豪州SC:2020年シーズンラウンチ開催。ジェームス・コートニーの新チームはコカ・コーラが支援

 VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの2020年シーズンラウンチが、2月5日にシドニーのハーバーブリッジ・サイドで開催され、ジェームス・コートニーをエースに据えた新チームがアンベイル。アジア太平洋地域を担当するコカ・コーラ・アマティル社をメインスポンサーに迎え、レッド一色におなじみのロゴが入ったホールデン・コモドアZBが披露された。

 2010年のVASCシリーズチャンピオンであり、日本のスーパーGTを戦った経験もあるコートニーは、長年在籍したウォーキンショー・レーシング(現WAUウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド)からの移籍を決断。2020年はゴールドコーストからシドニーへと拠点を移したテクノ・オートスポーツ改め“チーム・シドニー”でリードドライバーに就任する。

 シドニーで生まれ育った39歳のコートニーは、15年ぶりにオーストラリア最大都市に拠点を置くVASCチーム誕生を喜ぶとともに、ホールデンのホモロゲーション認証担当ファクトリーチーム、トリプルエイト・レースエンジニアリングが製作したカスタマー車両で「ワークスを打ちのめす準備はできている」と意気込みを語った。

「僕はすでに西シドニーの新ファクトリーで、クルーのみんなと密接に働き始めている。2010年にDJRに所属し、ジェイミー・ウインカップを破ってタイトルを獲ったときも、彼らの製作したホールデンに乗っていた。このマシンの構成は、そのチャンピオン獲得時の条件と本当に近いものがある」と手応えを語ったコートニー。

「代表のジョン(ジョナサン・ウェブ)も僕もシドニー西部の出身で、この街にふたたびレースの興奮をもたらしたいと燃えているんだ。カスタマープログラムとはいえ、マシンはファクトリースペックと同一で、コカ・コーラも支援してくれる。このマシンでレッドブル(・レーシング・オーストラリア=トリプルエイト)を打ち負かせたら最高だろう?」

 一方、開幕戦アデレード500の直後にシドニーの新ファクトリー本格稼働を予定する代表のウェブも「シーズンに向け最適なロジスティックが組めた」と自信をみせている。

「現在、僕たちはまだゴールドコーストの拠点をベースに動いているが、開幕戦に向けアデレードに出発し、レースを終えたらそのままシドニーの住人になる。マシンの製作、機材の移設、チームメンバーの移動など、すべてを一挙に行うのではなく無理の生じない行程を選択した。とても理にかなったストラテジーが組めたよ」

シドニーには連覇達成の王者スコット・マクローリンを始め、7冠王者ジェイミー・ウインカップやフォードへスイッチするリック・ケリーら、主要ドライバーが集まった
アジア太平洋地域を担当するコカ・コーラ・アマティル社をメインスポンサーに迎え、レッド一色におなじみのロゴが入ったホールデン・コモドアZBが披露された
日本時代はトムスでGTを戦った2010年VASCチャンピオンのジェームス・コートニー

 2台体制を敷くチーム・シドニーは、まだ2人目のドライバーを発表していないが、VASC下部組織のデベロップメント・シリーズである『Super2』の2018年王者、クリス・ピザーの起用が有力視されている。

 そのほか、2020年で創設60周年を迎えるシーズンラウンチにはスタードライバーが数多く参加し、改めてデビューイヤーに大成功を収めたフォード・マスタングは、ニッサン陣営からスイッチするケリー・レーシングの2台、リック・ケリー、アンドレ・ハイムガートナー車を加え8台に増殖することが確定。

 対してホールデン陣営もチーム・シドニー(元テクノ・オートスポーツ)を含め、マット・ストーン・レーシング、チーム18などが2台体制に移行。ブラッド・ジョーンズ・レーシングは4台のコモドアZBを走らせる計画だ。

 また、スーパースプリント戦は新たに200kmレースを土日2ヒートで争うフォーマットに修正され、スーパー400と名称を変更。耐久戦の“エンデューロカップ”に組み込まれていたサンダウンがその新フォーマットを採用し、代わって第10戦のザ・ベンドが2020年耐久カップ開幕戦に指定された。

 VASCのシリーズCEOを務めるショーン・シーマーも「新たな技術パッケージは競争均衡をもたらし、選手権は歴代でも最高レベルに充実したカレンダーでシーズンを迎える」と期待を込めた。

「こうしてシドニー・ハーバーブリッジの壮大な背景の前で、60周年の記念すべきシーズンを開始できることをうれしく思う。3つのチームがシングルカー体制から移行し、レースチームの成長推移を証明しているほか、マスタングは8台に増加する」

「1960年にシングルレースとして始まったシリーズが、オーストラリアの最高峰モータースポーツ・カテゴリーとして認識されるまでの、素晴らしいマイルストーンを祝うシーズンになるだろう」

テクノ・オートスポーツは、ゴールドコーストの施設も市販車部門拡充を目指し最新鋭の設備を整えたばかりだった
一足先に2020年仕様マシンを公開していたレッドブル・レーシング・オーストラリアのトリプルエイト・レースエンジニアリング
2020年シーズンはザ・ベンドで開催される2月18日のテストを経て、その週末にアデレード500で幕を明ける

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