「そりとむくり展」開幕 木の造形美「そり」と「むくり」

高円宮妃久子さま(右)に作品の説明をする澄川喜一さん=横浜美術館

 戦後日本の抽象彫刻をリードし、東京スカイツリーのデザイン監修を務めた彫刻家、澄川喜一さん(88)の大規模な個展「澄川喜一 そりとむくり」が、横浜市西区の横浜美術館で15日から始まる。14日には高円宮妃久子さまを迎えて開会式が行われた。

 同展は神奈川新聞社などの主催。60年を超える創作活動の初期から現在までを約100点の作品や資料によって紹介している。

 澄川さんは少年時代に山口県岩国市の錦帯橋に魅了され、木そのものの美しさや木造建築の構造美が創造の原点になったという。

 木材に自然に発生する曲線の「そり」と「むくり」を生かした「そりのあるかたち」シリーズにライフワークとして取り組み、シンプルな造形美が魅力の彫刻作品に取り組んできた。

 野外彫刻や橋のデザインといった公共空間の造形にも積極的に関わっており、横浜公園(横浜市中区)にあるブラントン記念像や帷子川(同市西区)に架かる「万里橋」など、県内には数多くの作品がある。

 澄川さんは「日本は木の国。木にほれて、一生お付き合いしたいと今も頑張っている。木の美しさを見ていただければうれしい」とユーモアたっぷりにあいさつした。

 同展は5月24日まで。木曜休館。一般1500円ほか。問い合わせは、同館電話045(221)0300。

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