雲仙岳シェルター白紙に 費用と技術面ネック

 普賢岳を含む雲仙岳の噴火に備えた雲仙岳火山防災協議会(会長・中村法道知事)は4日、登山者を噴石などから守るため検討を重ねてきた登山道へのシェルター設置を白紙に戻すことにした。費用負担や技術面で困難と判断し、今後は避難マップの配布や避難ルートの看板設置などを充実していく方針。

 同日、雲仙市内で開催した会合で承認した。雲仙岳は、2014年の御嶽山(長野、岐阜両県)噴火災害を受け、国が指定した「火山災害警戒地域」(全国49火山)の一つ。
 同協議会は避難促進施設として雲仙ロープウェイの2駅舎と仁田峠インフォメーションセンターを指定。一方、平成新山の近くに位置し、平地が広がる「立岩の峰」付近に噴石などから身を守る場所が少ないとして、17年からシェルター設置を検討してきた。現在、雲仙岳の登山道にシェルターは設置されていない。
 10人程度の収容が可能な箱型シェルターを想定していたが、ヘリコプターで資材を運んだ場合に約1600万円の費用がかかることや、基礎工事など技術的に困難であると判断した。事務局は「避難ルートを記した看板設置などソフト面の充実を図りつつ、簡素な退避壕(ごう)が設置できないか今後も模索したい」としている。
 同協議会は御嶽山噴火を受けた法改正に伴い16年に発足。県や島原半島3市、国など29機関で構成する。1990年11月から終息宣言まで約5年半に及んだ普賢岳噴火災害では44人が犠牲になった。

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