2020年登場の『クプラ・レオン・コンペティションTCR』、3Dプリンター製パーツで最終テスト

 2020年のデリバリーが発表されているクプラ・レーシングの新型TCR『クプラ・レオン・コンペティションTCR』が、ラウンチ目前の最終テストを行った。また、生産目前のプロトタイプとその量産型モデルには、3Dプリンターで製作されたパーツを数多く採用することが明かされた。

 クプラ・レーシングの技術開発責任者を務めるシャビ・セラによれば、新型TCRモデルに採用される3Dプリンター技術は、HP(ヒューレット・パッカード)との共同開発によるもので、工業用グレードの”Jet Fusion 5200 3D印刷ソリューション”を使用して製作されるという。

「新しいクプラ・レオン・コンペティションTCRでは、ステアリングホイールのセンターコントロールモジュール、ボンネットのエアダクト、ドアミラー、ブレーキとラジエーターのインテークを3Dモデル化した」と説明するセラ。

「主な目標は短時間で多くの部品を使用し、テストすることにある。おかげで、さまざまな設計部品を即座に試すことができるようになった」

「さらに車両開発も並行して行われているため、この技術により設計プロセスの変更にも迅速に対応できるようになったんだ」

 TCRの技術規定では、ドアミラーはレギュレーションに従ってプロダクションカーと同じ形状でなければならない部品となるが、クプラ・レーシングではこの分野にも踏み込んで3Dプリンター技術を適用している。

VWグループ傘下ながら、2020年に向け新型『CUPRA Leon Competición TCR』の開発を進めるクプラ・レーシング
市販モデル同形状が義務付けられるTCR規定ながら、ドアミラーにはドライバー冷却用のダクトを新設

「ドライバーを冷却するための機能を追加したかった。したがって、この効果を実現するにはラム圧を有効利用するべく、最大圧力ゾーンとなる位置に吸気口を設計する必要があったんだ」と続けたセラ。

 この技術により、これまでよりバラエティに富んだ多くのパーツを風洞で試すことができたクプラ・レーシングはいよいよ実走段階へと進み、新型クプラ・レオン・コンペティションTCRをスペインの隣国ポルトガルに持ち込み、ポルティマオでの走り込みで3Dパーツの耐久性をテストした。

「結果は素晴らしいもので、いくつかの驚くべき発見もあった。これはマテリアルの可能性を限界まで押し上げようとした成果だ。このテクノロジーは最も複雑なアイデアを実現するため、モータースポーツに限らずあらゆる分野で重要であり続けるだろうね」

 この新型クプラ・レオン・コンペティションTCRは、すでに生産目前の最終段階まで開発が進んでおり、2月20日に予定される”CUPRA Garage”ラウンチの席上でワールドプレミアが予定されている。

「風洞でテストできるパーツは種類が多ければ多いほど効果が上がる」とシャビ・セラ
新型TCRは、2月20日に予定される”CUPRA Garage”ラウンチの席上でワールドプレミアが予定されている

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