クルーズ船、孤立させない 岸壁に携帯基地局、通信充実

クルーズ船の近くには救急車が並び、新たに感染が確認された人たちの搬送が続いた=13日午後1時25分ごろ、横浜港・大黒ふ頭

 NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯大手3社は、クルーズ船が着岸している大黒ふ頭(横浜市鶴見区)の岸壁に車載型基地局を設置した。KDDIは「乗客をはじめ支援に携わる皆さまに、より快適な通信環境を提供したい」と力を込める。

 総務省の協力要請を受けた取り組みで、電波の届きづらい船内でも携帯電話が安定して使用できるようにするため、3社は中継する通信装置計17台も船内に設置した。乗客は船外の家族や友人などと通話したり、会員制交流サイト(SNS)を使ったりする機会が増えているといい、携帯電話の通信網を強化したという。

 FMヨコハマ(横浜市西区)は、乗客乗員をはじめ横浜港で支援に携わる人たちなどに日本語と英語で「聴きたい曲、元気になれる曲をリクエストして」と呼び掛けている。

 同局によると、7日に開始以降、乗客からのリクエストはないが、聴取者から応援メッセージが相次いでおり、横浜出身の人気デュオ「ゆず」の曲などを求める声が寄せられた。担当者は「地元ラジオ局として、音楽やDJの言葉で励まし続けたい」と話す。

 一方、崎陽軒(同)が12日にクルーズ船に無償で提供したシウマイ弁当4千個について、船内に搬入されたものの乗客らに届かなかったことが13日分かった。同社は「船内に搬入された後については分かりかねる」と困惑気味。市港湾局は「同社から相談を受けて代理店を紹介したが、その後の情報は入っていない」としている。

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