出光興産、NECのAIによる出荷予測に基づく石油製品の在庫管理業務を開始

石油製品のサプライチェーンは、海上と陸上にまたがっており、燃料という安全性が求められる生活必需品であることから様々な制約もあるため、非常に複雑だ。天候やマーケットの変化に伴う将来的な出荷増減をコンピュータで予測することは難しく、熟練者の勘や経験に頼る部分が多く残っていた。このように、サプライチェーンの高度化が課題となっている中、出光興産株式会社は、AI等のデジタル技術の活用に取り組んできた。2018年には、青森、八戸、塩釜、福井の各油槽所から地域のサービスステーションと需要家への出荷について、日本電気株式会社(以下、NEC)のAIで出荷実績、原油価格、気象(気温や降水量)などの情報を元に、各油種の出荷予測の実証実験を行った。結果、レギュラーガソリンの出荷実績と2週間予測の誤差は5%程度に収めることが出来た。同実証実験の結果を踏まえ、出光興産はNECのAIを活用した油槽所の出荷予測と在庫管理システムを構築した。そして今回、両社は国内28拠点の油槽所(共同油槽所含む)にてAIによる出荷予測に基づく石油製品の在庫管理業務を開始したと発表した。出荷予測システムでは、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「異種混合学習技術」がマーケットや気象の状況等に応じた最適な出荷数量を予測し、各油槽所の在庫情報を見える化させることで、油槽所在庫の適正化・業務効率化を図る。異種混合学習技術とは、大多種多様なデータの中から精度の高い規則性を自動で発見し、その規則に基づいて、状況に応じた最適な予測を行う技術のことだ。予測の根拠をわかりやすく示すことができ、なぜそういう予測に至ったかの理由を確認できるホワイトボックス型である。データ学習と人の知見や経験とを効果的に組み合わせることで、予測精度をさらに高めることが可能だ。今後、出光興産は2020年中に国内の自社油槽所36拠点と共同油槽所10拠点の合計46拠点で、このAIによる出荷予測を展開するとした。

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