桜を見る会、ドーンって単語がでちゃうと、これまた支持を落とすようなデータがでちゃったなという……」

松田 「うーん『名簿』、『開示』、『カジノ』…、まぁそうですね、野党追求型ですねえ」

乙武 「野党であっても、初回の代表質問くらいは『私たちはこういう社会を目指している』っていうストレートなメッセージを受け取りたいんですけど、ないんだなあ」

松田 「乙武さんもおっしゃるし、ほかにもいろんな識者が、自分たちの政策や作りたい日本の形を提案していくスタイルがいいんじゃないかっておっしゃるんですけど、なかなか野党はそこに踏み込めないんですよね。
たぶん立憲の支持者からすると、しっかり政権を批判して追及しなきゃいけないと。当然、桜を見る会の問題についても、今の政府側のいろんな対応の不備なんかがたくさんあるし、見逃せない問題ではありますから追及する必要はあるんですが、どうも見え方がよくないですよね」

乙武 「そうなんですよね。なんか与党の批判だけしてるように見えちゃうのは損なんじゃないかな」

千葉 「一方の国民民主党、玉木雄一郎氏はこんな感じです」

乙武 「えっ、この『サッシ』って何だろう。大きいね」

松田 「これはですね、あの窓のサッシのことで、家の断熱のためにはアルミ製のサッシよりも木製のサッシにしたほうが効率がいいっていうような話をされていたみたいです」

乙武 「サッシをかなりリピートしたんだね」

松田 「そこまで連呼って印象ではなかったですが、ばらけてたくさん使っていたんですかね。
玉木さんに関しては、いろんな政策に関して提案型だという評価をされていましたけど、いろいろな政策について具体的な話もして、自党の考えや政策を述べられた感じですね。『桜を見る会』とかいうワードは、まったくマイニングには出てきていない」

乙武 「ホントだ。ちっちゃくも入ってないですね」

松田 「こうした姿勢について、野党を支持している方、とくに安倍政権を批判している方からすると、玉木はなんで攻めないんだよというような批判もあれば、こういう提案型の質問をしっかりやっているんだねという評価もあって。かなり評価が分かれるところだと思いますね」

乙武 「僕はこういう野党のほうが、好感が持てますけどね。ちゃんと選択肢を提示してくれている気がするんですよ。『与党のこういう政策に対して私たちはこういう社会を目指しているのでこういう政策を実現していきたいと思います』って言ってくれた方が、どっちに託したらいいのかなっていう選択の目安になると思うんですけどね」

松田 「私もおっしゃる通りだと思います。ただどうしても選挙がですね、投票率が低い中、各党が自分たちを応援してくれている人たちに一生懸命アピールをする、お得意様に向けたアピールということなんですが、それだけでは勝てないことはみんな分かっているんです。
本来は、政治にあまり関心がないとか、なんとなく安倍政権のことは支持してないけどだからといって特定の野党を応援してるわけでもないっていう人からみたとき、立憲のような批判型と国民の提案型で、どっちが印象がいいのか、選択肢の1つになるにはどうしたらいいのかという部分を、野党はもう少し戦略的に考えて行ったほうがいいんじゃないかと思います」

千葉 「ただ批判って、わかりやすいというか比較するのが簡単、みたいな部分はありますよね。
『これに反対します』とか『賛成します』っていったほうが、別の政策を提案されるよりもわかりやすいというか。各党の政策を見比べて、自分の考えと近いものを選択するっていうのはちょっと難しいという人への配慮とかも働くんでしょうかね」

乙武 「まぁわかりやすいのは、やっぱり『〇✕にNO!』みたいなやつだよね」

松田 「自民党をちゃんと批判してくれてるっていう印象が、対立構図にはなりやすいかもしれないです。当然、批判も重要なんですよ。ただ程度問題もあるし、見え方の問題でね。

ただやはり若い層を中心に、批判ばかりしているのは、あまり印象はよくないでしょうね。事実とは仮に違っていたとしても『批判ばっかりしている野党』というイメージを持たれること自体、まったくポジティブではないと思うんです」

千葉 「そして日本共産党の志位和夫氏です」

乙武 「おっ『義務付ける』がこんなに大きなキーワードに?」

松田 「たぶん名簿の、いわゆる公文書管理の関係だと思うんですけども」

乙武 「あとは『社会保障』とか『ジェンダー』とか『賃金格差』とか共産党が本当にしっかりと主張していきたいような問題に関する言葉も、かなり大きめに出ている感じはしますね」

松田 「そうですね、賃金格差や社会奉書について『総理!』と呼びかける形で批判をしつつ、共産党はこうですという主張もしっかりされている印象です」

千葉 「では次に日本維新の会の馬場伸幸氏です」

乙武 「そうとう『日本維新の会』推しだ」

松田 「公明党と少し重なりますけど『日本維新の会はこうです!』っていう立ち位置を鮮明にアピールされたんでしょうね。
日本維新の会に関しては、いわゆる与党と野党のどちらなんだよとよく言われますが、是々非々という政治業界でよく使われる用語がありますけど、政策の内容によって是なるは是、非なるは非と。

まぁいいものは賛成するし、よくないものは反対して批判するということで。一応、野党の位置づけにはあるんだけど、政策面だけで見ると与党でも野党でもない独自の立ち位置だってところを、しっかりアピールしようとしている質問だったのかなと思います」

乙武 「政策的には憲法の問題、社会保障の問題あたりを重視して、手厚く話されたって感じですかね」

千葉 「はい、これで全国政政党代表の質問内容を見てきました」

松田 「面白い取り組みですよね。通常国会が始まって国会中継もTwitterなどで話題になったりしてますが、限られた代表質問の中で何をしゃべっているかっていうのをマイニングしてみると、党のスタンスとか戦略がけっこうはっきり見えてきますね。こういう政治を可視化する試みは、選挙ドットコムで引き続きやってほしいなあと思います」

乙武 「これね、党の代表質問は、質問をする政治家が個人とか自分の事務所内でその質問内容を作っているのか、さすがに国会を開いて第一発目の代表質問となれば党全体として作ってるものなのか、どっちなんですかね」

松田 「やはり党の見解として発言するものですから、党がバックアップして作成されていると思いますよ。質問の原稿というか文言自体は、政治家が事務所のスタッフと練って作ると思いますが」

乙武 「なるほどね。さぁ、今回はここまでとなります。チャンネル登録と高評価、よろしくお願いします」

 

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