月3万円からはじめる「パターン別資産運用」、お金のプロの戦略は?

「手取り収入の2割は貯蓄しよう」と聞いたことがあるかもしれません。年収450万円の人であれば、賞与がない場合、月給は37万5,000円。37万5,000円から税金や社会保険料を支払うので、手取りは約30万円になります。

手取り30万円の2割は6万円。8割の24万円は生活費などに回す計算です。総務省「家計調査報告」及び、公益財団法人不動産流通推進センター「2018不動産統計集」を参考にすると、30〜40代独身の1か月の支出金額は約20万円となっていますので、手取りの2割は無理な金額ではないでしょう。

今回は、このうち月3万円を投資に回すとした場合、どのように資産配分していくか、パターン別で紹介していきます。


掛金・期間・運用利回りを決める

漠然と資産運用をスタートするのではなく、目標金額、運用する期間、運用利回りを設定して始めると良いでしょう。このうち、運用利回りについては、自分が取れるリスクによるのですが、目標金額を設定すれば自分のとるべき運用方針がおおよそ決まります。

たとえば、定年までに時間がまだあるならば、若いうちは積極的に収益を狙うことができるでしょう。逆にそれほど時間がないならば、目標額に達するまでは積極的に運用し、それに達したら安全性を高めるということもできます。

今回は、3万円を毎月の掛金にしますので、その上で必要な運用利回りを確認していきます。

掛金の額・年数・運用利回りから資産額を計算するには、下の表が便利です。たとえば、目標額が1,000万円だとします。このとき3万円を20年間、運用利回り4%で運用すると、3万円×366.77=1,100万3,100円となります。4%の運用を目指せば、1,000万円貯められるとわかります。

この表の便利なところは、「掛け金」「期間」「運用利回り」「資産総額」のうち3つが決まれば、残りの1つがわかる点です。

目標金額が2000万円、投資期間が30年間だとします。年3%の運用利回りで運用するとした場合、月々の投資金額は、2000万円÷582.74=3万4320円とわかります。

なお、上記計算において、コストや税金は考慮しておりません。

年4%でほったらかし投資を目指すなら

期待リターン4%とするポートフォリオを作る場合は、債券と株式の比率は半分ずつにすることを基本とします。また、投資する地域も、国内と海外を半分ずつに配分します。一般的に、国内の比率、債券の比率が多いほど、リスク(値動き)を抑えることができます。投資初心者や、激しい値動きを好まない人には、4資産分散が向いているポートフォリオです。

【月3万円資産運用パターン例】

・投資信託(つみたてNISA):3万円

商品名:<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)

信託報酬:年率0.1540%(税込)

純資産総額:49.88億円

投資信託は、投資家から集めたお金をファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用してくれる金融商品です。株式、債券、不動産など、投資信託の投資対象はさまざま。何に投資するかは、商品ごとに変わります。

通常、ひとつの投資信託は数十から数百もの投資先に投資します。仮に、個人が数十から数百もの投資先に投資をしようとすると、手間もお金もかかって大変ですよね。

この投資信託は、つみたてNISAの制度を利用して購入するのがおすすめです。(本稿執筆時点では、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)での取り扱いはありません)

投資信託で得られた利益には、日本では20.315%の税金がかかります。10万円の利益があったら、約2万円は税金がかかるのです。でも、つみたてNISAを利用すれば、この税金をゼロにできるので、よりお金を増やしやすくなります。なお、つみたてNISAはいつでも解約・引き出しできます。

投資信託選びで重要視して欲しいのが「信託報酬」というコスト。信託報酬は投資信託を持っている間ずっとかかるため、たとえ年0.2〜0.3%程度の違いでも、投資期間が20年近くになれば大きな差になります。同じような国・投資先に投資しているのであれば、少しでも信託報酬が安い投資信託を選ぶのがベターです。

<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)を活用すれば、これ1本で、債券と株式の比率は半分ずつ、地域も国内と海外を半分ずつに投資できます。その上、信託報酬は、0.154%と最安水準となっています。

税金を取り戻しつつ資産形成できる「iDeCo」を組み合わせる

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、毎月一定の掛け金を積み立て、自分自身で運用商品を選んで運用する制度です。掛金を積み立てたときは、掛け金の全額が所得控除となり、所得税・住民税が減ります。また、運用中の利益はつみたてNISAと同様に非課税になります。

ここまで聞くと、つみたてNISAより良い制度ではないかと思う人がいるかもしれませんが、世の中に完璧な制度はありません。実は、iDeCoで積み立てた資産は60歳になるまでは受け取れないというデメリットがあります。ただ、そのデメリットも見方を変えれば、60歳まで引き出せないので、確実に老後資産が貯まる制度とも言えます。

今回ご紹介するのは、iDeCoで税金を取り戻しつつ老後資産を貯めながら、つみたてNISAで各種イベントに備える「iDeCo&つみたてNISA活用術」です。

【月3万円資産運用パターン例】

・投資信託(つみたてNISA):1万5000円

商品名:楽天・全世界株式インデックス・ファンド

信託報酬:年率0.222%(税込)

純資産総額:345.20億円

・投資信託(iDeCo):1万5000円

商品名:eMAXIS slimバランス(8資産均等型)

信託報酬:年率0.154%(税込)

純資産総額:449.11億円

楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)など名だたる先進国企業をはじめ、日本を含む全世界の株式に投資する「バンガード®・トータル・ワールド・ストックETF」に対して投資する商品です。大・中・小型株約8000銘柄をカバー。米国株式を5〜6割組入れています。世界中のあらゆる株式に、低コストで投資できる商品です。

eMAXIS slimバランス(8資産均等型)は、国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・国外のリートの8資産へ投資する商品です。株式だけに投資するファンドと比較し、下落リスクに強く、リターンよりもリスクに備えた堅実な資産運用がしたいという人にオススメです。

より積極的に利益アップを狙いたい人は?

リスクをとってもいいから積極的に増やしたい場合は、株式投資や新しいアセットと言われる「ソーシャルレンディング」に挑戦してみるのはいかがでしょうか。とはいえ、つみたてNISAやiDeCoはさまざまな税金の優遇制度を生かして貯められる有利な制度なので、そのまま利用するのがオススメです。

【月3万円資産運用パターン例】

・投資信託(つみたてNISA):1万円

楽天・全世界株式インデックス・ファンド

・投資信託(iDeCo):1万円

eMAXIS slimバランス(8資産均等型)

・株式投資:1万円

(興味のある銘柄)の購入原資にするか、積立で購入

または

・ソーシャルレンディング:1万円

オススメサービス提供会社「クラウドクレジット(Crowdcredit)」「ファンズ(funds)」「SBIソーシャルレンディング」

今や株式投資は、少額からできる時代です。「スマホ証券」と呼ばれる、SBIネオモバイル証券やLINE証券を活用すれば、1株から株を購入できます。また、SMBC日興証券が運営する「フロッギー」は"メディア"と"取引ツール"が一体化した投資サービス。記事を読んで気になった株を500円と少額から購入できます。

また、筆者も利用している「One Tap BUY」という証券会社では、スマホで日本やアメリカの著名な企業の株式を1000円から購入することが可能。積み立てにも対応しています。

ソーシャルレンディングは債券の仕組みに似ていますが、大きく違う点は、資金調達者へ直接貸し付けるのではなく、第三者が介在して貸し付けている点です。

予定利回りは、サービス事業者や投資先によって異なりますが、2%~10数%。途中売却・解約ができないため、価格変動リスクはありません。貸付期間は6か月〜2年と比較的短い期間となっています。

このところ、ファンズの人気が高まっています。取り扱い案件の中に「大阪王将ファンド」というのがあるのですが、面白いのが、大阪王将でのお会計が10%オフになる「特別割引券付」だという点です。まるで株主優待ですね。

予定利回り(税引き前)は年2%なのですが、当ファンドは募集開始したらすぐに募集金額5000万円が集まるという人気ぶり。気になった方は「ファンズ」をチェックしてみてくださいね。


以上、月3万円の運用ということで、3つのパターンを紹介してきました。つみたてNISAやiDeCoを利用しつつ、税金を抑えて効率的にお金を増やすことをまずは意識するのがポイントです。

お金を増やす楽しみを味わいながら、投資生活を送っていきましょう。

※本記事内の信託報酬・純資産総額は2020年1月28日現在のものです。
※運用は自己責任でよろしくお願いします。

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