暖かい南極

 南極と言えば、雪と氷に覆われた風景が思い浮かぶが、近い将来、そのイメージは大きく変わるかもしれない。南極で9日、過去最高となる気温20.75度が観測されたという▲南米大陸に最も近い位置にある南極半島の島でのこと。現地は今、夏季に当たるが、それでもこの時期の平均気温は1度ぐらいらしい▲同半島は温暖化が最も進行している地域の一つで、過去50年で約3度上昇し、半島西岸の氷河は87%失われた。20度超の気温には「信じ難い」と科学者から驚きの声が上がっている▲翻って日本では暖冬傾向が続いている。県内は15日、松浦で20.1度を記録したほか、長崎、佐世保、平戸で19度台と4月中、下旬並みの気温の所も。長崎地方気象台はこの冬、初雪をまだ観測していない▲北海道などの豪雪地帯では記録的な少雪となっている。11日に閉幕したさっぽろ雪まつりは、雪像制作用の雪の確保に苦労し、規模縮小を余儀なくされたアトラクションもあった▲北海道と言えば、札幌市が2030年冬季五輪招致の国内候補地に決まった。欧米で手を挙げそうな都市もあるが、札幌が有力とされる。招致実現を期待するが、開催する10年後はさらに温暖化が進んでいるとみられる。その時に今年のような少雪だったらと、いささか気の早い心配をしている。(久)

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