とにかく「明るい」西武松坂 「ピリピリしていた昨年と全然違う」関係者が証言

西武・松坂大輔【写真:宮脇広久】

9日に3度目のブルペン入り、初めて捕手を座らせるなど93球を投げた

 西武に14年ぶりに復帰した松坂大輔投手の表情が明るい。中日に在籍した昨年、春季キャンプの第1クール中に、ファンと接触した際に右腕を引かれ右肩を痛めたのとは対照的。順調な調整ぶりを物語っている。

 松坂は9日、宮崎・南郷キャンプで3度目のブルペン入り。初めて捕手を座らせ、変化球も交えて93球を投じた。その後、室内練習場に移動しウエートトレに取り組んだが、この際、メジャーリーグ時代から親しい球界関係者の訪問を受け、しばし歓談。同関係者は「昨年の北谷キャンプにも訪ねたが、あのときはピリピリしていた。今年は穏やかで全然違う」と証言した。

 松坂がブルペンでの投球を終えた際、見守っていたファンから拍手が沸き起こった。本人は「何の拍手なのかなと……。僕は昨年全然投げてないので、投げられる姿を見てうれしかったんですかね? 僕にはわからないですけど」と語ったが、“投げられるうれしさ”を感じているのは、松坂自身だろう。

 実際、「もしかしたら、思ったより早く、フリー打撃で打者に対して投げる練習を入れられるんじゃないかと思っています」と明かすほど、調整はハイピッチで進んでいる。今後について「球数を抑えて、数多くブルペンに入っていけたらと思う」と構想の一端を明かした。

活躍すれば、史上初の2度目のカムバック賞受賞も!?

 メジャー在籍8年で、完投は初年度の2007年の「1」のみ。かつて1999年から2006年までの前回西武在籍時、8年間で72完投をマークしているが、今季故障明けの39歳に完投を求めるのは酷。一方、6勝を挙げてカムバック賞を獲得した一昨年は、中10日以上のインターバルを置くことが多かったが、「球数を減らして、ブルペンに入る回数を増やす」調整法からは、球数とイニング数を抑える代わりに、年間を通して中6日の先発ローテを死守してみせるという意思がうかがえるようだ。

 こうなると、史上初の“2度目のカムバック賞”受賞まで期待したくなる。

 カムバック賞はセ・リーグとパ・リーグがおのおの表彰するもので、過去にセでは松坂を含め35人、パでは6人が受賞しているが、1人で2度受賞したケースはない。各リーグの理事会で話し合いによって決められるが、詳細な授賞の規定があるわけではない。8日に南郷キャンプを視察したNPB(日本野球機構)の斉藤惇コミッショナーも「それ、ルールあるの?」と首をひねっていた。

 松坂はソフトバンク在籍3年間でわずか1試合登板(0勝)に終わった後、中日に移籍した一昨年、11試合に登板し6勝を挙げ、セ・リーグでカムバック賞(賞金50万円)を受賞した。右肩を痛めて2試合登板に終わった昨季を経て、抜群の成績を残すようなことがあれば、もう1度受賞対象になっても、おかしくはないのではないか。「現時点ではなんともいえないよ」とNPB関係者。論議を呼ぶくらいの活躍を、松坂に期待したい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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