メクル第436号 17項目が目標 SDGsを知ろう!

教えてくれた藤野忠敬さん=長崎市文教町、長崎大

 SDGs(エスディージーズ)を知っていますか? 世界は今、飢餓(きが)や貧困(ひんこん)、地球温暖(おんだん)化など数多くの深刻(しんこく)な問題を抱(かか)えています。こうした問題を解決(かいけつ)するため、2015年の国際(こくさい)連合(国連)の総会(そうかい)で、加盟(かめい)国193カ国がすべて賛成(さんせい)して決めた「持続可能(かのう)な開発目標」のことです。加盟国が30年までに取り組む共通の目標は全部で17項目(こうもく)。この中には、みなさんが身近な地域(ちいき)で取り組めることもたくさん含(ふく)まれています。

 「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉(ふくし)を」「気候変動に具体的な対策(たいさく)を」-。17項目はさまざまな分野に大きく分かれ、それぞれの目標にもっと細かで具体的な目標が設定(せってい)してあります。例えば「30年までに全ての人々に出生(しゅっしょう)登録を含む法的な身分証明(しょうめい)を提供(ていきょう)する」「1日1.25ドル未満で暮(く)らす極貧困層(ごくひんこんそう)を30年までになくす」など。その数は全部で169に上ります。
 各国は目標達成に向けてさまざまな取り組みを進めています。国際団体(だんたい)がまとめた2019年の国別SDGs達成ランキングで日本は15位でした。ちなみに1位はデンマーク、2位はスウェーデン、3位はフィンランド。
 県内でも取り組みは広がっています。自治体別では壱岐(いき)市の動きが活発です。2年前に内閣(ないかく)府から「SDGs未来都市」に選ばれ、翌(よく)19年には庁内(ちょうない)にSDGs未来課を新設(しんせつ)。国内の自治体で初めて「気候非常事態宣言(ひじょうじたいせんげん)」をし、市民対象の啓発(けいはつ)イベントなどを開いています。
 県内の中学校や高校ではSDGsをテーマにした授業(じゅぎょう)が行われたり、民間企業(きぎょう)では働きやすい職場(しょくば)づくりの一環(いっかん)で子連れ出勤(しゅっきん)を認(みと)めたり。平戸市の企業は、商品化できない規格外(きかくがい)の野菜を捨(す)ててしまうのはもったいないと考え、「野菜シート」と呼(よ)ばれる加工食品にして販売(はんばい)しています。
 県は新年度から6カ年計画で取り組む人口減少防止対策(げんしょうぼうしたいさく)「第2期県まち・ひと・しごと創生総合戦略(そうせいそうごうせんりゃく)」にSDGsを初めて盛(も)り込(こ)み、これから本格的(ほんかくてき)に県民にPRしていきます。

◎世界の問題 みんなで解決 長崎大グローバル連携機構(れんけいきこう) 助教(じょきょう) 藤野忠敬(ふじの・ただのり)さん

 長崎大グローバル連携機構(れんけいきこう)で国際(こくさい)連携のコーディネーターをしている藤野忠敬(ふじのただのり)さん(42)にSDGs(エスディージーズ)について聞きました。

 世界の国々でつくる国際連合(国連)の目的は、世界の平和と安全を維持(いじ)することです。世界は依然(いぜん)として貧困(ひんこん)や差別、紛争(ふんそう)があり、平和で安全とはいえない状態(じょうたい)。国連が「○○してください」と各国の代表に呼(よ)びかけて問題を解決(かいけつ)しようとしても限界(げんかい)があります。
 そこで考えたのがSDGs。世界のすべての人々、企業(きぎょう)、市民団体(だんたい)、自治体、教育機関などがお互(たが)いに自分自身の問題として連携して行動し、問題を解決しようという発想です。
 現在はインターネットが普及(ふきゅう)し、国の枠(わく)を超(こ)えて誰(だれ)がどんな取り組みをしているのかリアルタイムで分かる時代になったので、SDGsのようなアプローチが可能(かのう)になっています。
 17個(こ)の目標は具体的に、どんなことを世界で目指したらいいかを示(しめ)す道しるべのようなものです。
 目標の一つに「住み続けられるまちづくりを」というのがあります。長崎にとって、とても身近な話題です。長崎市は人口流出が急速に進んでいます。自分たちが住んでいる町に住み続けるために何をしたらいいのか、とても大事な問題です。
 長崎大は2018年、SDGsへの取り組みの一つとして島に目を向けました。島は日本の中でも高齢化(こうれいか)や人口流出が進んでいます。島民の「住み続けたい」という思いに寄(よ)り添(そ)い、いろんな課題を解決するために、医学や教育、工学、水産、環境(かんきょう)科学など各学部が連携し、さまざまなお手伝いができたらと考えています。

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