「軽症者からも感染」 長崎大 市民講座で対策説明

参加者の質問に答える森田所長(左)と泉川センター長=長崎大医学部記念講堂

 長崎大の感染症専門医2人が新型コロナウイルスの感染防止対策などを説明する市民公開講座が10日、長崎市坂本1丁目の同大医学部記念講堂であった。同大熱帯医学研究所の森田公一所長は「重症急性呼吸器症候群(SARS)などは重症者からしか感染しなかったが、新型は軽症や感染初期の人からも感染する。他の人を守るためにも、自分を守って」と呼び掛けた。
 感染拡大を受け、最新の正しい情報を提供しようと同大が開き、市民約180人が参加した。
 森田所長がウイルスの特徴などを紹介。新型は2002~03年に流行したSARSの遺伝子に似ていると指摘する一方で、重症者を隔離して封じ込めることができたSARSとの違いにも言及した。遺伝子の形から「コウモリが持っていたウイルスが何らかの形で人の世界に入ってきたと推定できる」と述べた。
 同大学病院感染制御教育センターの泉川公一センター長は、ウイルスはアルコールやせっけん水で壊れ、感染経路は飛沫(ひまつ)、接触感染しかないことなどを説明した。マスクは鼻まで隠し、耳のゴムを持って外すことや、口元を隠すせきエチケット、丁寧な手洗い、適度な湿度を保つことの重要性を強調。他の感染症にも有効だとして「この時期だけではなく、日常の注意事項として続けてほしい」と語った。
 海星高2年の高尾くるみさん(16)は「修学旅行がシンガポールから国内に変更になったので、そんなにひどいのかと思って参加した。ウイルスのことを知らなかったので、基礎から学べてよかった」と話した。

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