「回復しつつある」山口県内経済情勢 財務省山口財務事務所の1月判断

 財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、2020年1月の「山口県内経済情勢」をこのほど発表。「県内経済は、生産の一部に弱さが見られるものの、回復しつつある」と総括判断した。

 その要点は「『個人消費』は緩やかに持ち直している。『生産活動』は回復に向けたテンポが緩やかになっている。『雇用情勢』は着実に改善し、人手不足感が引き続き強い状況にある」ため。さらに、「設備投資」は前年度を上回り、「企業収益」は減益の見込みだ。

 主要項目を詳しく見てみると、まず「個人消費」は、「百貨店・スーパー」で飲食料品が、「乗用車」で小型車がともに低調だった。その一方で「家電大型専門店」のパソコン売り上げが伸び、「ドラッグストア」の飲食料品、「コンビニ」のデザート、「ホームセンター」のエクステリアなどが堅調で、全体としては前年を上回っている。

 次に「生産活動」は、「化学」は引き続き高めの操業。「窯業・土石」は都市部における再開発向け需要は堅調だが、五輪関連施設の一巡や定期修理の影響で減少している。「鉄鋼」は、海外需要は弱めだが国内需要は回復傾向のため横ばい。「輸送機械」は、海外向け自動車の一部に弱さがあり減少している。

 また「設備投資」は、製造業では「化学」「業務用機械」など、非製造業では「小売」「金融・保険」などで増加し、前年度を上回る見込みだ。

 調査対象企業からは「気温の高い日が多かったため、白菜や薄切り肉など鍋用食材の売り上げが低調だった」(スーパー)、「前回の消費税引き上げ時(2014年4月)ほどではないものの、9月に駆け込みがあった反動等により、化粧品や婦人服などが低調となっている」(百貨店)、「OSのサポート終了に伴う買い換え需要により、消費税率引き上げ後もパソコンがよく売れており、人気商品は品薄の状況」(家電大型専門店)、「10月は化粧品や日用品で駆け込みの反動が見られたものの、11月以降は売り上げが回復してきている」(ドラッグストア)、「新築の住宅が増加していることに伴い、カーポートや物置などがよく売れている」(ホームセンター)、「米中貿易摩擦などの影響により、プラント、産業機械向けなどの需要が低調となっている」(鉄鋼)、「有資格者が慢性的に不足しているため、外国人の雇用を検討している」(建設)、「社員確保が難しいため、セルフレジの導入により、業務の省人化を図っている」(小売り)などの声が聞かれた。

 「先行き」については「雇用環境の改善が続くなかで、各種政策効果に支えられ、回復していくことが期待される。ただし、人手不足による企業活動への影響や通商問題の動向を含む海外経済等の不確実性に加え、消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向などを注視する必要がある」と見ている。

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