BMW、クビサのDTMドイツ・ツーリングカー選手権参戦を正式発表。ARTがDTMに参入

 BMWモータースポーツは2月13日、2019年までF1に参戦していたロバート・クビサが、BMW M4 DTMでDTMドイツ・ツーリングカー選手権に参戦すると正式に発表した。所属チームはこちらも新規参戦となるARTグランプリとなる。

 2006年から2010年までF1に参戦していたポーランド人ドライバーのクビサは、2011年にラリーに参戦していた際にクラッシュ。大怪我を負い、その後リハビリを経てラリーに復帰。さらに2017年にはひさびさにF1のシートに戻ると、テストドライバーを経て2019年にはウイリアムズF1からふたたびF1に参戦した。

 2020年に向けてクビサはアルファロメオF1のリザーブドライバーに就任したが、一方で2019年12月には、スペイン・ヘレスでのDTMヤングドライバーテストにBMWから参加しており、DTM参戦も噂されていたが、2月13日、正式にBMWからDTMに参戦することが発表された。

 クビサが所属することになるARTグランプリは、BMWのDTM活動において初のカスタマーチームとなるフランスの名門だ。かつて全日本F3選手権や全日本GT選手権等で長年活躍した、日本ではおなじみのセバスチャン・フィリップが代表を務めている。

 フォーミュラでおなじみのARTだが、かつてメルセデスベンツC63 AMG DTMで2015〜16年にDTMに参戦した経験があり、ツーリングカーのノウハウや必要とされる機材一式も所有していることから、BMWやクビサにとっても心強いカスタマーチームとなることは間違いないだろう。

「新しいキャリアのスタートをとてもうれしく思うよ。DTMは世界で最も強力で、最高の選手権だと長年に渡って魅力を感じていた。ヘレスのヤングドライバーテストでBMW M4 DTMをドライブした際には、すぐになじむことができた」とクビサ。

「ARTは国際的なレースにおけるビッグネームのひとつだ。他のDTMのチームと比較すると、これからさらに経験を積む必要があるが、ARTと一緒に多くのことを達成できると確信しているし、上にいくためにはハードワークをこなして、努力を惜しまないつもりだ。DTMの開幕が待ち遠しくて仕方がないよ」

 また、新たにDTMに参入するARTグランプリ代表のフィリップは「すでに豊富なキャリアの持ち主であるロバートが歩む新たなキャリアに、可能な限り最高のサポートをすることが我々の第一の目標だ。ARTは2015〜16年にDTMへ参戦していたが、少しブランクが開いており、このトップクラスの選手権のプロセスにふたたび慣れる必要があるので、最初からあえてあまり高い目標を設定しないようにしている」とコメントした。

「しかし、シーズンを通してなるべく早い段階で進化をとげ、トップ争いができるようになることを願っているよ」

 また、BMWモータースポーツ代表のイェンス・マルカルトは「ARTグランプリをDTMのカスタマーチームとして迎えることができて非常に嬉しく思う。BMWではカスタマーチームを起用し、DTMのフィールドをさらに大きく魅力的にすることを常に目標としていた」と語った。

「いくつか候補のチームがあり、数ケ月に渡って多くの議論を重ねた結果、ARTのパッケージを採用する事を決定した。ロバートはヘレスでのテストの後に、DTMに参戦する未来が想像できると言い、それがARTと実現することは素晴らしい。テストではDTMマシンとうまく向き合うことを実証したからね」

 クビサとARTの参戦にあたっては、ポーランドに本社を置き、石油・ガス精製事業や石油化学工業等を手広く展開するPNKオーレン社がスポンサードすると言われており、現地時間の2月13日にポーランドで記者会見が行われる。また、3月16〜18日にはモンツァでITRの公式テストが行われると同時に、2020年に参戦する全ドライバーがそろい、メディア向けの披露会も開催される。

ヘレスでのヤングドライバーテストでBMW M4 DTMをドライブするロバート・クビサ
ヘレスでのヤングドライバーテストでBMW M4 DTMのコクピットに座るロバート・クビサ

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