上場企業「新型コロナウイルス影響」調査(2月6日現在)

 「新型コロナウイルス」の影響が日本企業にジワジワと広がっている。「決算短信」や「業績予想の修正」、「お知らせ」などで新型コロナウイルス関連の影響や対応を発表した上場企業は、2月6日現在で合計78社に達した(判明分)。
 また、自主的な情報開示はないが、東京商工リサーチの調査により、工場や事務所、店舗の稼働休止など何らかの対応が判明した上場企業は30社あった。判明するだけでも108社の上場企業が新型コロナウイルスの対応に追われている。
 2月5日、居酒屋チェーンを展開するワタミ(株)(TSR企業コード:350488649、東証1部)は、中国国内で展開している全7店舗の撤退を発表した。新型コロナウイルスの影響は長期化が見込まれ、中国経済の先行きも不透明になっていることを踏まえ、中国からの全面撤退を決断した。
 任天堂(株)(TSR企業コード:641056370、東証1部)は2月6日、新型コロナウイルスの影響で日本向けに中国で生産しているゲームソフトの販売予約を延期する「お詫び」を公表。中国では政府の指示で春節休暇を延長し、生産ラインがストップしている。生産を中国に依存してきた日本企業だが、物流の滞留や生産停止が日本市場へ深刻な影響を及ぼすことが浮き彫りとなった。

 (株)木曽路(TSR企業コード:400301512、東証1部)は1月31日、一部店舗で店舗スタッフの健康と安全確保を考慮し、マスク着用で接客することをリリースしている。さらに、日本航空(株)(TSR企業コード:291141005、東証1部)やANAホールディングス(株)(TSR企業コード:290096677、東証1部)など航空各社も、国際線のうち中国便の減便や運休を明らかにしている。
 一方で、マスク大手の(株)重松製作所(TSR企業コード:290077770、ジャスダック)は「マスクに関する問い合わせ件数が増加」していることから、「業績へ多少の影響はあると思われる」とリリースしている。

業績の下振れ18社、「影響の懸念」など42社

 108社のうち、決算短信、業績予想の修正などで新型コロナウイルスの影響に言及したのは60社だった。このうち18社(構成比30%)が、売上減、利益の減少などの業績下振れ要因として新型コロナウイルスの影響をあげている。ヤマハ(株)(TSR企業コード:450030733、東証1部)は「感染拡大懸念などの先行き不透明感を一定程度織り込み」(開示資料より)、2020年3月期の通期業績の前回予想を下方修正した。また、エイチ・ツー・オーリテイリング(株)(TSR企業コード:570169607、東証1部)や(株)松屋(TSR企業コード:291031307、東証1部)などの百貨店大手でも中国からの訪日客の減少により1月度の売上が減少したことを明らかにしている。
 ただ、残りの42社(同70%)は「影響の懸念がある」もしくは「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」としている。
 新型コロナウイルスの収束は依然見えず、日本企業の経済的損失は不透明さを増している。

新型コロナウイルス 主な影響・対応

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