「開かず」解消秒読み 相鉄線・天王町−星川 工事着々 周辺住民が心待ち

 横浜市保土ケ谷区に点在する「開かずの踏切」解消に向けた工事が大詰めを迎えている。区内を横断する相模鉄道本線・天王町−星川駅周辺の連続立体交差事業による2018年度の全線高架化に先立ち、16年度にも下り線が完成。遮断機の下りる時間が短縮され、「開かず」解消が見えてきた。02年の事業着手から計画延期を経て13年。地域住民は「一日でも早く」と完成を心待ちにしている。

 事業区間は、同区西久保町から星川3丁目までの約1・9キロ。事業着手時には踏切が9カ所あり、全てがピーク時に1時間当たり40分以上閉まる「開かずの踏切」とされていた。

 中でも、鶴ケ峰天王町線(水道道)を横切る星川2号踏切は、最大47分(15年1月時点)閉まり、朝や夕方には車が列をなす。星川駅前で客を待つ60代のタクシー運転手は「あの踏切は通らずに、始めから遠回りするよ」と諦め顔だ。

 消防や救急の緊急車両は、迂回(うかい)せずに踏切で列車通過を待つという。目的地まで最短距離になるようルート設定しているためだ。保土ケ谷消防署は「待った方が早いという判断。ただ、踏切がなくなれば時間短縮は確実」と話す。

 市道路局によると、計画では、区間の上下線を段階的に高架化して全ての踏切を取り除く。16年度に完成予定の下り線だけでも列車の通過本数が減り、遮断時間が3〜4割削減できるという。同時に、星川駅南口広場の整備や線路沿いの道路拡張なども進め、地域交通の円滑化を図る。

 当初計画では、工事は12年度に終了しているはずだった。02年に都市計画事業認可を取得後、騒音・振動対策の強化や用地取得の遅れなどにより、6年間の期間延長。総事業費は、379億円から曲折を経て、465億円(市393億円、相鉄72億円)に膨れ上がった。工事の騒音に耐えられず転居した住民もいたといい、現場周辺のアパートを管理する不動産業の男性は「早く終わってほしい。商売上はマイナスでしかない」と嘆く。

 現在、工事の進捗(しんちょく)率は71%、懸念だった用地取得も97%まで進んだ。同局担当者は「工事を進める上で、大きな懸念はない」と見通しを語る。14年7月には現地見学会を開き、高架化された部分を近隣住民に歩いてもらい、理解を求めた。市は「1度延期した以上は遅れるわけにはいかない」と気を引き締める。

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